竜三が刀を手に取ってからは早かった。
囚われている巴の下手人に、竜三が刀を投擲する。肩を貫かれて悲鳴をあげる賊から容赦なく愛刀を引き抜くと、続けて近くにいる賊らへと斬りかかった。
だが、竜三は刀を返していた。刃ではなく峰で打たれる賊たちはくぐもった声と共に地を這うことになる。竜三の放つ斬撃、その全てが肩口や首、脇腹など、人の急所と呼べる場所を捉えていて、賊らは骨をおられるか、肉に叩きつけられた衝撃で喘ぐことしか叶わない様子で。
賊を仕切っていた貞夫という下手人を横一閃で無力化すると、最後の一人となった僧である曽元に、竜三は刀の切っ先を向けた。恐る様子もない曽元と睨み合うと、竜三は刀を下ろした。
「どこへとも行け」
その言葉に曽元はどこか驚いた様子だ。当然だろう。相手は野盗相手にチャンバラを挑む対馬きっての冥人。そんな相手に曽元たちは手向かったのだ。殺される理由はいくらでもあるが、見逃される理由は見当たらない。
それでも、竜三は逃すというのだ。
「見逃すというのですか?私を」
「安達家襲撃は失敗に終わった。坊主がまた賊をけしかけるというなら、ここで斬るが?」
竜三にとって、この戦いはすでに意味のないものだった。曽元にしろ、貞夫にしろ、すでに事は過去のこと。屋敷を襲撃した賊は全員殺した故、その目論見に加担した曽元らも斬るべきだろうが、安達家の誰も死んでいない以上、ここで殺しても竜三には何の得もないのだ。野盗は盗みをしていたから切られて当然だろうが。
竜三の言葉に、曽元は言葉を選びながら答える。
「私の役目は花様の命のままです」
「…ならば行け。内地も蒙古の手が伸びている。僧としての責務を果たせ」
曽元はこちらに一礼すると、すぐに荒屋から立ち去り街道を走っていった。賊に奪われていた弓と矢を取り戻してから、巴が竜三に言葉を紡ぐ。
「良かったのかい?見逃して。心優しい竜三殿?」
「うるさいぞ、巴。ここで奴らを殺しても無駄だ。それに、あの様子では内地に着く前に蒙古に捕まえられ、殺されるだろう」
「私たちが手を下すより、ずっと悲惨な殺され方でね」
巴の言葉に肩をすくめると、竜三は一人意識が残っている賊の元へと歩み寄ってゆく。
「おい、貴様」
「ひぃ…い、命だけは…!!」
ドッ!!と、賊の足元に竜三が刀を突き立てる。顔色がみるみる青くなってゆく賊の方へ腰を下ろし、竜三は小さく、しかしはっきりと聞き取れる殺気に満ちた言葉を放った。
「ここにいる全員の顔は覚えた。次に敵として合間見えたら容赦はせん。ここで伸びている全員に伝えろ。それと、民を襲う前に蒙古と戦え。こういう時にくらい役に立ってみせろ」
千切れそうな勢いで首を縦に振る賊に頷くと、竜三は荒屋を後にした。下に止めてある馬を拝借しているところ、巴が声をかけてくる。
「随分とお優しいことで」
「公にならなければ罪に問う必要もあるまいよ。そういうのを全て裁いていたらキリも無いからな」
「私の時のようにかい?」
意味ありげな眼差しで見つめてくる巴に、竜三はくたびれたようにため息をついて手を振った。
「さぁな。覚えてない」
巴が〝竜三を気に入った〟のがコレだ。くすくすと巴は笑ってから、竜三が渡してきた手綱を受け取り、馬へと跨る。
「これからどうする?」
「まずは北を目指さなければ…だが、北に渡るためには金田をどうにかせんとならん。島を渡る船に払う金もないしな」
「花様は悠々と船の旅ってわけかい」
逃げおおせた政子の姉君。
あの女だけは生かしておけんというのは、巴も同感だった。先に竜三に唾をつけたのは私だ。女である以上、あの戯言は聞き捨てならない。その思いを竜三に見せないように振る舞うことが、巴のある種の魅力なのかもしれない。
「蒙古の脅威に晒されながらだがな。向こうも命懸けと言ったところだろう。まったく」
「とにもかくにも、まずは金田ってわけね」
金田城は陸路で豊玉に行くために必ず通らなければならない拠点だ。城を直接通る必要はないが、蒙古が陣を敷いている以上、生半可な攻撃で突破することは難しいだろう。
それに、金田には地頭である志村が囚われている。安達家の恩赦の為にも見過ごすわけにはいかない。
「そういうことになる。まずは浅藻の村に向かおう。あそこは島の端、本土との玄関口となる。抑えておけば志村様にも評価はされるだろう?」
浅藻は壱の島の南端に位置する港だ。噂ではすでに蒙古に抑えられたと聞くが、本国からの援軍を要請するには、まず港を抑えて蒙古を孤立させることが重要となってくる。
「悪くない考えだけど、わざわざ浅藻に行ってどうするのさ?」
巴の問いに、竜三はニヤリと笑みを浮かべて答えた。
「古い馴染みがあそこにくる。必ずな」
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本差〜♪脇差〜♪半弓〜♪長弓で狙い澄まして見敵必殺!!
今日も元気に皆殺し〜♪
浅藻の村からこんにちは、竜三です。今何してるかって?
花の奴を逃した鬱憤を晴らしてるんですけど何か!?
浅藻の村ってキークエストだから、条件揃わないと蒙古の拠点に入ったというアナウンスから延々とどこから飛んでくるかわかんねぇ矢に打たれ続けるんだよねぇ!!最初のころ分かんなくて突っ込んでよく死んだわ!ハッハッハッ!!
しかし浪人の俺には効かないんだよなぁ!!これが!!
表門で蒙古どもが酒盛りしてるところを見計らって突撃。崖上という弓取り最強の布陣を取った巴からの援護射撃を受けて、竜三、突貫します!!を敢行。
傘被った飲んだくれのおっさんが目ん玉飛び出さん勢いで驚いてたけど、とりあえず逃げてくださいねぇ〜俺の相手は蒙古だけなんでぇ〜♪
近づいて!!おらぁっ!!!!
一刀を首にチェストしてボデーとサヨナラばいばい!!や゛っ゛た゛ぜ゛ぇ゛!!!!
うじゃうじゃ現れる蒙古どもだが、とりあえず距離が空いてるやつは片っ端から半弓でぶち抜いていく。うわははは!!その距離を走ってこようと言うのかね!?速さが足りねぇんだよ、速さがよぉ!!
タンク的な大型蒙古をあらかた殺してから、槍や剣を持つ蒙古を相手取る。あ!テメ!人質狙うとか卑怯だろ死ね!!
竜三から目を離したら矢がすぐに飛んでくるので注意ですぞ!!
そして数が減ったところで憤怒の舞と紫電一閃のオンパレードじゃ!!F覚竜三だぞ★ウッキィイーー!!!!ア゛ァア゛ァァーーイ゛ッ!!!!エ゛ィッ!!!!
ソニックブーン‼︎ソニックブーン‼︎
ヨシ!!(残心)
人質に気を取らせる暇すら与えずに蒙古を蹂躙していると、一際大きな屋敷の庭でかなり重装甲な蒙古兵が一人。腰から剣を引き抜き、声を上げる。
(侍め!!浅藻は我々が勝ち取った地だ!!貴様をこの手で葬ってくれる!!)
なんか蒙古の言葉で喋ってるけど、あの金装甲と雰囲気、おそらくこの拠点の隊長とみた。
「お前、隊長だな?隊長だろ?隊長だよなぁ?首を置いてけよ、なぁ?」
一騎打ちの演出?んなもん転生した時に死にましたぞ、叔父上!!真正面から挑んでるから問題なし!!はぁ!?赤攻撃なんか見切りで効かんのじゃ!!はぁああ!?受け流しの極意かよ!!コマンドミス!!読み合いジャンケン!ジャンケンポン!!はぁあああ!?てめ蹴りあとに赤攻撃とかふざけんなよ!!はぁああゴミカスぅうう!!シネェェエエエ!!
そんなそんなで蒙古隊長の首を討ち取りました★
他の蒙古たちも何か逃げ出したみたいだけど、まぁ結果オーライか!人質も犠牲にならなかったし!!さて、浅藻といえばイベントクエストで主要キャラである「タカ」を救出する場なのだが、肝心のタカはどこにいるのか…。
血濡れの段平と返り血まみれの体を火くべが出来る場へと向かわせようとしたとき、背後から音のない一閃。むっ!青ゲージの攻撃!!見切った!!
振り向き様に相手の一撃を弾き上げる!よっしゃああああ!!ジャスガ成功じゃい!!そのまま死ねぇえええええ!?
振り下ろそうとした一撃を既のところで踏み止まらせる。刃が頭に触れるか否かのところで急ブレーキが掛かったことで、目の前にいる人物の顔を見て、こばっていた体をほぐすように息を吐き出した。
「お前…仁か?」
そこにはゆなとタカを連れた、このゲームの主人公であり、のちの冥人でもある「境井 仁」が居たのだった。
堅ニ「お侍様の戦い方じゃねぇ…」
ゆな「バレたら捕虜が殺されちまうよ!」
竜三「捕虜が殺される前に相手を殺せばいいんじゃ!!(名案)」
仁「えぇ…」