私が瞑想をしていると、ライトセーバーを振る音が聴こえた。
小屋へ向かうと、レイがルークの指導を受けていた。未熟ながらも、彼女はフォースを扱い始めている。レイも、強いフォースの持ち主だ。訓練を積めば、必ず強くなる。
私の視線に気付いたルークが、訓練を中断して小屋に戻っていく。
レイは私に声をかけ、ルークが私に怒っている理由を問う。
「なぜ貴女に怒っているの?」
「レイには私がどう見える?」
「私には……悪人には見えない。」
「どうして?」
「貴女の心が泣いているような気がする。なのに、どうして悪意を捨てないの?ルークと一緒に戦えば………」
そこまで言って、レイは何かに気付く。私は彼女の隣に座り、続きを促した。そして、レイは話を続ける。
「貴女が1人で戦うことに怒っているのね。それなら、尚更悪意は必要ない。なぜ悪意を捨てないの?」
「フェラスはね、私の悪意を受け入れて、一緒に地獄に行くって言ってくれたの。」
「そんな、地獄だなんて、」
「生半可な愛じゃない。」
フェラスを愛しているから、悪意を捨てるつもりはない。
暗黒面に身を置けば、地獄に落ちることになる。だから、フェラスは地獄にいる。フェラスは地獄で私を待っているんだ。
地獄に落ちるのは、私とフェラスだけでいい。
いや、ルークに来られても邪魔でしかない。
「それにね、ルークが怒る理由はもう1つある。」
「もう1つ…」
「ルークの母親……アミダラ議員との約束を破った。」
ジャクーの戦いが終わった後、私はパドメにルークとレイアを傷付けないと約束させられた。第二デス・スターで、ルークを殺そうとした故の約束だった。私の心と、ルークとレイアを守る為のものだと、パドメが言っているようだった。
だけど、私はルークを無理矢理引き摺り出した。心身共に傷付くと分かっているのに。私の復讐の為に、強引に戦いへ連れ戻した。
パドメが生きていたら、許してくれないだろう。
「やり方が悪かったんだよ。手を取り合うこともできた。でも、私は悪意を選んだ。だからルークは怒ってるの。」
「間違っていると分かってるなら、シスをやめるべきよ!」
「やめないよ。私がシスをやめたら、何も変えられない。何より、ステフに手を出したスノークを許さない。」
私の強い憎しみと怒りを感じたのか、レイは不安そうな表情を見せる。
「でも、ステファニーとエディは強いわ。貴女の子だから。復讐はやめて、2人と一緒にいるべきよ。」
「それはできない。」
「エレノア……」
「正直、レジスタンス艦隊に残ったあの子達に安堵してる。」
安全ではない。安全じゃないけど、レイアが側にいてくれている。今の私にはできないことだ。
「レイ、訓練を続けて。正しい道じゃなくていい。より良い道を選んで。」
「どこに行くの……?」
「次の段階に進む。私のことは気にしないで。」
レイの隣から退き、私はルークのいる小屋へと入る。
表情が見えなくても、私への怒りを感じる。
「ルーク」
私の呼び掛けに、ルークは振り返る。彼の目は、私を鋭く睨み上げた。やっぱり怒っている。
でも今は、彼の怒りなんてどうでもいい。
「ルーク、私が何も知らないとは思わないでね。」
「………」
「ずっとシスを調べていたのは知ってる。」
「貴女の望みは、叶えてはいけない。」
「それは私が決める。私はこれから“弟子”と会う。その意味をよく考えて。」
私は背を向け、小屋を出て行く。ルークは止めようと何か言いかけたが、その口は音を発することはなかった。止めたところで、何も変わらないのはルークもよく分かっているはずだ。
レイを通り過ぎて、私は島の最深部へと向かった。岩棚を降りた先は、陽の光が入らない洞窟だ。ここは、暗黒面のフォースが強い。
この場所から、私は幻影を飛ばす。
今度は普通に目を閉じて、意識を遥か遠くへ飛ばした。
目を開けた瞬間、赤い刃が私の首に添えられた。
「エレノア・クラウド………いや、ダース・ルシル、何の用だ?」
低い声が、私を牽制する。
赤いクロスガード・ライトセーバーを持つ男、“カイロ・レン”に殺気を向けられた。
「わざわざ幻影を使ってまで会いに来たのに、随分な言われ様だね。」
「黙れ。お前は敵だ。言葉を慎め。」
「じゃあ単刀直入に言うよ。私はファースト・オーダーを潰す。」
そう言うと、レンは嘲笑する。
「たった1人でやる気か?」
「かつて、ジェダイは1人で戦った。対するシスは、そのジェダイを圧倒した。クローン戦争を見れば、シスの強さは一目瞭然。私は1人でも戦う。」
「だが、シスはお前1人だ。」
「そうだね。私が最後のシス。ただ、そのシスはダース・ルシル。奇才と呼ばれ、未来から送り込まれた異端者。」
笑顔で言ってやると、レンはライトセーバーを下げる。
物分かりが良い子だ。
「お利口だね。」
「子供扱いするな。俺を殺しに来たのか?」
「いいえ、違う。」
「だったら何だ?」
私は赤いライトセーバーを取り出して、レンをフォースで跪かせる。
「言ったよね、ファースト・オーダーを滅ぼすって。だから、スカイウォーカーの血を引くあんたにチャンスをあげる。」
「敵に塩を送るつもりか?」
「ある意味ではね。」
レンの表情が歪む。
アナキンの孫で、レイアの息子だ。ベンは家族と同じく、負けず嫌いだ。情けをかけられることは、ひどく堪え難いことだろう。
まぁ、わざとプライドを折るようなことを言ってるんだけど。
「カイロ・レン、私のアプレンティスになるか、ファースト・オーダー諸共死ぬのか……どちらか選べ。」
「っ!!」
「今回、私は古のシス卿達の後ろ盾がある。ルークでさえ、私を殺せない。さて、どうする?」
赤い刃をレンの喉元に突き付けると、彼は息を呑む。
「アプレンティスになれば、ルーク・スカイウォーカーを超えられるのか?」
「もちろん。」
「なら、最高指導者は……?」
「超えられる。」
私は断言する。
私が手取り足取り教えれば、レンは更に強くなる。アナキンと同じく、暗黒面の素質がある。きっと私を殺せるくらい強くなる。
「ダース・ルシル、貴女に忠誠を誓います。」
レンは、私に頭を下げる。
「よろしい。じゃあ、最初の試練。過去のマスターを超えること。時と場は問わない。」
「早い方がいいだろう?」
「焦らなくていい。時が来れば分かる。」
目的は果たせた。私は待つだけ。最後は、私を殺してくれるだろう。
幻影を解こうとすると、レンは私を引き止める。
「俺にシスの名はないのか?」
「名前は呪縛にもなる。それに、私達シスは表舞台に立たない。スノークの目を眩ますには、名前はない方がいい。」
「………」
「マスターとアプレンティス、その事実は変わらない。お利口なあんたなら分かるよね?」
「………はい、マスター。」
笑顔を見せ、私は幻影を解く。瞬きをすると、洞窟に戻っていた。今も繋がっているモラバンドのシス卿達も、この展開を喜んでいる。
これから私は快楽を、スノークは絶望を味わう。こんなに楽しいことはない。スノークさえいなくなれば、私の勝ちも同然だ。
フェラスだけでなく、子供達にも手を出そうとしたスノークは許さない。
解放される日が待ち遠しい。
眠れな〜いw
6時半起きなのに〜www