·········はぁ···はぁ···はぁ···
「······どこだよここは」
確か魔理沙と別れた後に急に暗くなってきたので帰りを急いでた筈なんだが、ここは
どうもおかしい。
何故か今まで小走りで進んでいた道や空が歪んでいるのである。
そう認識したときにはすでに遅く、歪んだ景色が別の景色に変わっていくのが分かる。
何故か体が動かない。そんな状態でも目は動かせるというお決まりのパターン。
景色が完全に変わりきったのか、今までのように歪みは激しくなく、少しずつだが体も動くようになってきた。
変わりきった目の前に広がる世界。
そして僕はこの幻想卿に来て一番みたくない景色を『また』見てしまった。
「···そんな、う···嘘だろ···」
日が暮れて少し涼しく吹く風がよりいっそうリアルに感じられた。
――――その場所は僕が幻想卿に来て死にかけた、あの森の気を失ったであろう場所だった。
ハァハァッハァハァッ···
兎に角走る。嫌な気配しかしなかったから。
帰り道が分かる地図なんてものはもってないし、走っている方向が霊夢の居る場所に向かっているかも分からない。
ただ走らないといけない、それが頭を巡り走り続ける。
それにまたあんなことになって、友達を失いたくない。
十分ほど走っただろうか、後ろに何か居るのが分かる。
やはりこの場所で霊夢に助けてもらえたのは奇跡だったらしい。
幻想卿の外にいた時もこんなに本気で走った事はなかった。
そんな自分の体に鞭をうち次の一歩を踏み出そうとした瞬間だった。
「······っ! ! ! 」
背中に痛みが走る。
後ろを見るとそこには僕に襲いかかってきたあの獣がいた。
その姿は、構えかたは、そして背中から流れ出る血の量も全てがアノときと一致していた。
――――『夢であって欲しい』その思いも虚しく僕の意識は周りの闇に溶けて消えていった。
·········ズルズル······ズルズル····················ズルズル?
誰か引きずられでもしてるのか?
······ん?意識がある?
···たしか今さっきまで···今さっきまで···何やってたんだっけ?
最近記憶の飛び具合がすごい気がする。
正面には青空が広がっていた。
正面に青空? ? ?
そして背中には削られているような痛みが···
···え?·········引きずられていたのは僕なのか!?
「そしてそれをしてるのは···」
「私よ」
そこにいたのは縛られている僕のからだから出ている一本のロープを持った、霊夢のいい具合に空を飛ぶ姿だった。
いい具合過ぎて丁度体が削られていたのか。
「···浬···あんたねぇ、眠気がさしてもあんなところじゃ寝ないわよふつう」
あんなところって魔理沙と別れたあとの帰り道の途中で···
···そこらへんから記憶が抜けてるみたいだ。
「···道端で寝てたのか···」
そんなことを言いつつ神社に着くまでこの体制はさすがにきつすぎるので、少しは抵抗するために体をバネのようにして立ち上がろうとした。
···あとで考えればそんなことできるはずもなかったのだ。
「面倒臭いから少し速度上げるわ」
霊夢がそんなことを言いだしたのである。
だがすでに遅くバランスを崩した僕が顔から引きずられていたのは、霊夢は知るよしもない。
次はもう少し話を進めたいかなぁ、なんて