私が目覚めたのは、視界一面に広がる花畑の中だった。
身体を起こすと、思考がスッキリしたような気がした。
『エレノア』
呼ばれて振り返ると、男が立っていた。
この男は、見たことがある。見たと言っても、資料や壁画で見たことがあるだけだ。そうでなくても、ジェダイやシスで知らない者はいない。
『プライム・ジェダイ』
彼がプライム・ジェダイ、ジェダイ・オーダーの創設者だ。
『意図してここへ来たようだな。』
穏やかな声が、そう告げる。
そう、私は意図してここへ訪れた。
私の目的は、シディアス卿を永遠に葬ること。シスの技だけでは不可能だ。永遠に葬るには、ジェダイの技も必要だ。
それを知る為に、ここへ来たんだ。
『シスを葬る方法を教えてほしい。』
『若き探求者よ、ジェダイとシスは何が違う?』
『いきなり何……?ジェダイは他者の為、シスは自らの為にフォースを使う。』
『左様。では、共通するものは何だ?』
共通するもの?
ジェダイとシスは別物だ。ジェダイは平和の守護者、シスは銀河の破壊者で、同じじゃない。共通するものは、何一つない。
『お前は何も理解していない。遥か昔、ジェダイとシスは1つの組織だった。その名は、ジダイ・オーダー。シスとはジダイの教義に逆らい、離反した者達だ。』
『聞いたことがない……』
『アシュラとボガン、現代ではフォースの光明面と暗黒面と呼ばれるものだ。ジダイの一部はボガンを信奉し、やがてフォース戦争が起きた。アシュラの信奉者達が勝利し、ジダイ・オーダー解体後、私がジェダイ・オーダーを設立した。』
つまり、元々は同じ組織だったということだ。
彼は、暗黒面は毒だと言う。それは私も知っている。私も暗黒面の使い手なのだから。
『重要なのはバランスなのだ。』
『バランス……?』
『瞑想と調和、それがジダイの教義だ。』
『ジェダイのようで、ジェダイじゃないのか。』
『その通り。ジェダイは愛や感情を禁じ、シスは怒りや憎しみに重きを置いた。だが、それではバランスが保たれない。』
ようやく理解ができた。
要は、私は暗黒面だけではダメということらしい。負の感情を捨て、調和しなければいけないようだ。私は、バランスが取れていない。
『ダース・シディアスを葬りたければ、一時でも怒りと憎しみを捨てろ。ジェダイでもシスでもない、エレノア・クラウドが戦え。』
『………嫌だね。』
『何……?』
シスの道を捨てろと言う彼に、私は拒んだ。
私の人生は、暗黒面あってこそのものだ。シスとして生きてきたから、今の私が在る。それだけは絶対に譲れない。
『私はダース・ルシルとして生きてきた。今更他の生き方は受け入れられない。いや、シスの私が在るから、今の私がいる。』
『そうか。ならば、お前に残された道は1つだ。』
彼は私に、この後どうなるのか教える。
私はそのつもりでグレート・ツリーの葉を飲み込んだけど、実際に言われると緊張する。
もしシスをやめなければ、私は大切なものを手放さなければならなくなる。子供達、友人、それから、命。最後には、クソみたいなプライドもだ。
この先が地獄でも、私は最後まで戦わなければいけない。
『私はそのつもりで来た。“主”を葬る方法を教えて。』
『いいだろう。』
始まりである彼がまずフォースと調和して、私もフォースとの調和を始めた。
今頃、銀河中のフォース感応者達が私の存在を感じ取っているだろう。
『フォースの意志を感じろ、ダース・ルシル。』
フォースに集中して、私は深い瞑想状態に入る。
私はこの空間から切り離され、再びエイジャン・クロスへと戻っていた。
しかし違和感を覚えた。私の身体が、私のものではないような感覚だ。恐らく、プライム・ジェダイのいた空間に入ったからかもしれない。
妙な感覚だけど、問題はない。
これから、全て終わるのだから。
「ルシル卿!?」
戻ってきて早々倒れた私に、医療班が出動する事態にまで進展した。
あらゆる検査をされ、ドクターは首を傾げる。
「どうしたの?」
「それが……」
レイアの問いに、ドクターは言葉を渋る。
だが、私は言わなくていいとドクターを止めた。
「エレノア、貴女何をしたの……?」
「あんたが知る必要はない。」
「ですが、バイタルが………」
「ドクター、黙って。」
マントを着て、私は医療エリアを後にする。
そのタイミングで、〈ミレニアム・ファルコン〉が帰ってきた。
「エレノア・クラウド!待ちなさい!」
無視していると、レイアが声を張り上げてきた。
「貴女が良くても、誰も受け入れていないの!」
「………」
「私が貴女に気圧されないのは分かってるはずよ。他の皆が貴女に怯えても、私は本当の貴女を知ってる。エレノア、私から逃げないで。」
R2-D2がアームで手を掴んできて、ドロイドまでもが私を止めようとする。
「………分かった。」
妥協案として、私はR2-D2を借りて、再びレジスタンスの基地から離れる。
「スクラップにはしないって。違うよ、ちょっと仕掛けをするだけだから。安心して、R2。」
R2にメッセージを残し、私は来たるべき時に備えてプログラムを加える。
逃げるなと言ったのはレイアだ。私はそれに応えただけ。もう誰にも口は出させない。
終わりの時が待ち遠しい。