【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

10 / 159
人生は山あり谷あり

瞑想中、遠い星でフォースがぶつかり合っているのを感じた。

 

ナブーで戦いが始まったらしい。

 

謹慎でやることがなく、私は個室で瞑想に耽っていた。

 

暗黒面まで精神を落として、ナブーの様子を探る。マスター・クワイ=ガンとオビ=ワンが、ダース・モールと戦っているのが見えて、思わず目を逸らしてしまった。だけど、モール卿は強引に目を合わせてくる。

 

 

「分かった。約束する。」

 

 

聴こえた声に、私は同意した。言われたのは、予想外な告白だった。ダース・モールの誓いに、断る理由が見つからない。

 

 

『ネル!!』

 

 

突然意識が引き戻されて、私は目を開ける。見上げると、マスターが私の顔を覗き込んでいた。どうやら、強引に起こしたみたいだ。

 

 

「マスター……?」

「何をしていた?」

「瞑想ですけど?」

 

 

呆気らんと言えば、マスターは口を噤む。

 

 

「どうしたんですか?」

「………ネル」

「はい?」

「私にはお前の心が分からない。」

 

 

今の私は、暗黒面の力が燻っている。暗黒面の力がとばりになって、マスターには私の心が見えないんだ。無意識だけど、本心を見られずに済んだという安心感がある。

 

 

「私は私です。」

「………」

「エレノア・クラウド、それが私です。」

「エレノア……」

「マスター、私にもマスターが分かりません。」

 

 

暗黒面に踏み込んだせいか、私にもマスターが理解できなかった。

 

マスターがなぜ悲しげな表情をするのか、その理由も分からない。私は何も変わっていないのに。私は12歳の小娘、大人のように上手く感情を隠せない。

 

 

「エレノア、考えを改めるんだ。」

「どうしてですか?」

「改めなければ、お前は身を滅ぼすことになる。」

「平気ですよ。何も悪いことはしてませんから。」

「私はこれ以上何も言えない。自分で乗り越えろ。お前を信じている。」

 

 

マスターはそれだけ言って、部屋を出て行った。

 

マスター・クワイ=ガンの訃報を知ったのは、その直後だった。ダース・モールに敗れ、そのダース・モールをオビ=ワンが倒したという。

 

結局、モール卿の誓いは果たされなかった。

 

そして、マスター・クワイ=ガンはナブーで火葬された。私の謹慎が解けたのはその後、半月後だった。私はその半月で13歳になっていた。

 

謹慎が解けた理由は、

 

 

「トライアル……」

「そうだ。エレノア・クラウド、ナイトへの昇格が適うか、お前にトライアルを課す。」

 

 

“ジェダイ・トライアル”

 

ナイトに昇格するには、例外を除いてトライアルを受けなければならない。責任感、技量、精神力など、ジェダイに必要なものを試される。ジェダイ・ナイトはみんな通る道だ。

 

マスター・ウィンドゥからトライアルを受けるように告げられ、私は唖然となっていた。

 

謹慎が解けたのは、私にトライアルを受けさせる為だ。

 

 

「パダワン、トライアルは明日だ。今日は充分に休め。」

「はい、マスター……」

 

 

マスター・ウィンドゥが去り、部屋のベッドで項垂れる。

 

13歳でナイトは、早すぎる。何より、私には何もかもがジェダイに適していない。トライアルは、私を強引に成長させるのが目的だ。

 

更に言えば、暗黒面から離れさせる為。

 

一度暗黒面の魅力に囚われると、簡単には抜け出せない。だけど、抜け出す気は毛頭ない。私は力が欲しいから。

 

 

「嫌だ……」

 

 

部屋を飛び出し、私の足は自然と元老院アパートメントに向かっていた。会いに来た人は、パルパティーン“最高議長”。いつでも来ていいと言われたから、真っ直ぐ議長のアパートメントへと向かった。

 

ノックすると、驚いた顔の議長が私を出迎えた。

 

 

「ネル、一体どうしたんだ?」

「議長、申し訳ありません。話を聞いてほしくて………」

「構わん。中に入りなさい。」

「ありがとうございます。」

 

 

中に招かれ、私は前回と同じようにソファーに座る。隣に議長が座り、私の背中を摩ってくれる。その手が優しくて、堪えていた感情が湧き出てくる。

 

 

「さぁ、話しなさい。」

「………ジェダイ・トライアルを受けることになりました。」

「ついに昇格か。随分と早かったな。」

「いえ、違うんです。最高評議会は、私を暗黒面から遠ざけたいのです。ナイトの昇格は、ただの建前です。」

 

 

何が気に入らないのか、私自身も分かっている。でもそれを受け入れるには、度胸がなかった。このモヤモヤを抑えるには、子供の私が簡単に留めることは不可能。

 

 

「なるほど。君は自分を認めてもらえないことが不満なんだろう?」

「はい…」

「私から言えることは、今は堪えるということだ。」

「まだ我慢……ですか?」

「君に特別なチケットを渡そう。明日、トライアルが終わったら議長オフィスへ来るといい。最高のプレゼントを渡そう。」

「プレゼント……?」

 

 

議長は、笑顔で私を立たせる。

 

追い出されるように背を押され、ついに部屋の外へ追い出された。

 

 

「あの、ちょ、議長……?」

「また会おう、ネル。」

 

 

扉が閉まり、私は立ち尽くす。

 

相談しに来たつもりが、プレゼントをくれる。物ではなさそうだけど、何か意味のあるものに違いない。議長はジェダイの掟を知っているはず。何かあるのは確かだ。

 

その前に、私はトライアルを攻略しなければならない。

 

何事もなく、トライアルが終わりますように。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。