エドワードが司令部へ行くと、ポーとホルド提督が言い合っていた。
「あんた達はまともじゃない!なぜ戦わずに逃げるんだ!?」
「どういうことだ?」
エドワードが声をかけると、2人は口を噤む。
隣にいるダーシー中佐が、エドワードに極秘作戦の説明をする。話を聞いたエドワードは、ホルド提督に疑いの目を向けた。レイアが強く信頼する彼女が、脱出作戦を立てているとは信じられないからだ。
「ホルド提督………」
「司令部はみんな知っています。」
「つまり、ステフも知ってるんだろ。」
「ええ。しかし、あの子は受け入れませんでした。」
「ああ、そうだろうな!父親は死んで、生きている母親もここにいない!誰も信じられるわけないだろ!」
ポーの言葉に、エドワードは胸が締め付けられる。
姉の今までの行動は、孤独から為されたものだと思い知った。
「大尉、他に何か言いたいことはありますか?」
「………」
「全員輸送船へ乗りなさい!」
アナウンスで、ホルド提督が指示を出す。レジスタンスは指示に従い、輸送船への搭乗を始めた。その最中、エドワードはダーシーに声をかけられる。
「エドワード、司令部を代表してお詫びするわ。」
「何だって……?」
「貴方のお母さんは、できるだけ時間を稼ぐように指示してきたわ。でも、もう待てないの。これは司令部の決定よ。」
「そんな……」
「貴方には乗り込みを強制しないわ。だから、貴方がやりたいようにやりなさい。レジスタンスでは、これが限界なのよ。」
そう言って、ダーシーはホルド提督の補佐へ向かう。
取り残されたエドワードは、呆然としたまま左舷を歩く。窓の外から見えるのは、スノークの〈スプレマシー〉。エドワードは〈スプレマシー〉を見て、拳を握り締める。
何かできることはないのか?
エドワードは両親を守ることも、レジスタンスを助けることもできず、無力さに心苦しくなる。
『諦めるにはまだ早いぞ。』
突然の声に、エドワードは振り向く。
そこには、青く透けた人影が立っていた。肩につくウェーブした茶色い髪に青い瞳、右眉を縦に走る傷痕。ジェダイのローブを着ていて、彼はエドワードに優しく微笑みかける。
エドワードは、目の前の人物を知っていた。
彼は、“アナキン・スカイウォーカー”に疑問をぶつける。
「貴方は死んだはずでは……?」
『ああ、死んださ。だが、死んだのは肉体だけだ。死後も自我を保つ方法があるんだ。』
「それなら、父さんは?」
『残念だが………フェラスは暗黒面を選んだ。』
エドワードは、その意味が分からなかった。
理解ができない彼に、アナキンは暗黒面のことを教える。
『シスやダーク・ジェダイは、地獄に行くことになるんだ。』
「地獄……?」
『フォースの冥界の、闇の領域でもある。フェラスは死んでも暗黒面を選んだ。ネルの為にな。』
アナキンは妻のパドメの為に、光明面を選んだ。暗黒面から離れ、ジェダイとして生きた。そしてオビ=ワンやヨーダと同じように、フォースの女官から訓練を受けて、死後の自我を保った。
しかし、エレノアは違った。
「母さんも知ってるのか?」
『知っている。ネルはダース・シディアスに従った時から、地獄を選んでいる。フェラスは共に地獄へ行くつもりで、ネルを許し、愛し続けた。』
そこで、エドワードはあることに気付いた。
暗黒面を使うのは、両親だけではない。今はカイロ・レンと名乗るベンや、姉のステファニーも暗黒面のフォースと繋がっている。つい最近出会ったレイも、暗黒面に誘われている。
「ステフとベンはどうなる?レイがもし暗黒面に応えたら……」
『だからお前が行動するんだ。』
エドワードの肩を、アナキンが優しく叩く。
「俺が……?」
『いいか、エドワード。お前には強いフォースがある。フォースに従え。』
「何をすればいいんだよ!?」
『ジェダイのように戦え。フォースと共にあらんことを。』
アナキンはそう言って消えた。
エドワードは夢かと思ったが、肩に残った感触がそうでないと言っていた。その感触こそ、アナキンがいた証拠だった。アナキンの言葉を思い出し、彼はやるべきことをやる為に走った。
通り掛かったアストロメク・ドロイドの報告を聞き、エドワードは更に急ぐ。
ハンガーに辿り着き、エドワードはやるべきことを再認識するのだった。
一方その頃、ステファニーとフレデリックは輸送船のコックピットで喧嘩をしていた。
「もう一度言ってみろ!」
「何度だって言うから!パパみたいに、フレディを失いたくないの!ママみたいに、フレディに手を掛けたくないんだよ!あんたとは別れる!!」
「頭を冷やせよ!俺がレジスタンスとか、お前がダース・ルシルの娘だとか、そんなこと関係ないだろ!そんな下らねぇことで別れて出て行くとか言うな!!」
言い合いは止まらず、2人は更にヒートアップする。
「下らないこと!?私があんたを愛してないって思ってるわけ!?いい加減にしてよ!!」
「いい加減にするのはお前だ!!」
「フレディ!!」
「おい、よく聞け。俺はフォース感応者じゃない。だがな、お前を1人にしちゃいけないことは分かる。別れるって言うなら、ここに残れ。出て行くなら、俺のところに戻ると約束しろ。」
ステファニーにとって、それは究極の選択だった。だが、フレデリックも譲る気はなかった。今彼女が去ることを許せば、二度と戻らないことは分かっている。
だから、彼は理不尽な選択を与えた。
「お前の親父が死を選んだのは、“エレノア”とお前達子供の為だろ。俺がフェラス・オリンなら、同じ選択をする。お前は置いていかれたんじゃない。ステフ、逆の立場になって考えてくれ。」
「フレディ、待って、」
「愛してる、ステフ。」
フレデリックはステファニーにキスをして、作業に戻っていった。ステファニーは恋人の悲しみを感じて、ベンチで蹲ってしまう。レジスタンスが慌ただしく動く中、彼女は何もできず失意に陥るのだった。
ステファニーは、嗚咽を漏らしながら膝に顔を埋める。彼女はどうしていいか分からず、1人考え続けた。答えを出せるのは、本人のみ。
答えを出す為に必要なのは、選択する勇気だ。