ミスマッチの中でも、エピはお気に入りだった。
他のドロイドとは違って、エピには行動の抑制はしていなかった。だから生き残り、私も気に入っていた。優秀で、銃撃も他のドロイドより正確だ。
そして、ドロイド相手らしからぬ信頼もしている。
「今からまたスリープさせる。起きたらあんたの最後の仕事が待ってる。頼んだよ。」
「本当にドロイド使いの荒いお方ですね!?」
「これが最後だから。エピ、今までありがとう。」
エピは泣き真似をしながら、スリープの命令を受け入れる。
スリープしたエピを置いて、私はハンガーに入って床にオールド・タングを刻む。船は二度と使えなくなるけど、これも復讐の1つだ。
ホルド提督は〈ラダス〉を操縦している。
彼女の尽力を無駄にはできない。
「………来た。」
〈ラダス〉の燃料がほぼ切れ、ファースト・オーダーが乗り込んでくる。
だけど、もう手遅れだ。
「ダース・ルシル!!!」
私の“シス・アプレンティス”が、ハンガーに入ってくる。
「やっと来た。それ以上近付かない方がいいよ。」
カイロ・レンは、私の言葉に立ち止まる。トルーパーも立ち止まり、ブラスターを構えつつもそれ以上は近付かなかった。
「このオールド・タングに私の血を落とすと、何が起きると思う?」
「何の真似だ?」
「第一の試練は突破したみたいだね。」
「お前は俺に嘘を吐いている。」
レンの言葉に、私は口元に笑みを浮かべる。
「ファースト・オーダーを潰すと言ったな?だが、お前の目的は違う。」
「そう、違うね。私の目的はスノークを殺して、ファースト・オーダーの軍から生命エネルギーを奪うこと。」
回りくどいことをしたのは、生命エネルギーを集める為だ。スノークに加担した雑兵共から生命エネルギーを奪い、次のステージへ進む。先へ進んだら、大昔に果たせなかったものを片付ける。
30年間、影も形も見えなかった。
だけど、今なら30年前のゲームを終わらせられる。
「〈ラダス〉を拿捕したのが運の尽き。〈スプレマシー〉は墜とさせてもらうから。」
「何を、」
私は手の平をナイフで切り、オールド・タングの上に血を落とす。
その瞬間、〈ラダス〉に血が染み込んで、私はシスの秘術を使った。
〈ラダス〉にいる非フォース感応者の生命エネルギーは、船を通して私に流れ込む。レンと私を除いた、全ての人間の生命エネルギーを奪い取った。その生命エネルギーで、私はレンを捕まえる。
「クソ……!」
「私を殺せないようじゃ、アプレンティスは失格。」
「何だと!?」
「強くなってもらわなければ困る。」
私を殺せる程強くならなければ、私の望みは果たされない。
なぜなら、私は最初の壁に過ぎないのだから。
「愚かな…!船に乗り込んだ部隊を倒しても、後続部隊がいるんだぞ!」
「知ってる。だから、私1人が残った。」
今頃、輸送船はクレイトに着いている。私は必要なことを終わらせた。あとはスプレマシーを潰すだけだ。
〈ラダス〉のあちこちから爆発音が響き、レンは焦りの表情を見せる。
「まさか……」
「一緒に残った提督はね、私を信用してないの。」
さっきの術で、ホルド提督の生命エネルギーも吸い取っている。
だけど、提督は私を信用していない。だから文字通り、私諸共船を爆破した。その内、ハンガーも崩れ落ちる。当然、私も瓦礫に潰される。
唯一の心残りは、レンが私を超えられなかったこと。
とても残念だ。
「ダース・ルシルだ!撃て!!」
後から乗り込んできたトルーパー達は、レンを助けようと撃ってくる。
私はレンを解放し、シスの秘術で炎の壁を作る。壁はレーザー弾を防ぎ、壁は形を変え霧散する。炎は衝撃波を生み、近くのトルーパーを吹っ飛ばした。
それから、懐のブラスター・ピストルを出してトリガーを引く。
「それじゃあ私どころか、ルークすら殺せない。」
「黙れ!っ!?」
レンは慌てて私の撃ったレーザー弾を防ぎ、その隙を突いてフォース・プッシュする。
しかし、爆破の余波がハンガーにまで及んで、天井が崩れ落ちてくる。
これで終わりだ。
レンは仕方なく撤退して、ファースト・オーダーは〈ラダス〉を後にする。〈ラダス〉の爆破でダメになった〈スプレマシー〉からも脱出して、戦況は大きく変わった。
私は古のシス卿の亡霊達に守られ、軽傷で済んだ。
ただ脱力感が襲ってきて、煤で汚れた床に倒れたまま宙を見つめる。
「あーあ、失敗かー。私の負けじゃん。」
ここにはいない相手に、そう呟く。
私の言葉が届いたのか、ここにはいない相手の笑い声が聴こえた気がした。
「エレノア様ー!」
スリープから目覚めたエピの声が聴こえて、私は視線を逸らす。
エピが走ってきて、私の脇に屈み込んだ。
「エレノア様!?大丈夫ですか!?」
「ただの軽傷だよ。さて、エピ。最後の任務。」
「ラジャラジャ!!」
エピに命令を下し、〈スプレマシー〉にいるであろうフィンとレジスタンスの女を助けに行かせた。
私とは違って、2人は無事ではないはずだ。
「私も行かなきゃ。」
肩の傷口を押さえながら起き上がり、故障を免れたシャトルに乗り込む。
レンは、クレイトへ向かうだろう。レジスタンスを一掃させる為に。私はもうフォース・ドレインは使えない。
でも、“ジェダイ”がレジスタンスを助けることはない。
最後のジェダイは、銀河を見放したんだ。