【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

108 / 159
すれ違う良心

スター・デストロイヤーがデス・スターに到着して、娘は女性将校に手を引かれて部屋に連れられてきた。

 

私を見たステファニーは目を輝かせて、私に駆け寄る。

 

 

「あっ、こら!」

「大丈夫。」

 

 

ステファニーが私に抱き付くと、女性将校は困った表情を見せる。

 

 

「ママ!」

「ママ……?」

「あんたも知らないわけじゃないでしょ。フェラス・オリンは私の夫だった。フェラスの娘ってことは、私の娘でもある。この子は私の娘。」

 

 

驚いた彼女はすぐに冷静さを取り戻し、腰に手を伸ばす。

 

だけど、私はそれをやめさせた。

 

 

「娘に手を出せば、容赦しない。」

「信じられない……帝国を騙し通せると思わないでください、ルシル卿。」

「………ステフ」

「なにぃ?」

「ちょっと待っててね。」

 

 

女性将校を外に追い出し、ステファニーを部屋で待機させて私も部屋を出る。

 

ドアをロックした途端、女性将校は私にブラスター・ピストルを向けた。

 

 

「裏切り者!!」

「私は裏切ってない。あんたくらいの階級なら、私のこれも知ってるでしょ?」

 

 

襟から覗く首のタトゥーを見せて、皇帝に服従していると告げる。また、逆らえないことも教えた。それでも納得しない彼女は、ブラスターを下ろさない。

 

 

「私には分かる!貴女は家族の為に従うふりをしている!娘の為に、どれだけ手を汚そうと構わないんです!」

「あんたの母親のことを言ってるの?残念だけど、ブラスターじゃ私を殺せない。それに、あんたは復讐の方法を間違ってる。」

「私は、っ!?」

 

 

一瞬でブラスターをライトセーバーで切り壊し、彼女の心臓をプラズマの刃で貫く。

 

ヒルトのスイッチを切ると、彼女はゆっくり倒れていく。壁に寄り掛かっていたものの、彼女はズルズルと倒れた。

 

 

「なんで貴女が苦しそうな顔をしているんですか……」

「好き好んで人を殺すわけないでしょ。」

「申し訳ありませんでした…ルシル卿……」

 

 

彼女はそう言って、目を閉じた。

 

死んだ女性将校を見下ろしていると、トルーパーが駆け付けてくる。

 

 

「ルシル卿!お怪我は!?」

「ない。彼女の遺体は丁寧に弔って。」

「了解しました!」

 

 

まだ若かったのに、殺してしまった。だけど彼女を生かしておけば、私の企みがバレる。あの子のせいで、銀河を危険には曝せない。

 

彼女は運ばれていき、私は部屋のロックを解いて中に入る。

 

ステファニーは私に抱き付いてきて、安心したような表情を浮かべた。

 

 

「ママ……」

「ステフ、ごめんね。もうちょっと待っててくれる?」

「ママといるぅ…」

 

 

しばらく会わない内に、ステファニーはよく喋るようになったみたいだ。自分の意見も言うし、自分でちゃんと言葉にする。でも、今は聞いてあげられない。

 

まだ問題が残っている。

 

 

「ステフ、良い子だから待てるよね?」

「うん……」

「すぐに戻るから。」

 

 

ステファニーにキスをして、私は部屋を出て行く。

 

向かう先は、監房ブロック。ステファニーの付き添いとして来た男が、そこに捕らわれている。ルークやアナキン、フェラスでもない。彼らが来れば、嫌でも分かる。

 

一体誰が来た?

 

 

「捕虜と会う。席を外して。」

「了解しました!」

 

 

私は独房の中に入り、ドアが閉められたのを確認して監視カメラをフォースで壊す。

 

その様子に、捕虜の“ユグノ”は警戒する。

 

 

「何をしている?」

「カメラを壊しただけ。」

 

 

座っているユグノの正面に立つと、私は思いっきり睨み下ろしてやった。

 

 

「なんで来たの?私の娘まで巻き込んで。」

「僕のせいじゃない。ステフが自分で行動したんだ。」

「私があんたを信じるとでも?」

「スカイウォーカー将軍とオリン将軍が消えた。」

「は……?」

 

 

ユグノの言葉に、私は思わず問い返す。

 

 

「アナキンとフェラスが消えた……?」

「惚けるな。司令部も知らない。何を企んでいる?」

「………それ以上言わないで。」

 

 

背を向けて独房を出ようとすると、腕を掴まれる。突然のことに驚き、私は彼の腕を捻り組み伏せた。後ろ手で、ユグノを強引に押さえ込んだ。

 

 

「エレノア…!」

「私は皇帝に逆らえないの。お願い、助けようだなんて思わないで。」

「最初から諦めるのか!?貴女らしくない!」

「やめて……」

 

 

声が震えてしまった。暗黒面が怖いんじゃない。皇帝、主が怖いんだ。

 

ユグノを離して、私はドアのロックを解いて独房を出る。

 

 

「時間がない。このゲームも、もうすぐ終わる。その気持ちは、ありがたく受け取るよ。」

「エレノア!!」

 

 

叫ぶユグノを無視して、私は独房のドアを閉める。

 

助けなんかいらない。どうせ、私は皇帝が死ぬまで逃げられない。服従の術は、片方が死ななければ解けないのだから。

 

それでも自由になりたいと願うのは、私の性だ。

 

誰にも縛られたくない。

 

────────

 

エレノアが出て行き、ユグノはドアを叩く。

 

 

「クソっ!!」

 

 

ユグノは最後に一発ドアを殴り、項垂れる。

 

誰も来る気配はなく、ユグノは独房の奥に座り込む。

 

ステファニーの付き添いで来たが、エレノアの為に手を尽くすつもりだった。だが、エレノアはユグノを拒んだ。ユグノは幼い頃の恩を返すつもりが、拒絶されてどうしようもなく悲しかった。

 

涙を堪えて、ユグノは制御盤の蓋を剥がす。

 

 

「え……?」

 

 

ユグノは、唖然となる。

 

なぜかドアが開き、独房前の見張りはいなかった。ユグノは罠を疑ったが、すぐに違うと断定する。もし罠なら、もっと人払いをするだろう。監房ブロックの出口にトルーパーがいるのが、その証拠だ。

 

そう考え、ユグノは独房を出る。

 

 

「おい!貴様、うわあああっ!!」

「やめろ、うぐっ……!」

 

 

ユグノはトルーパーを倒し、監房ブロックから抜ける。

 

彼の目指す場所は、ただ1つ。決戦の場のみ。

 

その決意を胸に、ユグノはトルーパーのブラスターを持って走る。

 

残り時間────僅か。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。