4日後、新共和国軍がジャクーに現れたことで、戦いが始まった。私とレイアが地上へ向かい、地上でも戦いが始まった。
レイアと精鋭部隊を下がらせ、私は一気に駆けて帝国地上軍の前に踊り出る。
「ルシル卿だ!撃ち方やめ!」
その言葉に、私は口端を吊り上げる。
「あんた達、大馬鹿だね。」
「な、なんだ!?」
「うわあああっ!!」
私はシスの言葉を吐き、フォース・ドレインを使う。トルーパーの生命エネルギーを吸い取り、そのエネルギーで緑色の炎を地面に走らせた。炎に触れたトルーパー達は毒が身体を蝕み、梅きながら倒れる。
その様子を見て、レイアが私に怒る。
「殺したの!?」
「殺してないよ。生命エネルギーは全部奪ってないし、トルーパーが苦しんでいるのは身体が痺れているから。大丈夫、2日で治る。」
「お母様との約束を守っているのね。」
戦う前、私はパドメに約束させられた。味方にも良い印象を残す為に、シスの秘術で殺さない、と。余程のことがない限り、私がシスの秘術を全力で使うことはない。
「ほら、道が空いたから行くよ。」
「心配だわ……」
「へーきへーき!」
やたら警備の厚かった施設の入り口を突破して、私達は長い通路を降りていく。
「エレノア」
「何?」
「訓練を積めば、私も父や兄のように戦えるかしら?」
「それは………」
答えは、YESだ。
レイアはベスピンで、フォース感応力を覚醒させた。だけど、素直には喜べない。ルークの時もそうだったけど、パドメは子供達に危険な道を歩ませたくないんだ。アナキンは子供達の意思を尊重したけど、私はパドメに同意だ。
私が安易に肯くわけにはいかない。
「レイア、フォース感応力なんかない方がいいんだよ。」
「え…?」
「ルークは望んでジェダイになったけど、私は違う。」
「………」
「よく考えて。」
最下層に着き、私達は分厚い扉の前に立つ。
パネルに手を翳し、フォースを使ってロックを解除する。扉が開き、精鋭部隊はブラスターを構えて突入した。撃ち合うまでもなく、ラックスを守っていたトルーパーは撃ち倒された。
残されたラックスは、私の姿を見て嫌な笑みを浮かべる。
「ルシル卿、まさか反乱者共に手を貸すとはな。」
「ラックス元帥、私が帝国軍を指揮してるんだってね?」
「だからなんだ?」
「軍を引き上げさせろ。」
「なんだと?」
私の言葉を聞いているのに、頭では理解していないらしい。いや、分かりたくないだろう。当然の反応だ。
皇帝の後見人となれば、私はラックスに見下されているからだ。
でも、私が帝国軍を指揮してるとほざいたのはラックスだ。
「帝国軍のトップは私なんでしょ?引き上げさせろ、今すぐ。」
「ふざけるな!!」
ラックスが腕のスイッチを押すと、大量の水が部屋に流れ込んでくる。
その水は地上への通路から流れ込んできていた。恐らく、この仕掛けは観測所を封鎖する為のもの。ラックスはエレベーターに走り、精鋭部隊はラックスをスタンしようとブラスターを撃ちまくる。
「エレノア!!」
「レイア!伏せて!あんた達も!」
私の声に、レイアと精鋭部隊は慌てて屈む。その直後、ロケット弾がすぐ後ろに着弾する。避けていなければ、レイアは致命傷を負っていた。避けられなかった精鋭の何人かは、ロケット弾でかなりの傷を負っている。
「待って!!」
レイアは私の腕を掴む。
「誰も死んでいないわ。大丈夫よ、エレノア。」
「………」
「エレノア、こっちを見なさい。」
レイアの強い口調に、私はゆっくり振り返る。
冷静になると、自分の手が震えていることに気付いた。怒りが、ラックスを殺せと言っている。その感情に従いたくなるけど、私は必死に堪えた。
感情に呑まれてはダメだ。私が感情を利用するんだ。感情に支配されるな。
「ありがとう、レイア……」
「行きましょう。」
「レイアはここで負傷者の手当てを。私が1人で行く。」
「でも、」
「私は大丈夫。先に脱出してて。」
悍ましい私の姿を、レイアに見せたくない。
私は善人じゃない。自覚はしてるから、余計にタチが悪い。だけど、私は良心の呵責はしない。する気もない。
だから、私はラックスを見逃しはしない。
「ラックスー、いい加減諦めたらー?」
殺しはしない。私の役目はラックスを止めること。ジャクーの崩壊を防げれば、それでいいんだ。
シャフトを登ると、私は制御室に辿り着いた。
「ラックス」
何かを操作するラックスを呼ぶと、奴はブラスターで私の肩を撃つ。
私は避けもせず、真っ直ぐラックスに向かって歩く。当たったのにふらつきもしない私に、ラックスは恐怖にジリジリと退く。
当然だけど、痛くないわけじゃない。
治療は後回しでいい。今は目の前の戦いが先だ。
「ルシル卿、お前なら分かるだろう。帝国や反乱者共も、皇帝陛下と一緒に滅ぶべきだ。」
「それは間違いだよ。銀河は皇帝のものじゃない。あんたも遺言なんかに左右されて、可哀想な奴だね。」
「帝国を侮辱するな!!」
またブラスターで撃ってきたから、今度はライトセーバーで切り壊してやった。一気に間合いを詰めると、ラックスはこれでもかという程睨んできた。
「それと、私はダース・ルシルじゃない。私の名前は、エレノア・クラウド。ジェダイでも、シスでもない。」
「貴様……!」
その瞬間、後ろから1発のスタン・ビームが撃たれて、私は振り向かずにそれをライトセーバーで防ぐ。
防がれると思わなかったのか、撃ってきた女性将校は驚いていた。
「私がフォース感応者だと忘れたの?レイ・スローネ。」
「あぁ、そうでしたね。ところで、なぜラックス元帥を殺さないんです?貴女なら躊躇いなく殺せるでしょう。」
なるほど、彼女はラックスの死がお望みらしい。
だけど、誰もが私を誤解している。確かに訓練は受けたけど、それは殺す場合の話だ。殺すべき対象を殺せなければ意味がない。だから躊躇いなく殺せるように、“主”から訓練を受けた。
嘗めてもらっては困る。
私はちゃんとした判断ができる。
「訓練を受けたイコール、誰でも殺すって思わないことだね。」
軽くフォース・プッシュしてやると、スローネは思いっきり吹っ飛ぶ。
彼女が取り落としたブラスターをラックスが拾おうとするが、私はシスの秘術で奴を止めた。緑色の炎がラックスを取り巻き、身動きを封じる。大昔、ムスタファーでオビ=ワンに使ったものと同じ術だ。
「フォース感応者を嘗めない方がいいよ?」
その時、銃声が響いた。撃ったのは、スローネだった。隠し持っていたブラスター・ピストルを、倒れた体勢のまま撃っていた。
撃たれたのは、
「この……!裏切り者…が……!」
ラックスだった。
私が捕らえたことで、奴は的になってしまった。
致命傷を負ったラックスを解放し、私はスローネを睨みながら拳を震わせる。
「あはははっ!貴女でもそんな顔をするんですね!」
腑がぐちゃぐちゃになるような感覚だ。今の私の顔は、怒り一色だろう。腹の底から、嫌な感情が湧き上がってくる。
「………あんたに選ばせてあげる。」
「は……?」
「私に殺されるか、自害するか選べ。」
「死ぬのは貴女だ!!」
スローネがブラスターを向けてきて、私は反射的にテレキネシスで奪い取る。スローネに息を吐かせる間もなく、私はトリガーを引いた。
だけど、その弾はスローネに当たることはなかった。
「なぜ…」
私の言葉を代弁するように、スローネがそう呟く。
自分を撃ったはずのスローネを、奴はなぜか庇った。
スローネが奴の傍らに寄ると、ラックスは彼女を引き寄せる。何かを耳打ちして、ラックスは息を引き取った。
「何を言われたの?」
「貴女に知る権利はない。でも、本当はご存知でしょう?」
「私には関係ない。レイ・スローネ、あんたを連行する。」
赤いライトセーバーを向けても尚、スローネは笑みを消さなかった。
「貴女に私を連行することはできない。私が投降すれば、貴女は都合が悪くなりますよ。」
「………」
「もう会うことはないでしょう。サヨナラ、ルシル卿。」
スローネは私を置いて、暗闇の中へ消えていく。
私の頭の中には、スローネの言葉が木霊していた。
──────本当はご存知でしょう?
センチネルのメッセージは、私を深淵の底に突き落とすようなものだった。だから、フェラスにもアナキンにも言えなかった。もし知られたら、私は私でなくなってしまう。
ジャクーの戦いは新共和国軍が勝利したけど、私の戦いは喜ばしくないものになった。
私のゲームは、まだ終わってない。
遅れてしまい申し訳ございませんm(_ _)m
いろいろありまして、いろいろ………
ジャクー編は、次が最後です。