それから少しして、〈ミレニアム・ファルコン〉が帰ってきた。
スパイからの情報を、R2-D2が受け取っていた。
「連続ハイパージャンプしたの!?」
「BB-8を木の下敷きにしただと!?」
ポーとレイが言い合っていて、エドワードは蚊帳の外にされていた。
言い合いを他所に、情報部はR2-D2の持ち帰ったデータを取り出す作業にかかった。フィンによれば、連続ジャンプはファースト・オーダーが追跡してきたせいだと言う。
「ルシル卿」
情報部が私を呼び、レイアと喧嘩から戻ったポーの3人で情報を見る。
なぜ呼ばれたのか疑問だったけど、その答えはすぐに分かった。その暗号コードは共和国時代の独立星系連合のもので、スパイがあえてその暗号コードを選んだようだった。R2-D2は独立星系連合の暗号コードを知らず、私はR2-D2にアルゴリズムを教えて解読させた。
解読した情報は、レジスタンスにとって悪いものだった。
「間違いない。パルパティーン皇帝は生きている。」
レジスタンスの視線が私に集中する。悪い意味で。もちろん、私は目を逸らす。
「………何?」
「知っていたんだな?」
「知っていたわけじゃないけど、予想はしてた。」
「エレノア………」
レイアやレジスタンスは、呆れた視線を向けてくる。
「帝国軍の一部は終末司令が未完に終わった後、未知領域へと逃げた。」
「なんで話さなかったんですか?」
「私には行けないから。」
「なぜです?」
皇帝の終末司令で、センチネルは私にも送られた。シスに信頼はない。だから、私に対する遺言もそれ相応の言葉だった。
「私は引き上げメンバーに入ってない。皇帝は、最初から私を切り捨てる選択をしてた。利用できても、信用はされてなかった。センチネルの遺言に、そう残ってた。」
「エクセゴルというのはなんだ?」
「惑星の名前。未知領域にある。簡単には辿り着けない。」
「だが、あり得ない。皇帝は第二デス・スターで確かに死んだはずだ。」
みんな忘れているようだけど、シスの秘術は人知を超えるものもある。何より、私にシスの秘術の基礎を教えたのはシディアス卿だ。私の知らない術で甦っていても不思議じゃない。
「そもそも、私にフォース・ドレインを教えたのは皇帝だよ?」
レイアと子供達は、妙に納得したような顔をする。
「エレノア、エクセゴルへ向かう方法はあるの?」
「ない。ただでさえ、未知領域は嵐がひどい。私と皇帝が、どんなに優秀なパイロットも辿り着けないような星を選んだから。」
地図代わりとなるウェイファインダーは、全部で3つある。
1つはヴェイダーである、アナキンのウェイファインダー。2つ目は私のウェイファインダー。私とアナキンのウェイファインダーは、それぞれ誰にも見つからないように、誰にも教えず隠した。だけど、帝国との戦いが終わったのを境に、私は不要だと破棄してしまった。
アナキンのウェイファインダーも、隠し場所は彼が冥界に持って行ったから、分からず終い。今聞いたところで、教えてはくれないだろう。予想はできるけど、確証もない。
最後のウェイファインダー、皇帝のウェイファインダーの所在は言うまでもなく、私もアナキンも知らない。
レジスタンスの面々に、そう丁寧に教えてあげた。
「まさか、エクセゴルに潜伏してるとは思わないでしょ。」
「呑気に言ってる場合じゃないだろ!16時間後には自由世界への攻撃が始まるんだぞ!」
ポーが怒鳴るが、私にはどうしようもない。アナキンのウェイファインダーの所在は宛もない。私と同様、破棄しているかもしれない。
「オーガナ将軍!」
そんな中、レイが声を上げる。
「お話があります。」
レイの手には、古い書物があった。
レイアと私は、レイに書物を見せられる。
中身は、ルークの手記だった。ルークはシスの滅亡を信じず、私やアナキンには言わずにシスのことを調べていたようだった。その中にはエクセゴルのことも書いてあり、実際に行ったことはないようでも、エクセゴルの存在や、その意味を突き止めていた。
注目すべき点は、ルークはウェイファインダーの在処、強いて言えば皇帝のウェイファインダーの存在も調べていた。
「ルークは、パサーナで足止めを食らっています。私はそこに行く。」
「分かりました。レイ、くれぐれも気を付けるのよ。」
「はい。エレノア、貴女も、」
「私は行けない。」
遮った言葉に、レイもレイアも驚く。
「どうして?今こそ貴女の力が必要なのに。」
「準備があるの。皇帝を捕らえる為の術のね。」
皇帝の肉体は死んだけど、魂は生きている。精神をクローンの身体に移したとはいえ、一度は地獄に落ちた身だ。二度と戻れないようにする必要がある。
エグザ・キューンの時のように魂を潰したいけど、今はジェダイの数もシスの数も足りない。当時と比べて、私も全力で戦えるわけじゃない。何もかも足りないから、それ相応の準備を進めなければならない。
シディアス卿がこの状況を予期していた可能性があるなら、私はまだ“マスター”を超えていないということだ。
だけど最後のシスは、この私だ。
「生き返った皇帝が、簡単にくたばるはずないでしょ?」
「そうね………」
「エレノア、貴女がどう思おうと、私は貴女を慕っているわ。それを忘れないで。」
「ありがとう、レイ。」
それから、レイは〈ミレニアム・ファルコン〉でパサーナへと向かった。ポーとBB-8、C-3POにフィンも同行し、チューイと私の子供達も船に乗った。
エイジャン・クロスを発つ〈ミレニアム・ファルコン〉を見つめていると、レイアが声をかけてくる。
「レイ達に言わなくて良かったの?」
「言わない。もし言ったら、未来は翳る。それに……」
「エレノア……?」
「勝利は私のものだから。」
勝利は誰にも譲らない。
先にルールを破ったのは、シディアス卿だ。私は正攻法でシディアス卿を超える。私には、古の偉大なシス卿達の後ろ盾があるのだから。
もちろん、私は無事でいるつもりはない。
壮大なゲームは、終盤を迎える。
勝つのは、ダース・ルシルである私だ。