【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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因果の終わり

いつまで経っても死なず、何も起きなかった。

 

視線を上げると、2人のロイヤル・ガードがフォース・パイクで赤いライトセーバーを止めていた。

 

 

「邪魔をするな!!」

 

 

ロイヤル・ガードは皇帝にフォースで薙ぎ払われ、壁に叩き付けられた。

 

動けないロイヤル・ガードを狙い、“シディアス卿”はライトニングを放つ。2人を守る為、私も対抗するようにフォース・ライトニングを放った。私の方が若さで勝ち、皇帝は玉座の下に倒れる。

 

突然のことに、ルークは唖然となっていた。

 

 

「………あんた達?」

「すまない。」

「こいつが手間取ったせいだ。」

 

 

手は貸してあげず、2人が立つのを待つ。

 

信じて待っていたのに、遅すぎる。私がどれだけ苦しんだことか。あまりに腹が立って、ロイヤル・ガードの片方の腹を殴ってしまう。

 

 

「どういうことだ!?ロイヤル・ガード!!」

 

 

皇帝はロイヤル・ガードの裏切りに、怒りを露わにする。

 

 

「あのカプセルが役に立ったな。」

「とんでもない懸けだったけどな。」

 

 

そう言って、ロイヤル・ガードの2人はシスの隷属をフォース・パイクで全て倒す。そして、2人はマスクを外した。

 

2人の顔に、ルークと皇帝は目の前の現実を飲み込めないみたいだった。

 

だけどすぐに把握して、2人の名前を口にする。

 

 

「お父さん!?」

「フェラス・オリン…!!」

 

 

ロイヤル・ガードに扮した2人、アナキンとフェラスはマスクとフォース・パイクを投げ捨て、ライトセーバーを起動させる。

 

 

「一体、」

「イサラミリのカプセルを、自分達が使ったわけ!?副作用も考えずに!?」

 

 

ルークの言葉を遮り、2人に怒る。

 

私はその為に渡したんじゃない。武器の1つとして渡したんだ。そんな危ないものを使わせる為に、2人に託したんじゃないのに。

 

 

「心配ない。今は何もないし、お陰で行方を誤魔化せた。」

「それよりも、ネルの方が心配だったんだ。」

「余が予期できなかっただと……!?なぜだ!?」

 

 

驚きもしない私に、皇帝は声を荒げる。

 

私は2人がロイヤル・ガードに扮していることは知らなかったけど、合流することは知っていた。でも合流のタイミングは、打倒シスの為にあえて指定しなかった。ただ、いつ来るか分からない加勢は待てない。

 

止むを得ないとはいえ、皇帝に従うしかなくて苦しかったのは本当だ。皇帝を欺くには、誰かが闇に堕ちるしかない。

 

この展開は、誰にも予期できなかっただろう。

 

私も知らなければ、ルークも知らない。強いて言えば、誰も知らない。おまけに、イサラミリのバブルが入ったカプセルを、自分達に使っている。

 

2人が乱入した今、この先は誰も予期できない。

 

 

「イサラミリのバブルは、フォースが存在しない気泡を作る。だから2人を感知することはできなかったわけ。」

「何が起きているんだ……?」

 

 

先程までの私とは違う様子に、ルークは戸惑う。

 

帝国に潜り込む方法より、現れた理由が知りたいらしい。

 

 

「ルーク……私にはね、まだ叶えてない夢があるんだ。」

「夢?結婚相手なら見つけただろう。何が言いたいんだ?」

「それは夢の1つ。夢の計画は、まだ先がある。」

 

 

私の夢の計画は、大きく3つある。

 

1つ目は、恋人を見つけること。これはすっ飛ばして2つ目の結婚相手は見つけられたから、既に叶っている。

 

最後の夢は、まだ叶えていない。

 

だけど、最後の夢は叶えてはいけないものだ。

 

 

「昔、私は愛する人を求めて、楽園を欲しがった。2人だけの幸せな世界をね。」

「楽園……?」

「その過程で得た術が、フォース・ドレイン。」

「ルーク、お前も帝国放送を聴いただろう。ネルは自由意思がなくなる、と。」

「私は、フォース・ドレインで銀河を滅ぼそうとした。それを、“主”がやろうとしている。」

 

 

ルークはようやく理解したようだった。私を見て、次いで皇帝の顔を見る。皇帝の顔は醜く歪み、その笑みは私の話を肯定していた。

 

 

「僕とフェラスは、ネルの夢を全て知っている。だから気付けたんだ。」

「そんな……!」

「もう遅い!!余は銀河を滅ぼし、支配するのだ!銀河はシスのものだ!!」

 

 

皇帝はそう叫び、オールド・タングを吐く。

 

 

「私がさせない。」

「“ネル”、余が其方を作り上げたのだ。止めることはできんぞ。」

 

 

シスの秘術が発動し、フォース・ライトニングが真っ直ぐ私を襲う。私もライトニングを放ち、対抗する。だけど、憎悪を増した皇帝は強い。このままでは、私は押し負けてしまう。

 

アナキン達は、シディアス卿の命令で起き上がるシスの隷属に手一杯だ。

 

 

「我が弟子よ、忘れたか?其方には首輪があるのだぞ。」

 

 

息ができなくなるけど、構いはしない。苦痛は力になる。そう、私は力を与えられているんだ。

 

 

「だから何?これが解けなかったのは、私が弱いからだと思ってんの?“マスター”、いつか私に言ったよね。私は主人を脅かすって。」

 

 

つまり、私は皇帝より強くなった。

 

怒り、悲しみ、憎しみを糧に、暗黒面のフォースとの繋がりを深く求める。呑まれてもいい。ダース・シディアスを潰せるなら、地獄に道連れにしてやる。

 

 

「ネル!!」

 

 

アナキンの叫びに、私は冷たく笑みを浮かべる。

 

結局、私もシディアス卿と同類だ。暗黒面は心地良い。

 

シスの秘術で肉体を若く保っていたが、術を解き、全ての生命エネルギーをフォース・ライトニングへ回す。私の外見は本来の年齢通りの姿になり、抑えていた分ライトニングが強くなる。青い電撃は、互いの身体を傷付けた。

 

ライトニングの強い反動で、私が先に苦痛で呻き始める。

 

 

「エレノア!もうやめろ!!」

「エレノア!!」

 

 

3人の声を無視して、私はライトニングを強くさせる。

 

 

「っ!!」

「っ!?」

 

 

刹那、言葉を失った。

 

間にユグノが割って入り、ライトニングを直に浴びる。その反動で、私と皇帝は弾き飛ばされた。ユグノは私を伏せさせ、その隙にアナキンが私と皇帝の間に飛び出す。

 

脳裏に、予言が思い浮かんだ。

 

“選ばれし者”

 

それは、フォースにバランスをもたらす者のことだ。フォースの申し子、アナキン・スカイウォーカーだ。

 

アナキンはライトセーバーを使わず、シディアス卿をフォース・プッシュでリアクターに突き落とす。

 

 

「ああああああああっ……!!」

 

 

皇帝は悲鳴を上げ、真っ逆様に落ちていく。

 

トドメを刺したのは……否、トドメを刺す役目は、選ばれし者のアナキンだった。

 

やっと戦いが終わった。

 

身体中が痛い。手の平はライトニングで裂けて血が滲み出ている。ズキズキするけど、この痛みも力になる。

 

ついにシス・マスターを超えたんだ。

 

私は、唯一のシスだ。

 

 

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