東方繰返幻想   作:北風北

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続きです(^.^)


稽古

それから一週間がたった。

僕は彼女のことを師匠と呼ぶことにした。

 

 

「師匠、余った薪はどこにおきますか? 」

 

 

初めは少々照れていた彼女も今では馴れたようだ。

まぁ、元々彼女がそう呼んでくれ、と言ってきたわけなので、なれてもらわないと困る。

 

 

呼ぶたびに微妙に照れる様子は『年齢=彼女いない歴』の僕にとってはかなりくるものがある。

 

 

いや、まぁそんなことはいい。

今は薪を割り終えたあと余った薪の行方を師匠に聞いてるんだった。

 

 

「あ~、薪はねぇ、邪魔にならないように隅の方にまとめておいて」

 

 

今は馴れてきたのか、普通に会話が出来るようになった。

上の方から声が聞こえる。都の方へ食材でも買いに行っていたようだ。

さすが仙人、空飛んで買い物なんて······

 

 

······今気付いたけど、師匠が買い物に行ってたってことは、

ちょうどよく師匠が帰ってこなかったら、僕は空気に問いかけてる変人みたいになってた所

じゃないか···

ここら辺、道場の周り一帯はほとんど人なんて通らないから良かったけど···

 

 

 

師匠を初めて仙人だと意識し始めたのは、

ここに来て2日後のこと、昼の薪割りからの一日のながれだ。

そのあとはだいたい本を読んだりしている。

 

しかし、師匠にはもっと体を鍛えてほしい、と言われる。

なのでその日は体の基礎をつくっていたのだ。

 

 

すると向かい側の壁にいきなり大穴が空いた。

流石にビックリした。その場で構え直すも、

 

 

「あら~ビックリさせちゃった、頑張ってるところごめんなさいね」

 

 

そこから出てきたのは師匠だった。

 

普通に凄かった。通ったあとの壁もいつもまにか塞がってるし。

 

 

それから師匠が飛んでる姿も壁から出てくる姿も、僕の目には当たり前になっていった。

 

 

 

そんなこんなで一週間。

 

今日は昼から師匠が相手をしてくれるらしい。

一週間のせいかを見てみたいらしい。

彼女と同じ存在になるということを条件に、ここに住ませてもらっているから自分のなりには

結構頑張っているつもりだ。

 

しかし一週間じゃ成果なんてでないような気もするが···

 

 

師匠は地上に降りてくると薪の近くに食材をおく。

 

 

「ふふ···今日のご飯は浬の好きな料理なんだけど···」

 

 

それは嬉しいけど、続きが気になる。

 

 

「今から行う稽古で私に一発でも拳を当てたら料理つくってあげるけど、

 当てられなかった場合は······つくってあげない☆ 」

 

 

め、飯ぬきってことか···手厳しいな。

一週間で成長したかどうかわからないけど、ただの人間である自分が仙人と戦ったらとうなるんだろう、という思いもあった。

 

女性相手に殴りかかるのは抵抗があるが。

 

 

 

 

『仙人というのは鍛え続けないと、体を維持出来なくなる』

 

 

と、そう師匠から聞いた事があったが僕が見た限りじゃあ師匠が汗水たらして修行してる様子なんて見たことがない。

 

 

 

師匠はじっとこちらを見つめている。

いつでもかかってきていい、と言うことだろう。

 

僕は10メートルほど前にいる師匠に向かって走り出した。

拳の射程距離まで近づく。

 

 

「はぁあ ! 」

 

 

全力で拳を突き出す。

いくら女性とはいえ、その前に仙人なのだ。

 

 

······いや、普通は逆の考え方が当たり前だが。

こんな近距離で速い拳、避けられないだろう。

 

 

なんて思っていたのは僕だけだったみたいだ。

その証拠に目の前に師匠はいない。飛んで避けたのだ。

足の力だけで。すごい。思わず見とれてしまった。

 

 

でもこんなんじゃだめだ。ただの人間でもやれることはある。

 

 

もう一度拳を突き出すとすぐに引っ込める。

避けられるのは分かっているからだ。

少し動きが鈍くなった所でもう片方の拳を突き出す。

 

 

「···っ! 」

 

 

肩にかすりそうになったが、師匠は少しビックリした、と言うような表情を作ったあと

その拳を避け、微笑みながらこちらを見ていた。

そのまま僕の方に近付くと

 

 

「···今日はここまでよ♪」

 

 

上機嫌で道場の奥にある自室に戻っていった。

何となく分かってたけど、僕は筋金入りの人間のようだ。

 

 

「···はぁ、今日は飯ぬきか~」

 

 

何だか酷く疲れた気がする。

一週間じゃこの程度だよなぁ、そう考えながら。

 

 

 

 

 

 

         青娥side

 

 

 

浬が私のもとに来て一週間がたった。

彼の成長速度は目覚ましい。見た感じ弱そうだけど。

 

 

特に足腰がしっかりしている。

このままいけば良い踏み込み方を覚えるだろう。

後は腕がともなえばなお良くなる。

 

 

今日は浬の相手をしてあげることにしたのだ。

本気でかかってきてもらうには、どんな条件がいいかしら。

···あっ、ご飯で釣ってみましょう。

 

 

···浬の構えを見る限り了解してくれたようだ。

私も浬にたいして、いつ来ても大丈夫だという余裕を見せる。

彼もそれを肌で感じ取ったように見える。······嬉しい。あぁ、集中しないと。

 

 

浬は10メートル程あった距離を一気につめて拳をはなってきた。

まぁ、一週間じゃこの程度かしら。

跳躍することでそれをかわすと、もう一度拳を突き出してきたが、

それを引っ込めると逆の拳を突き出し、拳の放たれる角度を変えたようだ。

 

 

私はそれに少し驚いたが、それも避ける。

が、どうにも避けた方の肩の一部が少しヒリヒリする。何だろう。

私はそのまま浬の方に近付くと

 

 

「···今日はここまでよ♪」

 

 

もう少し相手をしていたかったが、

気になることがあり自室に戻ることにした。

 

肩の様子を確認する。

肩から二の腕にかけて真っ赤に腫れ上がっていた。

普通、人間の拳を受ければアザにはなっても、こうはならない。

 

 

浬には······私にも分からない力がある。

人という生き物は、必ずといって良いほど霊力と言うものを持っている。

浬には、それがほとんど存在しないのだ。

······一緒に過ごしていくうちにわかるかな。

 

 

 

 

そんなことをかんがえていた、

 

「仙人だから良かったものの、普通の女の子だったら

 大変なことになってたかもしれないのに~」

 

不老不死の仙人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







青娥「仙人でも女の子なのよ」

「本当かな~」ワクワクさんのゴロリふうに

青娥「······」

「すみません(+_+)」









あっ、その日のご飯は浬の分もあったそうです。
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