復讐の狼煙
帝国が滅んで、30年程の月日が流れた。
帝国軍と新共和国軍、最後の戦いの地、ジャクーの砂漠には〈ラヴェジャー〉が埋もれていて、多くのスカベンジャーがガラクタを漁りに訪れた。
そして、帝国の後継組織であるファースト・オーダーが台頭した。最高指導者のスノークは真っ先にジェダイを狙い、最後のジェダイであるルークは姿を消した。ジェダイの対となる存在のエレノア・クラウドも、人知れず姿を消した。
解体された防衛軍では何もできず、新共和国は為す術がなかった。そこでレイアはフォースト・オーダーに対抗する為、私設軍隊のレジスタンスを立ち上げた。
更に、レイアは行方不明である兄のルークを探す為、ポー・ダメロンをジャクーに派遣した。
ジャクーには、レイアの旧友であるロア・サン・テッカが隠遁していた。彼はフォースの教会に属していたこともあり、過去にルークとの協力関係がある。ルークの所在の手掛かりである地図を、その彼が持っていた。
しかしこの地図を巡り、フォースト・オーダーはジャクーで小さな村を襲撃した。
ポーはカイロ・レンに捕まり、1人のストーム・トルーパーが彼を逃したことで、全てが変わった。
「おい!何やってんだよ!」
「俺だってよく分かんねぇよ!」
ストーム・トルーパー、FN-2187がポーを連れて艦内を逃げ回る。
ところが、彼らの目の前に2人のトルーパーが現れ、不穏な状況に陥ってしまう。
「FN-2187、捕虜をどこに連れていく?」
「その…命令で……」
「そんな命令は下りていない。確認する。そこを動くな。」
その時、もう1人のトルーパーが相方をブラスターで撃ち倒した。
「めんどくさ。」
「「えっ」」
そのトルーパーは、倒した相方を近くの倉庫に放り込んだ。
「何突っ立ってんの?間抜け面してないで早く逃げなよ。」
「何者だ!?」
「お前……!」
ポーが正体を問い質すのに対し、FN-2187は激しく動揺する。
倒されたトルーパーは男だったが、このトルーパーは女性の声だった。彼女は小さく笑い、ポーにブラスターを渡す。
「時間がない。早く行って。」
「っ……行くぞ!!」
ポーを追いかけながら、FN-2187は彼女を心配そうに見ながら逃げた。
その後、ポーとFN-2187はTIEファイターでスター・デストロイヤーを脱出した。
彼女は早々にアーマーを脱ぎ、人の形に並べた後、グレネードをセットする。彼女はヘルメットを外し、束ねていた長い金髪を下ろした。歩きながら手櫛で解かして、誰もいない格納庫に入る。
ハッキングして、彼女もシャトルに乗り込みスター・デストロイヤーを脱出した。
ファースト・オーダーはポー達に気を取られて、誰も彼女の失踪に気付かない。
「予定より遅れちゃった。」
そう呟き、彼女は密かにジャクーの砂漠へと降り立った。
様々な場所で、小さな希望が芽吹いていた。
遥か遠くの地、ナブーでは1人の男が静かに息を引き取っていた。
彼の名はフェラス・オリン。エレノア・クラウドの夫であり、ステファニー・オリンの父親である。彼の傍らには、フォース・ゴーストのアナキン・スカイウォーカーがいた。
ジャクーの戦いから20年後、アナキンが亡くなり、2年後にはパドメも後を追うように亡くなった。それから現在、フェラスはスノークの凶刃に敗れ、エレノアが見守る中、静かに息を引き取ったのだった。
楽園を壊されたエレノアは怒り狂い、淡々と戦いを始めた。
長い時を経て、“ダース・ルシル”は戻ったのだ。
エレノアの行動で、全てが変わっていく。
────────
私は、愛する人を奪われた。
彼が倒れた瞬間、私の心は憎悪に埋め尽くされた。幸せを奪った奴を、殺してやりたい。憎くて、恨めしくて堪らない。
「っ……」
手を汚す覚悟はできている。これが初めてじゃない。躊躇いはない。どうすれば殺せるか、よく分かってる。
相手に情がなければ簡単だ。大切な人達に嫌われてもいい。愛する人を奪われた悲しみは、死んでも癒えない。
悲しいは憎しみに、憎しみは怒りへと変わる。
怒りは私の力だ。
「………許さない。」
復讐を止めようとする声を無視して、私は暗黒面のフォースと深く繋がる。
共和国もジェダイもどうでもいい。盟約も関係ない。全て潰してやる。誰にも私を止められない。
ファースト・オーダーは、スノークは必ず滅ぼしてやる。
「《平和は偽りだ、情熱があるのみ。》」
この平和は偽物、感情が全て。
「《情熱を通じて強さを得る。強さを通じて力を得る。》」
感情に際限はない。その怒りが力を与えてくれる。感情が私を突き動かす。
「《力を通じて勝利を得る。勝利を通じて私の鎖はちぎれる。》」
強い力は、勝利へ導いてくれる。勝利することで、私は更なる高みへ。私を束縛するものは何もない。
「《フォースは私を自由にする。》」
暗黒面のフォースは、私を自由にしてくれる。フォースは、自由を得る為の道具に過ぎない。私は、私だ。
「《………平和は偽りだ。》」
平和は、ただの虚像だ。見えていたのは、表層のほんの一部。この世界に、平和は存在しない。
愛する人がいない世界に、平和なんかいらない。全てを奪った奴らに、喜びは与えない。安息なんか絶対に許すものか。
フェラスがいなければ、私の人生は無意味。
深い喪失感が、私の怒りに拍車をかける。
「フェラス………愛してる。」
思い出せ、力こそ全て。情けは無用。害を為す者全て滅ぼせ。
良心は捨てろ、役に立たない。
愛では、大切な人を救えない。
“ダース・ルシル”が帰還する時が来た。