R2-D2をレイアの下へ返した後、私はシャトルの1つへ乗り込む。
R2には、言伝を残してある。あとはレジスタンスが自分達で行動するだけ。私はもうレジスタンスとは関われない。
「ステフ、エディ。ごめんね。」
フォースを通して呼び止めようとする子供達に、私は謝った。
子供達を残していくのは心苦しい。でも、子供達の為でもある。私がシディアス卿を野放しにしたから、私が片を付けなければならない。
「ダース・ルシル」
私の呼び掛けに、“ダース・ルシル”が現れる。
『機は熟した。』
「始めよう。」
『覚悟は?』
「とうにできてる。」
ダース・ルシルがパネルに手を翳すと、座標が勝手に入力される。更に、勝手に舵やレバーが動き、ハイパースペースへと突入した。
『恐怖を感じる。』
「誰の?」
『あんたの恐怖。』
「私は怖くない。」
暗黒面が恐ろしいわけじゃない。シディアス卿も恐ろしいとは思わない。恐ろしいのは、私がした決断だ。
「恐怖なんて関係ない。終わらせよう。」
『………そうだね。』
自動操縦にした後、ダース・ルシルが私の中に入ってくる。
元々は、私と彼女は1人の人間だ。彼女は、私が新しい未来を選んだから弾かれただけ。だから、私達は2人で1人だ。
彼女が私の中に入ってきて、私は存在しない記憶を得た。
『どうしたの?』
無意識に、涙が出てくる。
知るべきだったこと、知らない方が良かったこと、いろいろなものを見た。その中でも、彼女がアナキン・スカイウォーカーを喪った悲しみと怒りは、胸を締め付ける。ダース・ルシルが自らを過去に送った想いが、今なら分かる。
「何でもない……」
その記憶と一緒に、子供の頃の忘れた記憶まで思い出した。
恐らく、眠っていた記憶が無理矢理掘り起こされたんだろう。
「始めて。」
そう言うと、ダース・ルシルの力が私に流れ込んでくる。
身体中が痛いけど、これで良いんだ。
『ハイパースペースを抜けるよ。』
アラートが鳴り、シャトルはハイパースペースを飛び出す。
ところが、宇宙空間に飛び出した瞬間、別の船に攻撃されて止まってしまった。襲ってきたインターセプターにはファースト・オーダーのマークがあり、コックピットに乗る人物を見て思わず舌打ちしてしまう。
『逃げないで。』
「なんで!?」
『これも必要なこと。』
中にいるダース・ルシルに、仕方なく従った。
“ベン・ソロ”はシャトルに乗り込んできて、私にブラスターを向けてくる。
「どういうつもりだ?」
「何のこと?」
「とぼけるな!母が俺に呼びかけてきて、あの人は死ぬはずだった。何をした!?」
最初はそんなつもりはなかった。
レイアは暗黒面に呑まれた息子を救う為、フォースを通じてベンを呼び戻した。本来なら死んでいてもおかしくないけど、私はプライム・ジェダイを通じて彼女に生命エネルギーを分け与え、ミディ=クロリアンを操作した。結果、レイアは死ぬことはなかった。
ベンはそれが理解できず、私に苛立ちをぶつけている。
レイアは未来に必要だ。スカイウォーカーの血を引いているから、新しい共和国と、私が去った後の銀河を導いてもらわなければならない。
「ダース・プレイガスの技を使ったの。」
「何だと……?」
「私には歴代シス卿達の後ろ盾がある。」
「お前は………銀河の脅威だ。」
光明面に戻ったベンだけでなく、誰もが私を脅威だと言うだろう。
「なら、やることは1つだね。」
「………」
「アプレンティスがマスターを超える為にやることは、っ!!」
その瞬間、私はベンのブラスターに撃たれた。
なるほど、これも必要か。
私は糸が切れたように倒れ、胸部に今まで感じたことのない激痛がした。アーマーもなく、治癒することもしない。このまま、死を待つだけだ。
そう、私はこの瞬間を待っていた。
「なぜ平然としている?」
「………始まる。」
「っ!?」
私の周りにシス卿の亡霊達が現れ、ぐるぐると回る。それは次第にフォースの竜巻となり、やがてベンを吹き飛ばした。
そして、私の命の息吹が途絶えたと同時に、見える世界が変わった。
────────
一方、ベンが身体を起こすと、殺したはずのエレノアの骸がなかった。
船内をくまなく探したが、見つかることはなかった。残ったのは静寂と、エレノアの残存意識だけ。ベンは訳が分からず、ブラスターを放り投げる。
それから窓を覗き、眼下のエクセゴルを見つめる。
『何を恐れている?』
その声に顔を上げると、霊体のルークが立っていた。かつて、“カイロ・レン”が殺したはずだった。なのに、ベンは目の前に立つルークのことが信じられなかった。
ベンは、死に際のルークの言葉を思い出す。
『言ったはずだ。私はお前から離れない、と。』
「………何が起きている?」
『始まったのだ。』
「始まった?何がだ?」
『エレノアのゲームだ。』
その言葉に、ベンは息を呑む。
ルークの深刻な表情に、彼は再びエクセゴルを見下ろす。
「エクセゴルへ行く。」
『気を付けろ。今のエレノアには、敵も味方もない。』
ベンは頷くと操縦席に座り、壊れかけのシャトルの舵を押す。シャトルはエクセゴルへ向かい、ルークは孫であるベンを見守った。
そして、エクセゴルに降臨したエレノアは、シスの言葉を吐きながら、シス・マスターだったパルパティーンの下へ向かった。
エレノアの、最後のゲームが始まった。