ハンは状況を知り、BB-8に地図を見せるように言う。
BB-8は地図を映し、バイナリーを鳴らした。
「これは地図の一部だな。」
誰が見ても、この地図は既存のどの星系にも当てはまらない。銀河中を飛び回るハンでさえ、地図を見ても理解できなかった。
「エドワード、エレノアはどこだ?」
「分からない。」
「分からないだと?いいか、小僧。エレノアを1人にするな。何とかしねぇと、取り返しのつかないことになるぞ。」
「………もう遅い。」
エドワードの瞳には、光が消え失せていた。
「3日前、ロザルに派遣されたファースト・オーダーの大隊が………全滅した。」
「………」
「なぜか分かるか?」
「まさか……」
ファースト・オーダーにいたフィンは、エドワードの言葉で3日前の出来事を思い出していた。
3日前、ロザルに派遣されたファースト・オーダーの大隊は、エレノアを追ってきていた。大隊を率いる提督は、エレノアを追い詰めていたが、一瞬の内に全てのトルーパーを倒されてしまった。
エレノアは、長い間封印していたシスの秘術を解禁し、フォース・ドレインを使ったのだ。
提督と数人のトルーパーは辛うじて生き残ったが、彼らはエレノアに怯えて何もできずに撤退をした。それがファースト・オーダー内で話が伝わり、フィンの耳にも入った。大隊を潰された提督は追跡を断念し、エレノアの消息も分からなくなったのだった。
「母を止められるのは、マスター・スカイウォーカーだけだ。フォースが悲鳴を上げている。」
「フォースって……ジェダイは本当に………」
「俺も最初はそう思っていたさ。だが、事実だ。善と悪、光と闇………全て本当だ。」
「ルーク・スカイウォーカーも……」
「ああ、本当だ。俺の父はジェダイのフェラス・オリンで、母はエレノア・クラウドだ。ジェダイやシスは御伽噺じゃない。」
エドワードはルークとは面識がない。だが、エレノアを止められるのはルークだけ。どうしてもルークが必要な為、エドワードはレジスタンスに協力していたのだ。
「それで、彼はどこへ?」
「噂は聞いた、いろいろな。みんながルークを探した。ある者は、最初のジェダイ寺院を探しに行ったと言う。」
「なぜ?」
「ルークは、新しい世代を育てていた。だがある時、一人の少年によって全てなくなっちまった……」
ハンの寂しそうな表情に、レイは胸を高鳴らせる。
しかし、優しい物語ではない。それを理解しているエドワードは、レイの表情に唇を噛んだ。ハンとエドワードは、家族が闇に堕ちて苦しんでいる。
レイの期待とは裏腹に、2人はやるせない気持ちを抱えていた。
「エディ……?」
エドワードの泣きそうな顔に、レイは心配そうに声をかける。
「大丈夫…?」
「ああ…」
「貴女のお母さんもジェダイなの?」
「いや、ジェダイじゃねぇ。」
レイの言葉に、ハンが否定する。この場でそう断言できるのは、エドワード以外ではハンだけだった。エレノアと面識のあるハンだけが、彼女がジェダイじゃないと断言できるのである。
「母は唯一のシスだ。」
「ちょっと待て。ダース・ルシルが“エレノア・クラウド”なのか?」
「そうだ。」
フィンは顔を青くさせる。
もし自分がロザル派遣の大隊に配属されていたら、と。配属されて、エレノアが反撃しなければ、エドワードの母親を殺していたかもしれない。そう考えてしまっていた。
エドワードと知り合った間もないが、フィンはこの奇跡とも言える状況に感謝した。
「ダース・ルシル…どこかで聞いたことがあるわ………」
「伝説だからだろ?」
「違うの。フィン、あのね、伝説じゃなくて……もっと別のところで聞いたのよ。思い出せないけど………」
「母はいろんな奴に恨まれている。どこで名前を出されても不思議じゃない。」
当然だと、ハンと、横になっているチューバッカまで肯いた。
「エドワード、ステフはどうした?」
ハンの放った言葉に、その場の全員が思い出したようにエドワードを見る。
そう、エレノア・クラウドとフェラス・オリンの間には、エドワードの姉であるステファニー・オリンがいる。
ルーク以外でエレノアを止められる可能性があるなら、それはステファニーだ。だが、ステファニーとエドワードにはすれ違いがあった。その小さなすれ違いが、エドワードを悩ませていた。
「姉貴は勝手な奴だ。」
「は…?」
「父さんが死んだのに悲しんでいる様子もないし、母さんを止めもしない。それなのに、復讐はするなって言ってくる。連絡も取れないし、勝手すぎる。」
「おかしいな。ステフは家族を第一に考えるはずだ。言い方は悪いが、真っ先に復讐を考えそうだがな。」
エドワードがいくら話したところで、何も解決はしない。今必要なのはルーク・スカイウォーカーで、ルークかいなければエレノアもステファニーも見つからないのだ。
ハンは、3人の話を聞き決断する。
「分かった、手を貸そう。俺の古い友人に会いに行くぞ。」
「古い友人?」
「ああ。」
「友人ってどんな人なんだ?」
「マズ・カナタという女海賊だ。」
その名前に、エドワードは苦虫を噛み潰したような顔をする。
その顔に誰も気付くことはなく、船はしばらくしてタコダナの軌道に飛び出した。
ここで新たな戦いの幕が上がるとも知らずに。
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一方その頃、スターキラー基地ではレンとハックスがスノークに呼び出されていた。
『エレノア・クラウドとルーク・スカイウォーカーをレジスタンスに接触させてらならん。』
「承知しています。」
『ハックス将軍、下がれ。』
「承知しました。」
ハックスが退室した後、スノークはカイロ・レンにロザル奇襲の報告を促す。
『感じたか?』
「………はい。」
『覚醒が始まった。クラウドの行方はまだ分からぬか?』
「奴のフォースが全く感じられない。どういうことでしょう?」
『いずれ分かる。それからもう1つ、ドロイドはお前の父といる。』
「迷いはありません。貴方に鍛えられ、揺らぎません。」
レンの言葉に、スノークは苦しい試練となるだろうと告げる。
『気を付けろ。クラウドは何かを企んでいる。決して油断するな。』
「はい、お任せを。」
レンが頭を下げると、スノークのホログラムは消える。
カイロ・レン、もといベンの心にあるのは、妬みと憎しみ、そして怒りだった。彼は闇の中に囚われ、全てを拒んでいた。だが奥底には、ベン・ソロの心が潜んでいる。
ベン・ソロの、スカイウォーカーの末裔を救える者は少ない。
暗黒の舞台が、幕を開けた。