隠れ家で寛いでいると、突然ドアを破壊された。
轟音を立て、ドアは粉々になる。
「何事デスカ!?」
サービス・ドロイドが慌てて来るが、ドアを壊した人物にズタズタにされる。
あぁ…結構愛着あったのに……
「エレノア・クラウドは貴様か!?」
「そうだけど、どちら様?」
サイボーグの身体を持つ襲撃者に問い返す。
フォース感応者ではないのに、襲撃者は何本もライトセーバーを持っていた。中には見たことがあるヒルトもあった。襲撃者の持つヒルトに共通するのは、全てジェダイのものだということ。
「我が名はグリーヴァス!貴様の首とライトセーバーを戴きに来た!さぁ、わしと戦え!!」
「お断りします。」
「何ぃ!?」
「見て分かんない!?私は今寛いでんの!邪魔しないでよ!!」
「ふざけるな!!」
ライトセーバーを振り被られた瞬間、フォース・プッシュでグリーヴァスを吹っ飛ばした。起き上がってくる前に、私は隠れ家を飛び出す。当然、グリーヴァスは瓦礫を退けて追ってくる。
すげぇ面倒臭い。
「クラウドっ!!」
走りながら後ろを見ると、グリーヴァスはサイボーグの身体を変形させ、蜘蛛のように駆けていた。
一言で表現するなら、不気味。
「逃がすか!」
「えっ…!?ちょっと待って!?うおっ…」
追い付かれ、私はグリーヴァスに踏み付けられる。反撃しようにも、腕を掴まれて身動きができなかった。そして、グリーヴァスはライトセーバーを振り上げる。
「ちょ、マジで待って!なんで殺しに来たのかくらい教えてよ!」
「貴様に教える義理はない!さぁ、首を差し出せ!」
「この……!」
ライトセーバーでの痛みが来る直前、私は心を落ち着かせる。焦る気持ちを鎮めて、フォースに集中する。呼吸を整えた後、私はテレキネシスでグリーヴァスの心臓を掴んだ。
まずいと思ったのか、グリーヴァスはライトセーバーの剣筋を逸らし、刃を床に突き刺す。
その隙を突いて、奴の心臓から気を逸らさず立ち上がる。
脈打つ心臓を掴んだまま、私はグリーヴァスに微笑みかけた。
「私の問いに答えて。誰の依頼?」
「………」
「もう一度だけ聞く。誰の依頼で来た?」
グリーヴァスは何も答えなかった。
「分かった。正当防衛を、っ!」
鳩尾を殴られて、私は心臓から意識を離してしまう。その瞬間、顔を殴られて意識を奪われた。最後に視界に入ったのは、グリーヴァスの殺意の篭った目だった。
目が覚めたら、まずグリーヴァスをボコボコにしようと思う。
気が付くと、私は磁気フィールドで拘束されていた。
というか、ここどこ?
「ようやくお目覚めか。」
「あれー、何やってんの?……マスター・ドゥークー。」
ドゥークー伯爵が檻に入ってきて、拘束された私を見上げる。
彼に苛立ちを向けると、なぜか溜め息を吐かれた。
「お前を連れてこいとは言ったが、少し強引すぎたようだ。強い怒りを感じる。ジェダイだというのに、隠す気はないのだな?」
「隠したところで状況は変わらないからね。ところで、ここどこ?」
「惑星ジオノーシスだ。」
「あのブリキ野郎は?」
「今はいない。」
今は?今はいない?さっきまでいたってことだよね?
ということは、グリーヴァスはドゥークー伯爵と手を組んでいる。あいつが来たのは伯爵の指示か。私に何の恨みがあるんだ。
「私、何かしたっけ?」
「お前のこれからの行動にもよる。いつまでもジェダイのふりはできんぞ。」
そう言われて、寒気が走った。
この人も、暗黒面に踏み込んでいると気付いた。いや、寧ろ私よりも暗黒面の力が強い。私なんか足元にも及ばない。
そうか、彼は暗黒卿か。
「ちゃんと学ぶべきだったと後悔してるよ。」
「暗黒面を甘く見るな、クラウド。シスはジェダイとは違う。甘えなどない。」
「知ってる。貴方こそ、私のことを何も分かってない。私の望みと、心の闇もね。」
そう答えると、ドゥークー伯爵は私の拘束を解除する。
予想外の解放に、今度は私が彼を見上げる。
「え、何これ、どういうこと?」
「お前の選択を見せてもらおう。本気でジェダイをやめるなら、追手は出さん。」
「………」
「後悔させるなよ、クラウド。」
「誰に言ってんの?私の道は、自分で決める。」
伯爵に背を向けて、檻から逃げ出す。
フォースの揺らめきを感じて気配を探ると、オビ=ワンがジオノージアンに拘束されていて、アナキンとパドメがジオノーシスに向かっているのが見えた。状況なんてどうでも良い。“選ばれし者”は、フォースの流れを変える。
今アニーに来られては困る。
「ネル!?」
「やぁオビ=ワン」
拘束されているオビ=ワンに声をかける。
動き回る私を見て、彼は疑惑の目を向けてくる。更に暗黒面の力を感じたのか、オビ=ワンの表情は険しくなる。そんな彼には構わず、私は会話を続ける。
「ドゥークー伯爵に丸め込まれたか?」
「勘違いしないで。私はジェダイだから、惑わされたりしない。」
「なら、ここで何をしている?」
「ジオノーシスに来たのは不本意だから。あんたを見つけたのも、ただの偶然。それから……」
口を閉じて、少しだけ考える。
ここで言ってしまえば、私はオビ=ワンを敵に回すことになる。もっと言えば、アニーも敵になる。当然、パドメとも溝ができてしまう。
だけど、私の考えは変わらない。
「私はジェダイをやめる。」
「何だと!?」
「解放してもらう条件が、ジェダイをやめること。条件を呑んだから、あんたを助けることはできない。このまま消える。」
「ドゥークーがこのまま黙っていると思うか!?お前はよく分かっているだろう!」
「……」
「ネル!!」
背を向けると、オビ=ワンが声を張り上げて呼んでくる。
「躊躇っているなら、私の拘束を解け!」
「うるさい!」
「黙らないぞ。アナキンがこの場にいたら、何て言うと思う?」
「っ……」
拳を握り締めて、私はライトセーバーを起動する。
もうどうにでもなれ。
「っ!!」
磁気を放射する装置を壊すと、オビ=ワンが拘束から解放される。
しかし、オビ=ワンは解放してすぐ胸倉を掴んでくる。彼の覇気に、私は動けずに為すがままだった。軽蔑した視線を向けられ、オビ=ワンが嫌悪感を抱いているのが見ただけで分かった。
「ネル!暗黒面に手を出したな!?」
「あんたには関係ないでしょ!私の選択だよ!」
「尚更最悪だ!お前は事の深刻さが分かっていない!考えを改めろ!」
「この……断る!!」
オビ=ワンを突き飛ばした瞬間、バトル・ドロイドが現れて、私達は手を上げる。
「クラウド、残念だ。お前は期待外れだったようだ。」
「ドゥークー……」
「何、拘束するの?殺したいなら処刑すれば?もう勝手にしてよ。」
「ネル!!」
「では、そうさせてもらおう。」
オビ=ワンは再び拘束され、私も別室に連行された。
一瞬でも、オビ=ワンの言葉に揺らいでしまった。私は間違ったことはしていない。けど、彼も間違ったことは言っていない。
じゃあ、悪いのは何?
夢を見るのは、そんなにいけないこと?
ジェダイの掟なんて知るものか。