瞑想中、遠い星でフォースがぶつかり合っているのを感じた。
ナブーで戦いが始まったらしい。
謹慎でやることがなく、私は個室で瞑想に耽っていた。
暗黒面まで精神を落として、ナブーの様子を探る。マスター・クワイ=ガンとオビ=ワンが、ダース・モールと戦っているのが見えて、思わず目を逸らしてしまった。だけど、モール卿は強引に目を合わせてくる。
「分かった。約束する。」
聴こえた声に、私は同意した。言われたのは、予想外な告白だった。ダース・モールの誓いに、断る理由が見つからない。
『ネル!!』
突然意識が引き戻されて、私は目を開ける。見上げると、マスターが私の顔を覗き込んでいた。どうやら、強引に起こしたみたいだ。
「マスター……?」
「何をしていた?」
「瞑想ですけど?」
呆気らんと言えば、マスターは口を噤む。
「どうしたんですか?」
「………ネル」
「はい?」
「私にはお前の心が分からない。」
今の私は、暗黒面の力が燻っている。暗黒面の力がとばりになって、マスターには私の心が見えないんだ。無意識だけど、本心を見られずに済んだという安心感がある。
「私は私です。」
「………」
「エレノア・クラウド、それが私です。」
「エレノア……」
「マスター、私にもマスターが分かりません。」
暗黒面に踏み込んだせいか、私にもマスターが理解できなかった。
マスターがなぜ悲しげな表情をするのか、その理由も分からない。私は何も変わっていないのに。私は12歳の小娘、大人のように上手く感情を隠せない。
「エレノア、考えを改めるんだ。」
「どうしてですか?」
「改めなければ、お前は身を滅ぼすことになる。」
「平気ですよ。何も悪いことはしてませんから。」
「私はこれ以上何も言えない。自分で乗り越えろ。お前を信じている。」
マスターはそれだけ言って、部屋を出て行った。
マスター・クワイ=ガンの訃報を知ったのは、その直後だった。ダース・モールに敗れ、そのダース・モールをオビ=ワンが倒したという。
結局、モール卿の誓いは果たされなかった。
そして、マスター・クワイ=ガンはナブーで火葬された。私の謹慎が解けたのはその後、半月後だった。私はその半月で13歳になっていた。
謹慎が解けた理由は、
「トライアル……」
「そうだ。エレノア・クラウド、ナイトへの昇格が適うか、お前にトライアルを課す。」
“ジェダイ・トライアル”
ナイトに昇格するには、例外を除いてトライアルを受けなければならない。責任感、技量、精神力など、ジェダイに必要なものを試される。ジェダイ・ナイトはみんな通る道だ。
マスター・ウィンドゥからトライアルを受けるように告げられ、私は唖然となっていた。
謹慎が解けたのは、私にトライアルを受けさせる為だ。
「パダワン、トライアルは明日だ。今日は充分に休め。」
「はい、マスター……」
マスター・ウィンドゥが去り、部屋のベッドで項垂れる。
13歳でナイトは、早すぎる。何より、私には何もかもがジェダイに適していない。トライアルは、私を強引に成長させるのが目的だ。
更に言えば、暗黒面から離れさせる為。
一度暗黒面の魅力に囚われると、簡単には抜け出せない。だけど、抜け出す気は毛頭ない。私は力が欲しいから。
「嫌だ……」
部屋を飛び出し、私の足は自然と元老院アパートメントに向かっていた。会いに来た人は、パルパティーン“最高議長”。いつでも来ていいと言われたから、真っ直ぐ議長のアパートメントへと向かった。
ノックすると、驚いた顔の議長が私を出迎えた。
「ネル、一体どうしたんだ?」
「議長、申し訳ありません。話を聞いてほしくて………」
「構わん。中に入りなさい。」
「ありがとうございます。」
中に招かれ、私は前回と同じようにソファーに座る。隣に議長が座り、私の背中を摩ってくれる。その手が優しくて、堪えていた感情が湧き出てくる。
「さぁ、話しなさい。」
「………ジェダイ・トライアルを受けることになりました。」
「ついに昇格か。随分と早かったな。」
「いえ、違うんです。最高評議会は、私を暗黒面から遠ざけたいのです。ナイトの昇格は、ただの建前です。」
何が気に入らないのか、私自身も分かっている。でもそれを受け入れるには、度胸がなかった。このモヤモヤを抑えるには、子供の私が簡単に留めることは不可能。
「なるほど。君は自分を認めてもらえないことが不満なんだろう?」
「はい…」
「私から言えることは、今は堪えるということだ。」
「まだ我慢……ですか?」
「君に特別なチケットを渡そう。明日、トライアルが終わったら議長オフィスへ来るといい。最高のプレゼントを渡そう。」
「プレゼント……?」
議長は、笑顔で私を立たせる。
追い出されるように背を押され、ついに部屋の外へ追い出された。
「あの、ちょ、議長……?」
「また会おう、ネル。」
扉が閉まり、私は立ち尽くす。
相談しに来たつもりが、プレゼントをくれる。物ではなさそうだけど、何か意味のあるものに違いない。議長はジェダイの掟を知っているはず。何かあるのは確かだ。
その前に、私はトライアルを攻略しなければならない。
何事もなく、トライアルが終わりますように。