エドワードはマズに介抱され、タコダナにフォースト・オーダーが現れた。
客は逃げていき、ハンとチューバッカはトルーパーの中隊とブラスターを撃ち合う。
「あんた!これを持ってレイを助けに行きな!」
「俺が!?」
マズはレイが拒んだライトセーバーを差し出して、フィンに助けに向かうように言う。フィンは考える間もなく、ライトセーバーを受け取った。彼は真っ先に、レイを助けることを優先した。
エドワードは気を失い、戦えるのは自分だけだと言い聞かせる。
「早く行け!!」
「はい!!」
ハンに急かされ、フィンはヒルトを握り締めて走った。
年老いたハンは数が多すぎるトルーパーに引けを取り、チューバッカもフォローができず、あっという間に取り囲まれる。チューバッカが唸るも、トルーパーにボー・ライフルを奪われてしまった。
「クソ…!」
悪態を吐いていると、ハンは懐かしい姿を目に写した。
「おいお前!動くな!」
そして、誰かがチューバッカを小突いたトルーパーの肩を叩く。しかしトルーパーはすぐに気付かず、怒鳴り続けた。尚も優しく肩を叩かれ、彼はようやく振り向いた。
トルーパーの肩を叩いたのは、長い金髪の女性だった。
彼女は振り向いたトルーパーに、満面の笑みを見せる。
「誰だお前!?」
「私の友達に何してんの?」
「トモダチ……?」
「めんどくさ。」
「は?」
その瞬間、彼女は笑みを消してトルーパーを殴り倒す。
「全く……綺麗な顔が台無しだな。」
ハンが呆れたように言うと、トルーパーは一斉にブラスターを彼女へと狙いを定める。
「撃て!!」
「弾の無駄使いだよ。」
そんな彼女は、余裕な表情で赤いライトセーバーを起動させる。ブラスターが放たれ、ハンは顔を青くさせた。だがハンの心配は杞憂となった。
彼女はライトセーバーで土埃を舞い上げ、レーザー弾を変更させてトルーパーを1人ずつ確実に倒していく。
それと同時に、レジスタンスのXウィング部隊がタコダナのファースト・オーダーを制圧し始めた。
包囲していたトルーパーが全員倒れた後、ハンは彼女に駆け寄る。
「ここで何をしてる!?」
「そっくりそのまま返してあげる。ハンおじさん、やっと戻ってくる気になったの?」
「頼むからやめてくれ、ステフ。」
ステフと呼ばれた女性は、ハンを睨み付ける。
ハンが“ステフ”と呼ぶこの女性こそ、エレノアの娘であるステファニー・オリンである。
「大変だ!!!レイが、っ!あんたあの時の!?」
「あ、FN-2187くん、久しぶり。」
「小僧、知り合いか?」
「いや、違います!そんなこと言ってる場合じゃない!レイが連れていかれた!!」
それを聞いたステファニーは、レイを抱き上げているレンに赤いライトセーバーを投擲する。だがそのライトセーバーはレンに弾かれ、レイは連れ去られてしまった。レンを冷たく見据えるステファニーは、ハンの呼び掛けで我に返る。
「ステフ、」
「私の弟はどこ?」
「マズが介抱してる。レジスタンスを連れてきたのはお前か?」
「うん。私が連絡した。」
正確に言えば共和国の議員だが、ステファニーはあえて言わなかった。
レジスタンスのキャリアーが下りてくるが、ステファニーはそれに目もくれず、エドワードの下へ向かった。嫌そうな顔をするマズを無視して、エドワードを診る。
「大丈夫、その内起きる。」
「ステフ、あんた私に言うことがあるだろ?」
「えー、何かしたっけー?」
ステファニーは忘れたふりをするが、マズは彼女の所業を忘れてはいなかった。
「私が助けてやらなかったら、あんたは迷子のままだったんだよ。それも一度や二度じゃない。感謝してほしいくらいだ。」
「助けてなんて頼んでない。自分でどうにかできた。」
「そう言って、何度殺されかけたんだい?母親の言い付けを無視して………ネルの苦労も知らないだろう?」
マズはそう言って、エレノアの心境を憂いた。
ステファニーは容姿こそ父親の生き写しのようだが、性格は母親の性に影響されていた。自由で奔放、愛する者を第一として、家族の為ならどんな悪事にも手を出す。それは、かつてのエレノアの行動に似ていた。
マズはそんな小娘の本質を見抜いていて、呆れたように溜め息を吐く。
「マズ」
レイアがキャリアーから降りてきて、ステファニーの肩を優しく抱く。
「この子は私が……巻き込んでごめんなさい。」
「遅かれ早かれ、ファースト・オーダーはタコダナに来ただろう。気にすることはないさ。ステフから目を離すんじゃないよ。」
「ええ、もちろんよ。」
苦しそうな表情をしたステファニーは、レイアに連れられてキャリアーに乗り込む。後を追うようにエピが乗り込み、ハンとチューバッカは〈ミレニアム・ファルコン〉でディカーへと同行した。
エドワードはレジスタンスに運ばれて、フィンは心配そうに視線を彼に向ける。
「あんた……エレノアの娘だったんだな。」
フィンに問われ、ステファニーは寝そべったベンチから彼を見上げる。
「そうだよ。」
「あの船で何をしてたんだ?」
“あの船”とは、ジャクーの軌道にあったスター・デストロイヤーのことだ。フィンはその船で、ポーと一緒にステファニーと出会っていた。
「情報収集。スノークのね。」
「最高指導者の……」
「そう。ママの代わりに、私があいつを殺そうと思っただけ。」
「“だけ”って……思っただけで言うことじゃないだろ。」
「思うだけなら別にいいじゃん。私には殺しちゃいけない理由が分からないし。」
ステファニーの中では、殺しは衝動的なものになっていた。母のエレノアは訓練を受けて相手を殺すが、娘のステファニーは違った。彼女は感情に逆らうことはせず、怒りや憎しみに従って、何の躊躇もなく相手を殺す。
それは、弟のエドワードが姉を嫌悪する理由の1つだった。
「エドワードは大丈夫なのか?」
「平気だよ。ただ、夢を見てるかもしれないけど。」
「夢……?」
「フォース感応者は、フォースに夢を見せられるの。良い夢も、悪い夢もね。」
「悪夢じゃなければいいな……」
「………そうだね。」
ステファニーは、肯定も否定もしない。
フォース感応者であるステファニーは、他者の感情が分かる。今現在も、彼女は弟の悲しみを感じている。悲しさを感じるのに、良い夢なはずがない。ステファニーは弟が何を見ているのか、薄々勘付いていた。
しかし、ステファニーがそれをフィンに教えることはなかった。なぜなら、その悪夢はエドワードに必要なものだからだ。今起こせば、エドワードは何も変わらない。
彼は、夢の中で深い悲しみに襲われていた。
悲しみは憎しみに、憎しみは怒りに。
エドワードに、暗黒面が甘く囁く。