【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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スカイウォーカーの夜明け(Ⅸ)
鏡の中の私


クレイトを離れてから1年。

 

レジスタンスはエイジャン・クロスに隠れていた。私達家族もレジスタンスと共に行動して、ファースト・オーダーと戦っていた。

 

そして、私はステファニーとエドワードにフェラスの話をした。

 

フェラスが死を選んだ理由、私が生き延びた理由、私とフェラスしか知らない楽園の話。全てを話した。意外にもステファニーは受け入れてくれたけど、エドワードは受け入れられないみたいだった。

 

仕方のないことだけど、事実だ。

 

エドワードはポーに同行して、ステファニーはレイと一緒にフォースと調和する為の訓練をしている。

 

 

「エレノア」

 

 

数歩先で訓練するレイ達を他所に、レイアが声をかけてくる。

 

 

「本当のことを話して。」

「何のこと?」

 

 

切羽詰まったような、焦ったような表情をして、レイアは私に迫る。

 

ずっと何かを感じていたけど、ルークからも隠されてきたんだろう。私もフェラスも隠してきた。私の、唯一の秘密だったから。

 

 

「シスに秘密があるのは分かってる。でも、今回の秘密はタチが悪いわ。」

「レイア、」

「ジャクーの観測所で、何があったの?」

 

 

言い訳は許されない。

 

馬鹿みたいな夢を抱いたのは、私だ。夢を叶える為に、シディアス卿に手を貸してきたのも私。全部私が招いた悲劇だ。

 

 

「シスに裏切り者がいる。」

「それは……」

「シスに信頼はない。けどね、シスの摂理に反する奴がいる。スノークはその手駒に過ぎない。」

 

 

その内、レジスタンスも知ることになる。

 

シスに信頼という言葉はない。それは私が一番良く知っている。私もティラナスを信頼していなければ、シディアス卿も信頼はしていなかった。

 

シディアス卿にそう教えられたから。

 

 

「エレノア………」

「大丈夫だよ。私が何とかする。」

 

 

マントのフードを被り、騒がしいレジスタンスから離れる。

 

フォースの強い、静かな森へと向かい、私は宇宙のフォースに呼びかける。

 

私が呼びかけたのは、“マスター・ドゥークー”。それから、レヴァン。他にも、アレックやウリック、クレイアもいる。元々はジェダイだったけど、暗黒面に転向してシス卿になった者達だ。

 

でも、ジェレクは呼んでいない。だって、あいつは正式なシスじゃないから。ヴェイダーの名を借りた、ただの小者だ。

 

肝心のアナキンは、光明面を選んだから現れない。

 

アナキンは、ジェダイの道を選んだから。

 

 

『ルシル卿』

『裁きの時だ。』

『裏切り者を許すな。』

 

 

彼らは口々に呟いた。禍々しい空気が辺りを漂う。暗黒面の力で、私達の近くの植物は枯れていく。

 

 

『ダース・ルシル、再び戦いが始まる。』

「分かってる。もうすぐ、銀河の秩序は正される。その為にはジェダイとシス、両方の力が要る。」

『ルシル卿、これ以上先へ進めば、身を滅ぼすことになる。後戻りは許されん。』

『承知の上で進むのだな?』

『これは助言ではない。警告だ。』

 

 

これから行うシスの秘術は、亡きシス卿達の力がなければ使えない。故に、代償を伴う。私はそれを知りながら、術を使おうとしている。

 

 

「覚悟は必要ない。やらなきゃいけない。それがあんた達の望みでしょう?」

『左様。しかし、我々は既に死んだ身。失敗すれば、助けることはできん。』

『心してかかれ。』

「もちろん。」

 

 

懐からワインの瓶を取り出し、足元にぶち撒ける。古代シス語を口にすると、ワインは魔法陣を形作る。次に手の平を切り、私は魔法陣に血を落とした。

 

ワインが燃え始め、シス卿達は私の周りをぐるぐる回り、古代シス語を唱える。

 

 

『さぁ、時空を越えろ。』

 

 

私の意識は肉体を離れ、あらゆる時間軸を覗く。

 

あり得た未来、起こり得た現実、あり得ない過去を見た。でも私が探しているのは、もう存在しない時間軸だ。憶えているのは、私だけ。

 

目を閉じ、地に足を着けるように、一歩ずつ進み続ける。

 

やがて、私は真っ白な空間に辿り着いた。

 

 

『おかえり、ネル』

 

 

愛称で呼ばれたのは久しぶりだ。

 

“ダース・ルシル”が、私に微笑む。亡きシス卿達はいない。私とダース・ルシル、2人だけの空間だ。

 

戻ってくることはないと思っていた。ここは、本来なら辿り着けない場所だ。この空間に入れたということは、何かが変わるということ。

 

これも、未来の私だけの思惑通りなのかもしれない。

 

 

『座りなさい。』

 

 

私は言われた通り、以前訪れた時のように椅子に座る。

 

 

『会えて嬉しいよ、ネル。』

『本当はそう思ってないんでしょ?』

『嬉しいと思ってるよ。私の予期通りだから。あんたがここに来た目的は分かってる。』

 

 

彼女に会いに来たのは、最後のゲームを終わらせる為だ。

 

未来のダース・ルシルは、根本から未来を変える為に自らを過去へ送った。その時に彼女は記憶を失い、私は本来の自分と違う人生を生きた。結果、ダース・ルシルは残存する意識のみの存在となり、私が新しい未来を作り上げることとなった。

 

彼女が手を出すのは、一度だけ。

 

最後のゲームだけだ。

 

 

『あんたは私以上のシスになると思ってた。予期通り、最高のシスになった。最後の戦いを始めよう。』

 

 

ダース・ルシルは手を差し出す。私はその手を取り、笑みを浮かべた。彼女が古代シス語を唱え、準備は整った。

 

 

『平和は偽り─────』

『─────勝利を通じて私の鎖は千切れる。』

 

 

白い空間は消えて、私はエイジャン・クロスの森へ戻っていた。シス卿達も消えて、残っていたのはダース・ティラナスだけだった。

 

彼は、何も言わない私に声をかける。

 

 

『本当に良いのだな?』

「………構わない。」

『クラウド』

 

 

私の知る“マスター・ドゥークー”が、刺々しく口を開く。

 

 

『ダース・ルシルとダース・ティラナスに信頼はないが、私とお前には信頼がある。故に、これが最後の助言だ。敵を尊重しろ。』

「敵を?尊ぶ必要ある?」

『ジェダイからシスに転向したお前に必要なものだ。よく考えろ。』

 

 

マスター・ドゥークーは、そう言って消えた。

 

確かに、シス同士の信頼はない。けど、マスター・ドゥークーと私の間には信頼があった。それは間違いない。

 

そんな彼の言葉は、心に留めておくべきだ。

 

素晴らしいジェダイだったマスター・ドゥークーは、聡明なシス卿だ。

 

私も、ティラナス卿のようにもっと強くありたい。

 

 

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