4人は私を囲み、説得しようとする。
子供達から読み取れる感情は、焦り。
「母さん、やめてくれ。」
息子でも、私を止められない。
ステファニーでさえ、私を止めることはできないだろう。
「エレノア、考え直して。」
『あんた達、私が望んできたことを知ってるでしょう?』
その問いに、誰も答えない。
私が望みは、みんなが知っている。だけど、私はそれを叶えなかった。叶えてはいけないと、踏み留まっていたから。
でも、もうその必要はない。
『変えるのは、1つだけ。』
「ママ………?」
『全てを変えることはできない。だから全てを諦め、自ら死を選んだ。』
「母さん、」
『“マスター・ヨーダ”や未来のパドメは間違ってなかった。私はシスになるべきじゃなかった。ジェダイを選んでいれば……』
私がジェダイなら、フェラスは廃人にならず、ユグノも死ぬことはなかった。そうなったのは、私が暗黒面に踏み込んだからだ。全ては私のせいだ。
「ユグノが死んだのはママのせいじゃない!殺したのは皇帝なんだよ!ママは悪くない!」
『もういい。あんた達が何をしたところで、私は止められない。』
シスの秘術を使い、フォースで結界を作って子供達を閉じ込める。
「エレノア!!」
『そこから出るには、フォースと調和しないと無理だよ。』
子供達はフォースと調和できない。故に脱出は叶わない。だからと言って、解放はしない。
『この銀河を創り変える。そこで大人しくしてなさい。』
手始めに、私はホズニアン星系を再生させた。人の命は創れないが、星々は古のシス卿達と、未来の私であるダース・ルシルの力で可能だ。ホズニアン星系を再生させた後、次は未知領域に全く新しい星系を作った。
「ダメ!エレノア!」
「待て!レイ!!」
ベンの制止を無視して、レイが結界を抜けて私にフォース・プッシュする。
その瞬間、衝撃波が発生して、私は吹っ飛ばされた。肉体はないから倒れないものの、私が集中力を途切れさせたことで、シディアス卿が解放されてしまった。
シディアス卿が解放され、私の霊体は不安定になる。
「母さん!!」
「おのれ……!ネルっ!!!」
手を伸ばし、私の持つ力を奪おうとする。
もう1人の私でも、どうにもできない。シディアス卿は、力を増す一方だ。このままでは私は愚か、銀河が支配される。
「ママっ!!」
その声に、私は娘を見る。
私は苦渋の決断を下した。シスとしての力をステファニーに渡し、レイやベン、エドワードを守る為に、私は子供達の盾になる。盾になったことで、これ以上エクセゴルに留まれなくなった。
「そんな……!エレノア!!!」
レイが私に手を伸ばすが、私はそれを拒んでエクセゴルから地獄に引き戻された。
意識が虚になり、私はフォースの狭間を彷徨う。フォースの狭間は誰もおらず、静寂と、何もない空間が広がっている。身体の感覚はあるのに、肉体はなく、手足があるような錯覚に陥った。
でも、ここで止まるわけにはいかない。
私は消えてもいいが、シディアス卿は置いていけない。
『聴こえてるんでしょう!ダース・ルシル!』
フォースに言葉を乗せて、ダース・ルシルに呼び掛ける。
返事はない。だが、変化はあった。
レジスタンス艦隊が追い詰められていく中、レイ達もシディアス卿のフォース・ライトニングで倒れていた。私が悲観しそうになっていると、レイの気配を強く感じた。
極限状態になったことで、レイはフォースと調和し始めていた。
そんな彼女に、ヨーダやオビ=ワン、ウィンドゥなど、かつてのジェダイ達がレイの声に応えている。
レイの心には、ジェダイ達から受け継いだものがある。
『レイ』
私の呼び掛けに、レイが気付いた。
『光と闇は、表裏一体。』
私の力は、ステファニーに渡してある。
もう干渉はできない。
『フォースと共にあらんことを。』
そして、私は子供達を信じて背を向けた。
振り返った先には、フェラスがいた。フェラスが手を差し出し、私は迷いなくその手を取る。彼の手は温かくて、誰よりも安心できた。
フェラスは何も言わず、そっと手を引いて私を導く。
辿り着いたのは、悍ましい、暗黒面のフォースが渦巻く地獄だった。
暗黒面は、本来ならとても冷たいものだ。でも、フェラスの手だけは温かい。それが愛情だと、私はすぐに悟った。
地獄に踏み込むと、フェラスは私を優しく肩を抱いてくれた。
『ネル』
彼はただ一言、声をかける。
『フェラス、愛してる。』
ようやく会えた。もう誰にも邪魔されない。この日が来るのを、ずっと待ち望んでいた。
そう、未知領域に作った星系は、私とフェラスの為の星系だ。あれのそ、私達の“楽園”だ。誰も辿り着けず、選ばれた者しか進めない。
あとは、楽園に行くだけ。
いや、1つやることが残っている。
『
貴方を許さない。
そして、感謝します。
貴方がいなければ、私はフェラスと結ばれなかった。貴方は、チャンスをくれたんです。そのチャンスが無駄にならなくて良かった。
でも、私も罪を犯した。
私も貴方も、赦されることはない。
このゲームは、私の勝ちだ。