アナキンの指導で船は大体直り、航行くらいならできるようになった。
エンジンを立ち上げると、アナキンは私に微笑んで消えた。
クレイトでは、戦いが始まっているだろう。レジスタンスだけではなく、私の子供達もいる。このままでは、レンの暴走を止められなくなる。
ジェダイのルークは、戻らない選択をした。
それなら、私が力で全てを捩じ伏せるしかない。
「生意気な子。私の方が暗黒面を極めてるのに。」
舵を押し、一直線に元反乱軍基地へと向かう。
シャトルがかなり揺れているけど、構うことじゃない。大気圏を抜けた後、予備燃料もエンジンに回して全速力で飛ばした。進路を自動操縦にして、次いでハッチを開ける。
船は真っ直ぐウォーカーへと進み、私は開けたハッチの淵に立つ。TIEファイターがシャトルを撃ってくるが、もう遅い。“墜落”まで船を守るシールドは、少しの間だけでいい。
アラートが鳴ったのを合図に、私はハッチから飛び降りた。
その直後、シャトルはウォーカー3機にぶつかり、再起不能にした。
私はレンと子供達の間に着地し、3人をフォース・プッシュする。
「ママ!?」
「カイロ・レン、あんたの相手は私だよ。」
「どうやってここに来た!?」
「知らなくていい。ほら、来なよ。」
ライトセーバーを起動させ、レンを煽る。
「殺してやる!!!」
「あんたに私は殺せない。ステフ、エディ。」
「「え?」」
「巻き添えになる前に、レジスタンスと撤退して。」
レンが向かってきて、私達はプラズマの刃をぶつけ合う。
若さでは負けても、経験は私が上だ。場数も私の方が多い。何より、シスとしての訓練も受けている。
スノークの甘っちょろい教えを受けた子供なんか、私の相手じゃない。
「クソ…!!」
私の身体に刃が届かず、レンは怒りを募らせる。
その時、私は腕を引かれて、強制的に後退させられる。代わりにレンのライトセーバーを受け止めたのは、青いプラズマの刃だった。
「ルーク・スカイウォーカー!!!」
「ベン」
ルークは私の前に立ち、レンを本来の名で呼ぶ。
「おま、」
「エレノア!!」
レンを遮り、フォース・プッシュする。更に追い討ちで、ライトニングで吹っ飛ばした。私の容赦ない攻撃に、ルークは胸倉を掴んでくる。
「いい加減にしろ!」
「私が分からないとでも思った?」
「っ…!」
「こうでもしなきゃ気が済まない。」
ルークは私を離すと、言葉を詰まらせる。
確かにルークはクレイトに来た。ただ、こんなに早く来ることはできない。オク=トーとクレイトでは、もっと時間がかかる。
なぜなら、ここに彼の肉体はないのだから。
“フォースの幻影”
短時間で現れた理由は、フォースの幻影しかない。
問題は、幻影は膨大な生命エネルギーを使う。年老いて生命エネルギーの少ないルークには、致命的だ。長くは保たないだろう。
本当に、親子揃って命知らずだ。
「エレノア、貴女がレジスタンスを逃がすんだ。」
「なんで私?」
「元凶は貴女だ。生き延びて、戦いを終わらせるんだ。」
「ルーク………」
基地を見ると、レイアが私達を見ていた。レイアは頷き、中に戻っていく。私がやるべきことは、限られている。
「さぁ、行くんだ。」
「逃がすか!!」
レンが切りかかってきて、私を守るようにルークがライトセーバーで防ぐ。
「エレノア!早く!」
「………フォースと共にあれ。」
踵を返し、私は基地へと歩く。
後ろでルークに邪魔されながらも、レンが私に怒鳴り続ける。
「これで終わると思うな!必ずお前を殺してやる!ダース・ルシル!!」
レンの声を無視して、私は歩み足から駆け足に変える。フォースの力も使い、全力で脚を動かした。走りながら、私は何度も心の中で悪態を吐いていた。
ルークは辿り着けなかったけど、私の秘密に気付いている。
それに、私に残された時間は少ない。
「こっちだ!」
私を待っていたレジスタンスの男が、レイアのビーコンを追って奥へと走る。
「フレデリック・ウェズリーだ。よろしく。」
「名前なんかどうでもいいよ。」
「ステフの恋人なんだが?」
「フレデリック・ウェズリーね。覚えた。」
「そ、そうか……」
引き攣った顔をしているけど、特に何かする気はない。
「フレデリック」
「なんだ?」
「娘を愛してるなら、絶対に悲しませるようなことはしないようにね。」
「当然だ。」
「全然分かってない。悲しみは暗黒面の力を強くさせる。そうなったら、あんたでも止められない。フェラスが私を止められなかったようにね。心に留めておいて。」
フレデリックは、私の言葉を真摯に受け止めてくれたようだった。
娘も私と同じく、フォース感応者だ。深く重い感情が闇へと突き落とす。そうならない為には、錨となる、引き止めてくれる存在が必要だ。
私は最悪の形、ダース・ルシルとして人生を送ってきた。
ステファニーには同じ道を進んでほしくない。
「エレノア!」
「どうして止まってるの?」
人混みを分けて前へ出ると、瓦礫で行き止まりになっていた。
フォースで岩を持ち上げれば簡単だけど、そうはいかない。ステファニーとエドワードはフォースの扱いをろくに教えていなくて、レイアは息子の為に途中で訓練をリタイアしている。私がやるとしても、丁寧かつ集中できる自信はない。
一歩間違えば、通路は更に崩れる。
「エレノア、どうにか、」
「待って。」
レイアの手を取り、ビーコンを見る。チカチカと点滅していて、対になるビーコンが近くにいると示していた。問題は誰が持っているか、だ。
「もう1つは誰が?」
「レイよ。」
レイアがそう答えると、岩が一つ一つ浮き始めた。
強いフォースを感じる。
完全に突破口が開き、気付けば向こう側のレイを視認できていた。レイはレジスタンスが通り終わると、岩を離して〈ミレニアム・ファルコン〉に促す。私も船の中に入り、コックピットへ向かう。
途中、私を見つけたレイは謝罪をしてくる。
「なんで?」
「卑怯って言ったこと、後悔してるわ。」
「アナキンが現れたりした?」
「………そうよ。」
「気にしてないから、心配しないで。」
罵詈雑言を吐かれても仕方ないことをしてきた。だから何を言われても、それを受け止める義務がある。今までの悪事から逃げたら、私は私じゃなくなる。
「とにかく逃げるよ。ダメロン大尉!」
「エレノア!?」
操縦席に座るポー・ダメロンに声をかける。
「〈スプレマシー〉に、もう追跡はできない。できるだけ遠くで、知覚種族のいない星へ行って。」
「了解、“クラウド将軍”。」
座標が入力され、船はハイパースペースへと入る。
これから、忙しくなるだろう。レイとエドワードに訓練を付けて、増援も探して、私自身も力を付けないといけない。訓練をリタイアしたとはいえ、レイアのジェダイとしての経験も必要だ。
“奴”と戦う為に、私の望みを叶える為に……
戦いが終わるまで、あと少し。