【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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弱々しい光

クラウド・シティの戦いから1ヶ月後。

 

ステファニー・オリンは〈ホーム・ワン〉の艦内を歩き回っていた。

 

数分前、ステファニーはわざとジュースを溢し、1人でお風呂に入ろうと大人の手から逃げ出してきていた。パドメやアナキン、レイアの付き添いも嫌がり、食堂から飛び出したのだった。

 

しかし寂しさに堪えきれず、ステファニーは目を潤ませてしまう。

 

 

「ママっ……!」

 

 

ステファニーも他の子供と同じように、母親を探し求める。だが、母親は船にいない。母のエレノアは遠く離れた地にいる。そんなことは子供のステファニーに分かるわけもなく、やがて嗚咽を漏らしてしまう。

 

 

「ぐすっ、ママっ…ママぁぁ………」

 

 

ついに声を上げて泣いてしまった。

 

泣き出したステファニーに、通りすがりの隊員達は焦る。女性隊員が率先して声をかけるが、泣き止む気配はなかった。男性隊員が通信機で、父親であるフェラスを呼び出したが、彼が来るまで時間がかかる。女性隊員数人は困り果てた。

 

 

「ママどこぉぉぉぉぉぉ…!」

 

 

数分後、フェラスが到着してステファニーを抱き上げる。

 

 

「オリン将軍、ありがとうございます。」

「いや、礼を言うべきは俺だ。迷惑をかけてすまない。」

「いえ、迷子じゃなくて安心しました。」

「今後はなるべく一緒にいる。ステフ、バイバイしろ。部屋に戻るぞ。」

「ばいばい…」

 

 

隊員達が見送る中、ステファニーはフェラスに抱えられて去っていく。

 

エレノアがいなくなって1ヶ月、ステファニーは今まで以上に言葉を話すようになった。言葉の爆発期と言われ、喋る量が増えたのだ。貯めていたものを吐き出すように、ステファニーは自己主張も激しくなった。

 

部屋に戻ったフェラスは、娘を寝台に座らせる。

 

 

「ママあいたい………」

 

 

エレノアは、娘に目一杯の愛情を注いでいた。ステファニーは父親のことも大好きだが、それが更に寂しさを募らせた。

 

 

「大丈夫だ。ママは少しの間遠くでお仕事をしているだけだ。ステフはお利口だから待てるな?」

「おりこうじゃない…」

 

 

娘の言葉に、フェラスは口を噤む。

 

ステファニーが逃げ出したのは、ジュースをわざと溢したからだ。本人も自覚していると分かり、フェラスは娘に微笑んだ。

 

 

「ステフ、“お利口”は良い子だけじゃないぞ。悪い子にも使えるんだ。良い子じゃなくていい。一緒にママを待とう。」

「うん!」

「ステフは良い子だな。」

「ほんと?いいこ?」

「ああ、良い子だ。おいで。」

 

 

フェラスが両腕を広げると、ステファニーは父親に抱き付く。

 

ステファニーを寝かしつけ、フェラスは部屋を出て行く。ブリッジに入ると、パドメは彼を心配した。ステファニーには分からなかったが、フェラスは目の下に隈ができていた。

 

 

「フェラス、少し寝た方がいいわ。」

「いや、俺は平気だ。」

 

 

フェラスはアナキンと共に、瞑想を繰り返していた。エレノアを助ける方法を探し続け、フォースに問い掛けていた。しかし、アナキンの悪夢は変わらず、2人は答えを見つけられていなかった。

 

 

「倒れたらネルに殺されるわよ。」

「アミダラ議員、遠慮がないな。」

「それだけ信頼しているということよ。寝ていらっしゃい。」

 

 

パドメに背中を押され、フェラスはブリッジを追い出された。

 

後から来たアナキンも、同じようにパドメに追い出されていた。

 

 

「アミダラ議員」

 

 

ブリッジで泣きそうな顔になっていたパドメに、モスマが声をかける。

 

 

「彼女は心配ありません。共和国の追跡も逃れるほど、厄介なのですから。」

 

 

モスマの言う“厄介”は、褒め言葉だった。

 

エレノアは共和国を欺き、生き延びている。その過去から、モスマはエレノアが皇帝を出し抜く方法を探していると確信があった。今回も、そうあってほしいと願っていた。

 

パドメもその意味合いを理解し、頷く。

 

 

「それに、彼女は我々と違いフォースが共にあります。」

「いいえ、違います。」

 

 

モスマの言葉を、パドメは否定する。

 

 

「ネルは必ず訂正するでしょう。フォースは万物に宿るのです。私達は皆、フォースと共にあります。フォースがネルを守ってくれると信じましょう。」

「ええ。」

 

 

モスマは、微笑んで肯く。

 

パドメはブリッジを出て行き、ステファニーの部屋へと向かう。

 

一方眠ったはずのステファニーは目を覚まして、寝台で横になったまま、母親がくれたぬいぐるみをフォースで操っていた。

 

ステファニーは、誰も知らないところでフォースに触れていたのだった。

 

 

「ママ……」

 

 

テレキネシスでぬいぐるみを動かし、ステファニーは1人で遊ぶ。くるくると回して、まるでダンスを踊っているかのようだった。トゥーカのぬいぐるみ2つを操り、寂しさを紛らわせようとしていた。

 

そこで足音を感じ取ったステファニーはぬいぐるみを離して、寝たふりをする。

 

中を覗いたパドメは、寝ているステファニーに安堵し、また部屋を出て行く。

 

ドアが閉まってすぐ、ステファニーはまたぬいぐるみで遊び出す。テレキネシスで、くるくると回した。

 

〈ホーム・ワン〉の小さな部屋で、もう1つの希望が芽吹き始めていた。

 

 






次からエピソード6編ですw
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