最後のシスの選択
ファースト・オーダーの艦隊がいるセクターに到着し、私は〈スプレマシー〉に近付く。
私のインターセプターは撃たれることはなく、何事もなく着艦した。ハンガーで機体から降りると、武器を向けられていないものの、敵意をひしひしと感じた。
アーミテイジ・ハックスが直々に出迎え、私の名前を呼ぶ。
「ダース・ルシル、武器を、っ!!」
ハックスが言い終わる前に、彼をフォース・プッシュする。
彼は勢いよく吹っ飛び、コンテナに背をぶつける。床に踞るハックスの目の前に立ち、今度はテレキネシスで強引に立たせた。ゆっくり時間をかけて、私はフォースでハックスの気道を絞める。
「ハックス将軍、私には武器なんてあってもなくても変わらないの。その身を以てよく分かるでしょう?言葉は慎重に選んだ方がいいよ。」
「化け物め……!」
そこで、私は咄嗟に振り向く。一定時間ある方向を見つめた後、ハックスに視線を戻した。それから、彼を解放する。
「一体何なんだ!!」
「スノークが急かしてる。」
奴はフォースを通して、早く来いと言ってきた。
スノークは、私に会いたがっている。
「どこへ行く!?」
「玉座の間。案内はいらない。自分で行く。」
睨み上げるハックスを置いて、私はハンガーを出て行く。
すれ違うトルーパーは撃ってこないが、敵意は遠慮なく向けてきた。だけど、私は気にしない。私はファースト・オーダーの敵なのだから。
玉座の間に着き、ドアが開く。
私は立ち止まることなく、中に踏み込んだ。
「ダース・ルシル、ハックスは私のものだ。勝手に痛め付けるのはやめろ。」
「シスに無礼を働いたから、身体に教えただけ。スノーク、シスを知りたくない?」
私は歩き続け、玉座に座るスノークの一歩手前で止まった。
「私が何を求めているか知っているだろう。」
「もちろん知ってる。」
「何をしに来た?わざわざ殺されに来たわけではあるまい。」
スノークの問いに、私は満面の笑みを見せる。
その笑みは、これから死ぬ女のものじゃない。これから起こる喜劇を、心から楽しみにしている笑みだ。
それから背を向け、私は心の内を明かした。
「あんたが娘に手を出して、私は決断したの。」
「………」
「私ね、弟子を迎えることにしたんだ。」
「何だと……?」
第二デス・スターで、一度はシスは滅ぶべきだと考えた。だけど、シスでもない奴が、暗黒面の力を使って蔓延るのは許容できない。それならシスの系譜を伸ばして、押さえ付けた方がいい。
暗黒面の力はシスのものだ。
「力を渇望して、私を殺してくれる強い弟子を迎える。」
「馬鹿なことを……自らを殺す弟子だと?気でも狂ったか?」
「馬鹿はあんただよ。アプレンティスがマスターを殺すのは、シスでは推奨されること。マスターを超えて強くなるからね。」
私はもう若くない。見た目こそ若く見せているけど、昔よりは強くない。勢いよく燃え上がった炎は、一気に小さくなる。
私は、弱くなる一方だ。
でも、このまま死ぬつもりはない。
「あんたを許す気はない。フェラスを殺して、娘に手を出したことを後悔させてやるから。」
玉座の間を出ようとすると、スノークの命令でプレトリアン・ガードが私を囲う。
「このまま逃がすと思うか?ダース・ルシル、浅はかだったな。」
「スノーク、シスを甘く見ない方がいい。私はジェダイじゃない。慈悲なんか持ち合わせていない。」
「だが、私を殺す度胸はない。違うか?」
「勘違いしないで。」
私は懐から、起爆装置を取り出す。それを見たスノークは表情を変えた。奴の反応など構うことなく、私はスイッチを押す。
仕掛けた爆弾が爆発し、スプレマシーは大きく揺れた。
「何をした!?」
「何、大したことじゃない。バズ・ドロイドを忍ばせただけだよ。」
「クズドロイドが何の役に立つと、」
「お前を確実に殺す為に、逃げ道を潰したんだよ。」
「逃げるのはお前だ!ルシル卿!」
プレトリアン・ガードの1人が、後ろから襲ってくる。
だけど、私はライトセーバーでそいつの首を刎ねた。
「駒の無駄使いだと思うよ?」
「貴様……!」
「私が手を下すまでもない。あんたはもうすぐ死ぬ。私には見える。あんたは、自分の力を過信して死ぬんだよ。」
私の予期通りなら、私が殺さなくてもスノークは死ぬ。それも、近い未来に。誰がスノークを殺すのかも、私には分かる。
燻っているのは私だけじゃない。
「それと、教え子のレンを侮っていると、痛い目に遭うよ。」
「カイロ・レンはまだ子供よ。まだ私を超えることなどできぬ。」
「本当にそう思う?私ですらあの子の闇を計れなかった。子供だからって嘗めてると、寝首かかれるよ。」
実際、ルークはベンの寝込みを襲った。ベンは辛うじて生き延びたけど、ルークへの怒りは消えることはない。だからあの子は暗黒面にいる。
「それじゃあ、お互いゲームを楽しもう。」
「待て!ダース・ルシル!!」
「私が何も知らないと思うなよ。」
警告してやると、スノークは言葉を詰まらせる。今度こそ背を向け、玉座の間を後にした。プレトリアン・ガードは追って来ず、私は1人通路を歩き去った。
燃え盛るハンガーに入り、私は自分のAウィングに乗り込む。
「最高指導者から許可が出たぞ!撃ち殺せ!」
トルーパーは一斉にブラスターを向けてくる。
スノーク、本当に馬鹿な奴だ。私が視界から消えた途端、安全なところから攻撃させるなんて狡い奴。フェラスを殺した時もそうだった。
泳がせているとも気付かずに調子に乗って、本当にオツムが弱い。
「な、なんだ……?逃げろっ!!」
トルーパーは足元の緑の炎に気付き、慌てて逃げていく。だが、時既に遅し。私はオールド・タングを吐き、炎は勢いよくトルーパーを襲う。
緑色の炎はトルーパーの肉体を蝕み、水分を奪っていく。
そして、干涸びた肉体は風化していく。
「無事でいられると思わないでね?」
玉座の方を向き、そう呟く。
きっかけは与えた。あとは、力に飢えた者がスノークを殺すだけ。私は直接手を下さない。私が殺してしまえば、次に進めない。
自然と口角が上がる。
座標を入力して、私はエンジンを蒸した。
次は、始まりの地へ。最後のジェダイはそこにいる。この戦いは、シスの私だけでは何も変わらない。
“子供達”に必要なのは、ジェダイのルークだ。
シスの私じゃない。