司令部に入るなり、レジスタンスの視線が私に突き刺さる。
他の隊員には目を向けず、私は真っ直ぐレイアの下へ向かった。
「エレノア」
レイアの弱々しい声が、私の名前を呼ぶ。
「私は“エレノア”じゃない。」
「………無理はしないで、“ルシル卿”。」
「無理?これが私なの。無理しているわけじゃない。」
背を向けると、レイアは私の後を追ってくる。レジスタンスの面々は作業に戻り、私達は司令部を出て行く。スリープモードのエピを回収して、基地のハンガーへと踏み込んだ。
「エレノア」
「………」
「聞きなさい、ルシル卿。」
今度はきつめの口調で呼び止められた。その表情はいつものレイアではなく、“オーガナ将軍”としての顔だった。その態度に、思わず嫌な顔をしてしまう。
「現実から目を逸らしても、何も変わらないわ。」
「そんなこと分かってるよ!!」
つい声を張り上げてしまい、私はレイアに謝る。
「ごめん……」
「戦いはまだ終わっていないわ。エレノア、」
「ステフはスノークに毒されてる。」
「貴女のせいじゃないわ。」
「私のせいだよ。知ってるでしょ?ファースト・オーダーが台頭した時、私は沈黙を貫いた。私がスノークを無視したから、奴は娘に手を出した。全部私のせい。」
ステファニーは自分で暗黒面に踏み込んだと言い張るだろうけど、間違いだ。唆したのはスノークだ。娘の怒りと憎しみを煽り、暗黒面に踏み込ませた。
その結果、ステフが元老院議員を脅し、共和国はファースト・オーダーに滅ぼされた。
ベンだけではなく、ステファニーもスノークに毒されてしまった。
「エレノア………」
「………」
「後悔しているのね。」
「私がシスに戻っても、ステフもエディも変わらないと思ってた。寧ろ、あの子達はあの子達でファースト・オーダーと戦うと思ってた。」
考えが甘かった。私がシスとして再臨しても、子供達は何も変わらないと勝手に考えていた。レイアやハンもいたし、心配なんかしてなかった。
だけどハンが離れていき、ベンも暗黒面に呑まれ、ステファニーも私に感化されてスノークに踊らされた。
バラバラにさせたのは、他でもない私だ。
「今からでも遅くないわ。一緒に戦って。」
「レイア、一緒には戦えない。私が始めたから、私が終わらせる。」
「貴女1人の責任じゃないのよ。」
「お願い、黙って見過ごして。私がここにいたら、エディまで闇に囚われる。」
息子まで囚われてほしくない。暗黒面はとても重い。呑まれるのは、私だけでいい。
「レイア、オク=トーにレイを向かわせるんだよね?」
「なぜそれを……?」
「エピを通して見てたから知ってる。」
R2-D2とBB-8の持つ星図が、オク=トーへの地図だというのは知ってる。
なぜなら、私はあの星でルークと決別したからだ。
「エディも同行させて。ステフも。」
「………荒治療させる気?」
「ルークの為でもあるんだよ。」
「貴女が行くという選択はないのね。」
「シスはジェダイの敵。私が助けることはできない。」
フェラスのライトセーバーを懐から出して、レイアに差し出す。
「ステフに渡してほしい。」
「貴女が渡すべきよ。」
「私にそれを触る資格はない。じゃあ、後は頼んだよ。」
フードを被り、私はレジスタンスのインターセプターに乗り込む。
「ママ!!!」
駆け込んできた娘の声を無視して、私はエンジンを蒸す。
Aウィングはディカーを離れ、あっという間に軌道へと出る。
私はシスだ。レジスタンスに希望をもたらすことはできない。希望を与えるなら、ルークにしかできない。最後のジェダイとして、私ではなく、ルークがレジスタンスを導かなければならない。
ハイパードライブを起動させ、私はレジスタンスの下を去った。
私の復讐は終わってない。
誰も巻き込まず、誰にも邪魔はさせない。
ハイパースペースに突入してすぐ、ホログラム通信機をある周波数に変えた。
『貴様は……!』
私の姿を見た相手の男は、突然のことに狼狽える。
「私はダース・ルシル。今すぐ奴を出せ。」
『従うわけ……っ!?』
ホログラム越しでも、フォース・チョークはできる。
窒息しそうになっている相手に、私はもう一度同じことを告げた。
『分かった……!やめ……ろ………!!』
その返事を聞いて、私は相手を解放する。
ホログラムから男が消え、奴が現れるのを待つ。さっきの男は処分されるだろうけど、私には関係ない。復讐に、関係者の犠牲は付き物だ。
やがて、通信が少しブレた後、要求した人物がホログラムに映った。
『ようやく姿を現したか、エレノア・クラウド。』
「違う。私はダース・ルシル。あんたを殺すシスの名前だよ。覚えておいて……」
一呼吸置いて、私は口を開く。
やっと、復讐を果たせる。フェラスを殺された憎しみを、その身に受けてもらおうじゃないか。私を怒らせたことを、心の底から後悔させてやる。
「………スノーク。」
通信の相手、スノークは私を睨み付ける。
回りくどいことはもうやめだ。
直接蹴りをつける。
次からはエピソード8編です!
ようやくwww