時は流れ、現在。
1人の若い男が、〈ミレニアム・ファルコン〉で手を煩わせていた。
『おい!早くTIEファイターを墜とせよ!』
「弾が勿体ないだろ。」
通信で文句を言われ、彼はしっかり狙いを定めて、追ってくるTIEファイターを撃ち落とす。
事の始まりは、彼が任務で〈ミレニアム・ファルコン〉を探していたところに、ファースト・オーダーとのゴタゴタに巻き込まれたところから始まる。
通信機は壊れ、スカベンジャーとファースト・オーダーの脱走兵と、彼は止む無く手を組むことになった。男の任務は、この船を回収して帰ること。それがファースト・オーダーの脱走兵と、ガラクタ漁りの女と一緒に行動するなど想定していなかった。
ファースト・オーダーから逃げ延びてようやく静かになり、彼らは休憩室に集まる。
「あんた何者だ?」
「俺はエドワード。気軽にエディって呼んでくれ。」
男の名は、エドワード。
彼は金髪の頭を梳き、前髪を後ろにかき上げる。
「それで、お前達は?」
「私はレイよ。彼はフィン。フィンはレジスタンスなの。」
「へぇ?」
エドワードはレジスタンスの“将軍”から依頼を受けていたが、フィンの顔は知らなかった。
「俺はレジスタンスの依頼で、この船を探していた。言いたいことは分かるだろ?」
「悪かったよ……」
3人一緒に逃げた経緯は、エドワードが〈ミレニアム・ファルコン〉を飛ばそうとしているところに、レイとフィンが駆け込んできたからだった。
レイとフィンは先程のことを思い出し、エドワードに謝罪する。
「その丸いドロイドはなんだ?」
「レジスタンスのドロイドよ。重要な地図を持っているらしいの。」
丸いドロイド、BB-8はフィンもエドワードも面識がなく、戸惑うしかなかった。しかし、このドロイドにも任務がある。BB-8はその地図をレジスタンスの基地に持って帰らなければならない。
その時、エドワードは何かの匂いに反応する。
「なんか臭くないか?」
「っ!ガスよ!!」
レイは床下に入り、配線などを修理する。フィンには何が何だか分からず、それを眺めているだけだ。
「それで、レジスタンスの基地はどこにあるの?」
レイの問いに、フィンはBB-8を小声で問い詰める。
「おい!基地はどこにある!?頼むよ!お前の助けが必要なんだよ!」
「なぁ丸ドロイド、俺はレジスタンスの将軍を知ってる。俺がいてもダメか?」
BB-8は、基地に向かう為にもこの3人が必要だと判断し、基地のある星系を教えた。
「イリーニウム星系!?随分遠いのね。」
「直せるか?」
「直せるには直せるけど……テープ取って。」
「テープ?」
「穴を塞がないとガスが漏れるの!!」
フィンがレイにテープを渡した時、エドワードは何かを感じ取る。
次の瞬間、船は何かに捕まり、航行不能になってしまった。
「トラクター・ビームに捕まったわ!」
「どうする!?」
「落ち着け。」
「そうよ、フィン。」
「レイ、何かいいアイデアはないか?」
「早くしないとまずいんじゃないのか!?」
「フィン、うるさいぞ。」
レイはまた床下に降りて、壁にかかる酸素マスクを手に取る。それをフィンとエドワードにも渡して、自分も装着した。勢いよくテープを剥がすと、レイは2人に考えを教える。
「トルーパーにガスは効く?」
「あのマスクは煙を防ぐ程度の機能しかない。良い案だな!」
「よし、ならこのまま床下に隠れるぞ。」
エドワードは手慣れた動きで床板を掴み、BB-8を床下に下ろす。彼は板を閉めると、酸素マスクを装着して、通気孔を開いた。レイは配線を繋げて、ファンでガスを船内に充満させた。
「運が良ければ脱出できるわ。エドワード、ブラスターは持ってる?」
「俺には必要ない。」
「必要ないだって?武器無しで戦う気か!?」
「まぁ見てろ。」
エドワードはポシェットからヒルトを出すと、スイッチを入れる。スイッチが入るとヒルトの両端が伸び、コンパクトなエレクトロスタッフになった。エドワードはエレクトロスタッフを構えて、床下から上の様子を窺う。
そして、〈ミレニアム・ファルコン〉に誰かが侵入してくる。
エドワードはエレクトロスタッフを片手に、床板に手をかける。
運命が、大きく動き始めていた。
────────
一方その頃、ホズニアン・プライムの元老院オフィスのとある部屋で、長い金髪の女性が誰かとホログラム通信をしていた。
「え?何?よく聞こえない。」
『わざとやっているのか!?助けてくれって言っているんだ!』
「なんでこの私が、あんたなんかの為に助けなきゃいけないわけ?」
彼女は嫌そうな顔をしながら、通信の男を拒否する。
『今頼れるのは君しかいないんだ!』
「あんたが迷子とか笑えるわ〜」
『笑い事じゃない!なぁ、頼むよ!』
「うーん、分かった。いいよ。その代わり、貸し3だからね。」
『あれを勘定に入れるのか!?』
「私の貸しは高いってこと。じゃあねハニー♡」
彼女は男が何か言う前に、強制的に通信を切る。
通信を切ったと同時に、オフィスの主が戻ってきて、議員は彼女に挨拶する。その議員はビクビクしながらも、平静を保とうとしていた。
「レジスタンスには連絡した。もう勘弁してくれ。」
「私が許しても、母は許さない。」
「だが、」
「あんた達共和国がファースト・オーダーに対処していれば、こんなことにはならなかったんだよ。精々母の邪魔はしないことだね。」
彼女は議員に背を向け、オフィスを去ろうとする。
議員はそんな彼女の腕を掴み、引き止めて縋った。
「待ってくれ!私と君の仲だろう!私を見捨てるのか!?」
「その汚い手を離して。」
その怒りを孕んだ声に、彼は思わず手を離す。振り向いた彼女は、感情に従い議員をフォース・プッシュした。手加減もなく吹っ飛ばされた議員は、デスクを背に踞る。
「私が何も知らないと思ってんの?“ママ”から聞いてるよ。母親を殺そうとした男を助けるわけないでしょ。」
「まさか……!」
「最初から知ってて近付いたに決まってんじゃん。あんたが困っていようが、私にはどうでもいい。バイバイ、議員様。」
後ろ手に手を振り、彼女はオフィスを出て行く。
彼女は溜め息を吐きながら、別の者にホログラム通信をする。
『───────!』
ホログラムの相手は、彼女の顔を見て怒鳴り声を上げる。
「ごめんって。忙しかったの。“オーガナ将軍”に取り次いでくれる?」
彼女は微笑み、通信相手に頼み込む。相手は渋々受け入れ、一度通信を切断した。彼女は欠伸をしながら、元老院のオフィス・ビルを後にする。
「次はもっと可愛い男にしよーっと。」
彼女は宇宙港へ入り、小さなシャトルに乗り込む。ホズニアン・プライムを発った後、彼女は惑星ディカーの座標を入力した。
そして、シャトルはハイパースペースに突入した。
銀河の片隅で、小さな蕾が開き始めていた。