私とオビ=ワンが連行された後、アナキンとパドメがドロイド軍に捕まったらしく、私達の処刑が早まった。
私とオビ=ワンが、まずカートに押し込まれる。
こんなことなら、さっさとジェダイをやめるべきだった。
「ネル」
「………何?」
「ジェダイをやめると言ったのは本気か?」
「嘘は吐かない。」
背を向けたまま、オビ=ワンに答える。
「ネル、」
「愛称はやめて。」
「お前が暗黒面に転向すれば、どれだけの者が傷付くのか考えたか?」
「関係ない。」
「変わったな。」
「私を変えたのはジェダイ・オーダーだよ。」
“責任転嫁”
オビ=ワンは、はっきりそう言った。
個性を潰して、押さえ付けてきたのはジェダイ・オーダーだ。圧力をかけられれば、その分反発もある。私は禁じられてきたことを、不満に思っていた。
それが今、爆発しようとしている。
「あんたには分からないよね。息苦しさなんて。話を聞いてくれたのは、アナキンと議長だけだった。マスターすら、私を否定した。」
「………」
「軽蔑したいならすればいい。もう全部がどうでもいい。」
その時、カートが動き出してアリーナの処刑場へと向かい始める。
処刑台に着き鎖が繋がれ、手が頭上で拘束された。オビ=ワンも同じようにされて、私は観衆の狂気に溜め息を吐く。アリーナの檻にいるクリーチャーを感じる。
「あーあ、アニーまで捕まっちゃって。」
続いてアナキンとパドメがカートに乗せられて、処刑台へ連れられてきた。
アリーナへ出てくる時にキスをしていたのは、見なかったことにしたい。
「ネル!?」
「どうしてここにいるのです!?」
「………偶然。」
2人も鎖を繋がれ、アリーナにクリーチャーが放たれる。
………保って1分かな。
「ネル!危ない!」
アクレイが私を目掛けてカマを振るい、避けたと同時にカマで鎖が切れる。フォース・プッシュで吹っ飛ばすと、アクレイは興奮して更に襲いかかってくる。そこで私はまた暗黒面に踏み込み、アクレイを押さえ付けた。
寒気を感じたのか、アナキンが叫んでくる。
「ネル!やめろ!」
「うるさい。」
アナキンの声を無視して、暴れるアクレイの気管を潰す。
アクレイが息絶えようとした瞬間、私はアナキンに吹っ飛ばされた。地面に倒れると、動けるようになったアクレイが私を狙う。振り下ろされるカマをギリギリで避け、慌ててアクレイをフォースで調教師に投げ付けた。
「よせ!!」
「邪魔しないで!!」
オビ=ワンが繋がれている処刑台が倒し、倒れた柱の欠片でアクレイの頭を狙った。破片は頭に刺さり、アクレイは断末魔を上げて倒れる。
その時、パドメの呻き声が聴こえて、彼女を狙うネクスーをフォースで止める。
ネクスーは睨んできて、間合いを保ちながら私の周りを歩く。
「私に従え。」
フォースで問い掛け、従属するように少しずつ手懐ける。
私と獣の意識がリンクして、ネクスーは向きを変えて調教師のジオノージアンへと向かっていく。調教師は吹っ飛ばされ、散らばる獲物達にネクスーは満足そうに私の手に擦り寄ってくる。頭を撫でてあげれば、気持ち良さそうに身を捩った。
その所作は、どう見てもトゥーカだった。
「ネル!!!」
アナキンの声に我に返り、ネクスーとのリンクが切れる。その途端、私は抵抗されて押し飛ばされた。立ち上がろうとする私に、ネクスーは容姿なく向かってくる。
ネクスーは、操った私を敵と見做している。
いずれ来る衝撃を待つように、覚悟を決めた。
「っ!!」
ところが、ネクスーはリークに突進され、その足で踏み倒された。
訳が分からずリークを見ると、アナキンとパドメが乗っていた。鎖を手綱代わりに、アナキンはリークと心を通わせている。パドメの後ろには、オビ=ワンも乗っていた。
アリーナに、ジオノージアンのブーイングが沸き起こる。
「ネル、戦いは避けられないぞ。」
「うるさい。」
その瞬間、アリーナに身を潜めていたジェダイ達が、一斉にライトセーバーを起動する。
貴賓席に、マスター・ウィンドゥの気配を感じた。動けるジェダイ総勢で、応援に来たみたいだ。オビ=ワンを救出する為だろう。
「………馬鹿馬鹿しい。」
ジオノージアンは観客席から逃げ出し、アリーナにはバトル・ドロイドが投入された。
応援に来たジェダイからライトセーバーを受け取り、私は背後のドロイドを両断する。オビ=ワンとアナキンもライトセーバーをもらい、他のジェダイと共にバトル・ドロイドと戦い始めた。その様子を見ながら、私も迫り来るバトル・ドロイドに走る。
だけど、どこか様子がおかしい。
バトル・ドロイドが、私を撃ってこない。
向かってくるけど、バトル・ドロイドのレーザー弾は一向に来ない。流れ弾は来るけど、直接撃たれた弾は一つもなかった。
その理由は分からないけど、今は数を減らすことに集中しよう。
「マスター!!」
マスター・フィストーを狙ったB2ドロイドを倒して、私はライトセーバーで足元の砂を巻き上げた。
砂埃の中で、マスターは私を見据える。
「ネル…」
「その顔はやめてください。」
「……なぜだ?」
「何のことですか?暗黒面に踏み込んだから?それとも、嫌悪感を隠さないからですか?」
「全てだ。」
砂埃が消え、私とマスターは互いの背後にいるB1ドロイドを壊した。
立ったままのドロイドの胴体を蹴り倒して、ライトセーバーをマスターの右後ろに投げ付ける。B1ドロイドが数体破壊され、私はテレキネシスでヒルトを回収した。私の荒技に、マスターは笑みを消す。
「それが答えか。」
「はい。」
ジェダイは次々に倒され、確実に数が減っていく。それに対して、バトル・ドロイドは切りがなく溢れ出てくる。ジェダイに勝ち目はない。
何より倒れたジェダイ達の大半が、ドロイドに殺されている。
これが、現実だ。ジェダイのフォースは弱まっている。それに対して、暗黒面の力が強くなっている。
私も意を決する時だ。