ルークは腹を括ったのか、ライトセーバーを起動して、私の一閃を防ぐ。
鍔迫り合う刃に、私達はヒルトを強く握り締める。
「エレノア……!」
本気で押す私に、ルークは表情を強張らせる。
刹那、フォース・プッシュをして、ルークはバルコニーの下へ落ちて行く。
皇帝の視界から外れて、私はルークを追ってバルコニーを下りる。立ち上がろうとするルークにライトセーバーを振り下ろし、何度も刃をぶつけた。私がいない間もアナキンとフェラスに鍛えられたようで、的確に攻撃を防いでいた。
「………甘いね。」
「っ!?」
フォース・ライトニングを放ち、ルークは咄嗟にライトセーバーで防御した。
「っ……やめろ…!」
「防いでばかりじゃ、永遠に勝てないよ。」
覚悟を決めたのか、ルークは防ぎながら一歩ずつ近付いてくる。徐々に近付いてきて、更に怒りを増幅させ、ライトニングの威力を上げた。そして、ついに目の前に来る。
焦って、今度は私が後退した。
その瞬間、ルークに頭突きされてライトニングを止めてしまった。
「ママっ!!!」
突然聞こえた声に、私は静止する。その隙にフォース・プッシュされ、私はガラクタの上に倒れた。駆け寄ってくる娘に、初めて怒声を上げる。
「部屋に戻りなさい!!」
私に怯えつつも、ステファニーは聞かなかった。
「イヤ!にぃにをいじめないで!!」
「ステフ…!お願い!言うこと聞いて…!」
「エレノア!!」
「っ!!」
私とルーク、ステファニーがいるところに、今度はユグノが駆け込んでくる。
苛立ちが増して、私はユグノをフォースで引き寄せる。首を絞めながら壁に叩き付け、暗黒面のフォースも使った。
「せっかく逃がしたのに!なんで戻ってきたんだよ!こっちの気持ちも考えろ!!」
「手を…離せ……!」
その時、ユグノがスタンされて私の手から離れた。
スタン・ビームを撃ったのはルークだった。
「ユグノを巻き込むな。」
「巻き込んだのはあんたでしょ。」
ルークの足元を見れば、ステファニーもスタンされていた。
「よくも娘にブラスターを向けたね。」
「今の貴女をステフに見せたくない。エレノア、なぜ逆らわないんだ?」
「あんたに言っても解決しない。」
そう返すと、ルークはライトセーバーを持って近付いてくる。
「僕は貴女と戦いたくない。降伏してくれ。」
「あはははっ!!」
思わず笑ってしまった。
ルークの姿が、フィストーと重なって見えた。いや、ルークはジェダイになりつつある。理想の、ジェダイに。
誰にも分からないだろう、今の私の気持ちなんて。
「何がおかしいんだ?」
「何でもない。すごく懐かしいものを見た気がしただけ。」
ウィンドゥやクーンも、ルークと同じことを私に言った。
“殺したくない、降伏しろ”と。
ウィンドゥ達は、その言葉は掟を守る為だけの意味のない言葉だった。自分達は何もせず、相手に強要するだけ。私はそんな人達と同じになりたくないから、ジェダイをやめた。
ただ、今は嬉しい。
ルークの言葉は、しっかり私に向けられた言葉だ。それは本来のジェダイの姿で、他者の為に行動する、理想のジェダイ。
私が忌み嫌うジェダイじゃない。
「ルーク、やっぱり戦わなきゃ。」
「無理だ!貴女だって戦いたくないはずだ!」
「戦わないと、みんな死ぬ。」
「エレノア……?」
「フォースと共にあらんことを。」
手を前に突き出し、ルークをフォースで吹っ飛ばそうとする。だけどルークも、同じように手を突き出してくる。フォースの押し合いが始まった。
「エレノア、僕はジェダイだ。決して諦めない。」
ルークに手を掴まれ、私は衝動的に悲鳴を上げる。一瞬だが、心を掘り起こされる感覚がした。言葉では説明できない感触だ。
つまり、記憶を読まれたんだ。
「離して!!」
ルークをフォースで吹っ飛ばし、馬乗りになってライトセーバーを振り上げる。
私は躊躇いなく突き下ろした。
「っ……」
私の手をテレキネシスで止められ、ルークは歯を食いしばる。
瞬発的にルークを殺さなければと、リミッターを外してしまった。シスの訓練で、私はいつでも人を殺せるようにできている。瞬発的に殺すと判断して、すぐ動けるように訓練された。
だけど、本当はやりたくない。ルークやレイア、ステファニーは可愛い。愛しているんだ。
感情が私を抑えていて、視界が滲んでくる。
「ルークっ………」
「エレノア、手を離すんた。」
私は震える手で、力を抜く。赤い刃が収まり、ヒルトが転がり落ちた。私は座り込み、自分の身体を抱える。
「エレノアの意思はないと言っていたが、まだ残っている。これがその証拠だ。一緒に帰ろう。」
そう言って、ルークは抱き締めてくる。
「やはり弱くなったか、“ネル”。」
皇帝が私とルークを見下ろし、怒りを含ませて吐き出した。
「父から聞いているぞ。貴女はエレノアを恐れている。だから首輪をしたんだ。」
「生意気な!余に恐ろしいものはない!奴隷が逆らうことは許さん!」
それは皇帝としてではなく、シスとしての言葉だった。
“主”は理解したふりをしただけ。私の夢なんかどうでも良かったんだ。叶えれば、私は見返りとして尽くしたから。
私は軽率だった。
「マスター……」
「ルシル卿、失敗したようだな。其方には失望した。シスの首輪など生温い。余が直に殺してやる。」
皇帝は私のライトセーバーを奪い、私の首を刎ねようとする。ルークを突き飛ばし、極力皇帝から離した。ルークを殺させるわけにはいかない。
死を覚悟して、私はその瞬間を待った。
もう時間切れだ。