ドゥークー伯爵が究極兵器の設計図をポグル大公から預かり、私がジェダイ達を引きつける役を受けた。もちろんドゥークー伯爵にも誰かしら追ってくるだろうけど、敵は分散するに越したことはない。わざとらしくバトル・ドロイドを引き連れて、私は表からスピーダー・バイクで飛び出した。
「エレノアサマ、共和国ノガンシップガ来マシタ。」
「散開して。」
「ラジャラジャ!」
とはいえ、共和国のガンシップは私の乗るスピーダーを撃ってくる。
容赦ないけど、当たってあげる気はない。
「58分隊、減速。」
「ラジャラジャ!」
58分隊とは、私を含むドロイドの編成のことだ。
私の組んだスピーダー部隊は減速して、ガンシップを後ろから見上げる位置になる。ドロイドに攻撃させて、ガンシップのキャノンを潰させた。伯爵は生温いって言うかもしれないけど、ジェダイはこれだけで追跡を断念するはずだ。
「ドロイド、まだ飛ぶようなら、嘘ぉ…?」
マスターがガンシップを飛び降り、真っ直ぐ私のスピーダーに向かってくる。避ける暇もなく、私のスピーダー・バイクは横転して、マスター諸共倒れてしまった。即座にライトセーバーを起動し、マスターと距離を取る。
戻ってくるドロイド達に、私は声を張り上げた。
「エレノアサマ!」
「戻るな!プログラム96を実行して!」
「ラジャラジャ!」
ドロイドを先に行かせて、マスターに向き直る。共和国のガンシップはマスターを置いて、先へと進む。ここは、私と彼だけの舞台だ。
マスターは、まだ私が本気ではないと思っている。
「なぜ裏切った?」
「貴方に話す義理はありません。以前の私とは違います。いつまでも未熟な弟子と思わないことですね。あ、もう弟子じゃないか。」
ライトセーバーを、マスターへ一直線に振り下ろす。
鍔迫り合いのまま、マスターは口を開いた。
「暗黒面の力に惹かれたか。」
「素敵な力です。自分を変えるには、多少のリスクを伴わなきゃつまらない。」
「暗黒面は破滅をもたらす。私はそう教えたはずだ。」
「そんなもの………ジェダイの運命に縛られるよりは良い。」
痛々しい表情で見てくる“フィストー”に、私の嫌悪感が更に増す。同情も哀れみもいらない。私が欲しいのは、力だけ。
「その目、本当に気に入らない。」
「まだ間に合う。手を引け。」
「何か誤解してる?私は自分で裏切った。誰かに唆されたわけじゃない。」
「ネル!」
「っ……その呼び方はやめろ!!」
フォース・ライトニングをフィストーに放つ。電撃はライトセーバーで防がれたけど、彼を吹っ飛ばすには充分だった。怒りを抑えることはせず、感情のままにライトニングを使った。
倒れたことを確かめず、私は横転したスピーダー・バイクに跨る。
「待て!」
ペダルを強く踏み、急発進させる。フィストーの気配が遠退き、私の鼓動が次第に速くなっていく。元マスターを前に、かなり緊張していたらしい。
「エレノアサマ、船ノ用意ガデキテオリマス。」
「オーケー。じゃあ行こうか。」
ジオノージアンの隠し格納庫に着き、シャトルに乗り込もうとハッチに足をかける。
ジオノーシスを離れたら、まず何をしようかなぁ。
「警告!警告!敵ガ格納庫ヲ襲撃!」
「………しつこい奴。」
クローン・トルーパーを引き連れたフィストーが格納庫に侵入してきて、私はドロイドに命令を下す。
「一掃して。」
「ラジャラジャ!」
戦いが始まり、私は一人ハッチを登る。
ドロイドの方が減りは早いけど、時間稼ぎにはなる。ここに来るまでに結構なドロイドを潰したけど、バトル・ドロイドは消耗品だし全部考慮済み。ただ、ガンレイ辺りはうるさくなりそうだ。
「動くな!!」
舵を握る手を上げて、シャトルに入ってきたクローン・トルーパー数人を見上げる。
その後ろには、フィストーがいた。
「そこまでだ。お前を拘束する。」
「あはははっ!!」
真剣なフィストーに、私は思わず笑ってしまう。
彼は何も気付いてなかったみたいだ。
この10年、私はただ我慢してきたわけじゃない。同じ聖堂にいたのに、彼は何も見ていない。10年間、微塵も疑ってくることはなかった。
本当に気に入らない。
どいつもこいつも、誰も私の中身を見てくれない。
私を理解してくれるのは、“主”だけだ。
「何がおかしい?状況はお前の方が不利だぞ。」
「不利?寧ろ好機だよ。」
「っ!?みんな離れろ!!」
フィストーがトルーパー2人を掴み、シャトルから離れるが時既に遅し。残された3人のクローンは、私の餌食になった。シスの秘術を使い、私はクローン3人から生命エネルギーを奪い取る。
クローンが足元に倒れた後、その骸をフォースでシャトルの外に押し出す。
いつも笑みを絶やさないあのフィストーが、拳を震わせている。私に手が届かないと、やっと分かったらしい。
すぐに舵を押して、私は格納庫から離れた。
「カステルに着いたらご飯食べよーっと。」
軌道まで出た後、ハイパードライブのレバーを押して光速空間へと入る。
コルサントのレストランに行けなくなるのは痛いなぁ。何件か気に入ってるお店あったのに。まぁ、仕方ないか。
それか、“シディアス卿”にお願いしよう。