【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

150 / 159
悪女の思うがままに

レイの心が泣いている。

 

レイからとてつもない悲しみを感じる。なぜ悲しむのか理由は分かっているけど、何もしてあげられない。死を選んだのは私で、悲しみを乗り越えるべきはレイ本人なのだから。

 

優しい言葉もかけてやれない。

 

大丈夫、そう言ってあげたいけど、私は彼女を突き放さなければならない。

 

 

「エレノア、どうして……?」

『未熟なのに、その理由を問うの?』

「やめて……」

『フォースと調和できないくせに。』

「やめて!!」

 

 

本心じゃない。

 

でもこうしなければ、レイは先へ進めない。

 

 

「やっぱり貴女は自分勝手よ!」

『自分の為に行動して何が悪いの?』

「だったら、なんで私を鍛えたの?私を信頼してたからじゃないの?」

 

 

その言葉に、シディアス卿は笑う。

 

 

「レイよ、お前は勘違いをしている。」

「勘違い……?」

「余やネルに、信頼という概念はないのだ。」

『それに関しては合ってる。私はレジスタンスも、あんたもレイアも信頼してない。私の根本は悪人だから。』

 

 

シディアス卿は、今まで誰かを利用してきた。私も例外じゃない。ティラナスを利用し、フェラスも利用した。

 

信頼があれば、対等な存在として手を取り合える。

 

私が信頼を否定したのは、私自身が悪人だと自覚してるからだ。

 

 

『つまり、私はシディアス卿も信頼してなかったの。』

「………」

『分かってたでしょう?そう教えたのはあんただから。』

 

 

2人を尻目に、私は口角を上げる。

 

 

「エレノア、ステファニーとエディはどうなるの?」

『あの子達も一緒にいられない。』

「置いていくの……?」

『これはあんた達の為でもある。邪魔しないで。』

 

 

その時、レイが明後日の方を見つめる。相手はフォース・ダイアドで繋がっている、ベンだ。状況を理解していないのは、シディアス卿だけだ。

 

 

「何をしている!?」

「貴方には関係ない。」

 

 

そう言って、レイは持っていたライトセーバーを背中へ持っていく。

 

降ろされたその手には、ヒルトはなかった。

 

 

「このライトセーバー、誰のものだと思う?」

 

 

レイは別のライトセーバーを見せ、私に問う。

 

消えたヒルトは、元はアナキンのものだが、ルークのものだ。レイの持つヒルトは、オビ=ワンのライトセーバーに似ている。だけど、オビ=ワンのものじゃない。

 

 

『さぁ?』

「レイアのライトセーバーよ。」

『なぜ私に教えるの?』

「レイアが私に預けたのは、貴女の為よ。」

『私の為?』

 

 

レイはライトセーバーを起動させ、構える。

 

 

「貴女はジェダイを毛嫌いしているけど、ジェダイは貴女の味方よ。」

『ジェダイが味方?私がジェダイを信頼すると思う?』

「いいえ。少なくとも、マスター・スカイウォーカーは貴女を信頼していたわ。だから、私も貴女を信頼してる。」

「信頼だと?あり得ん!なぜこの女を信頼できる?ダース・ルシルは裏切りの代名詞ぞ!」

「“家族”だからよ。」

 

 

そう断言して、レイはライトセーバーで私を切る。

 

 

「ごめんなさい、エレノア。」

 

 

レイの中にあった暗黒面のフォースを、はっきり感じた。

 

暗黒面に踏み込むことはないけど、レイは暗黒面を恐れていなかった。感じるのは、強い意志。揺るぎない心が、光明面と暗黒面のバランスを保っている。

 

今のレイに、迷いはなかった。

 

私は今度こそ絶命して、肉体を操ることもできなくなった。完全な亡霊と化した私は、かつての肉体から離れ、レイとシディアス卿の間に立つ。

 

 

「家族だから、貴女を止める。」

 

 

レイが誰かを殺すのは、これが最初で最後だろう。

 

 

『この瞬間を待ってた。』

「何っ!?」

『シディアス卿、逃がさないよ。』

 

 

シディアス卿の精神を掴み、私は精神世界に引き摺り込む。

 

真っ白な空間に降り立ち、私とシディアス卿はクローン戦争時の服装と身体で向き合う。私は真っ黒なローブ、シディアス卿も真っ黒なローブを着ていた。そして、互いに赤いライトセーバーを持つ。

 

 

『これは……』

『私とあんただけの世界。』

『余に何をした!?』

『ちょっと精神世界に引き摺り込んだだけ。大丈夫、この世界と現実の時間の流れは違うから。』

 

 

こっちは精神世界。どれだけここで喋ろうが、現実では時間は進んでいない。これは、亡霊したからできたことだ。

 

 

『邪魔は入らない。ここは私の精神世界だから、あんたは身動き取れないよ。』

『其方の精神世界だと?愚か者め。私を招き入れたことが大きな間違いぞ。』

『間違い?私は自ら引き摺り込んだ。何も考えてないと思う?』

 

 

後ろから現れたもう1人の私に、シディアス卿は動揺する。

 

 

『其方は…!?』

『知っているみたいだよ?』

『そりゃそうだよね。』

『ペダムは消滅したはずだ!』

 

 

シディアス卿は、ペダムを危惧していた。

 

私の道を逸らせるのはペダムだけだと、“主”は確信していた。現に、私は本来とは違う人生を歩んだ。ペダムが過去を変えたから。

 

私の未来が変わったことでペダムは現れなくなり、シディアス卿は私を飼い慣らせると考えた。

 

だが、目の前にいるのはもう1人の私、もう1人のペダムだ。

 

 

『自分の弟子を何て皮肉ったのか忘れた?』

『“シスの奇才”』

『そう言ったのはあんただよ。』

『お前達……!!』

『ここで大人しくしててもらうよ。』

 

 

シディアス卿をもう1人の私に引き渡し、私は現実へと戻る。

 

現実では、私の死体はエクセゴルのラボに横たわっていて、レイとベンが立っている。シディアス卿は糸が切れたように意識がなく、2人はその姿を見て困惑していた。2人に追い付くように、ステファニーとエドワードもラボに駆け込んできて、上空の戦いは地獄と化していた。

 

4人はライトセーバーを構えて、私に敵意を向ける。

 

これから私がやろうとしていることを、レイ達はルークやアナキンに聞かされたらしい。でも、私が死んだ時点で何もかも遅い。もうすぐ、私の手で終わる。

 

楽園と、銀河の為に。

 

私の穢れた手で、銀河は創り変えられる。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。