【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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戦争の始まり

分離派のドロイド軍は撤退、ジオノーシスでの戦いは共和国が制した。これは共和国の勝利ではなく、クローン戦争の始まりだとヨーダは告げた。ジェダイはクローン軍を率いて、銀河各地へと派遣されることになった。

 

そして、エレノアは見つかることはなかった。

 

エレノア・クラウドは共和国領内で指名手配され、懸賞金もかけられることとなった。

 

その後、ジオノーシスの戦いから数日が経ち、フィストーはヨーダに個室へ呼び出されていた。

 

 

「キット、お前に話しておかなければならんことがある。エレノアのことじゃ。」

「エレノアの……?」

「左様。エレノアはただの孤児ではない。」

 

 

20年前、エレノアはナブーでヨーダに拾われた。親がおらず、血縁者もおらず、ナブーの教会で育てられていた。孤児だったが、その強いフォースに素質を見出された。

 

と、ヨーダ以外のジェダイはそう聞いていた。

 

だが、実際は違う。

 

 

「あの子を連れてきたのは、確かにわしじゃ。だが……」

 

 

ヨーダは、エレノアを連れてきた時の話をした。

 

その話を聞いたフィストーは、どこか納得したような反応をする。

 

 

「暗黒面に惹かれるのは必然だったと……?」

「違えてならんのは、あの子は自分を認めてもらいたいと思っているということじゃ。」

「認める?」

「そうじゃ。あの子が暗黒面に堕ちたのは、わしらがエレノアを否定したせいでもある。しかし、ジェダイの道に反する故、認めるわけにはいかん。」

 

 

グランド・マスター・ヨーダは、エレノアがまだ踏み止まっていると信じていた。

 

3人のクローンがフォース・ドレインで瀕死に陥ったが、彼らは辛うじて生きていた。エレノアは暗黒面に踏み込んだばかりだとヨーダは考察していて、まだ引き返せると思っている。クローンが死ななかったのが、その証だ。更に言えば、まだジェダイに手を掛けていない。

 

後戻りできなくなる前に、呼び戻す。

 

ヨーダはフィストーにそう告げた。

 

 

「良いかキット、あの子をシスにしてはならん。エレノアが暗黒面に囚われれば、我々ジェダイに未来はない。」

「マスター……?」

「信じておるぞ。」

 

 

ヨーダはフィストーに念押しすると、個室を出ていく。

 

残されたフィストーは、一人考え込む。

 

先程聞かされたことが相まって、フィストーはエレノアが遠くへ行ってしまったような気がしていた。彼女は師を始め、友や仲間を捨てた。自ら暗黒面に踏み込んだ弟子に、フィストーは嘆かずにはいられなかった。

 

コルサントのジェダイ聖堂を、真っ赤な夕日が照らす。

 

それは、エレノアの今後を示唆しているかのようだった。

 

────────

 

ジェダイをやめて、3日後。

 

私はセレノーの屋敷で、豪華な晩餐を楽しんでいた。

 

 

「うーん!最高に美味しい!ありがとう伯爵!」

 

 

テーブルにはドゥークー伯爵と私、そしてシディアス卿が席に着いている。

 

実は、ドゥークー伯爵と私は演技をしていた。どこで誰が見ているか分からない。私がジェダイをやめるまで、ドゥークー伯爵との関係を知られてはいけなかった。

 

私がオビ=ワンの檻を壊したのも、一種の錯乱だ。

 

 

「ドゥークー伯爵、名演技だったよね!私の演技は大丈夫だった……?」

「問題ない。ポグル大公やガンレイ総督も信じた。10年もジェダイ共を騙してきただけはある。」

「良かった!オビ=ワンにバレないかヒヤヒヤしたよ!」

 

 

卓上には豪華な食事が並べられ、コルサントの名高いレストランにも劣らない美味なものばかりだった。コルサントのレストランに行けなくなって落ち込んでいた私に、伯爵が用意してくれた。

 

ミディアムレアのステーキが美味しくてたまらない!!

 

 

「気に入ったか?」

「はい!とても!感謝します、シディアス卿!」

「では、本題に入るとしよう。」

 

 

さっきまでの和やかさは消え、私達は食後のブランデーを嗜む。

 

 

「ネル、其方が手をかけたクローンだが、残念ながら死ななかったようだ。」

「え!?失敗!?」

「まだ使い熟せていないな。」

「"ティラナス卿"、まだ始まったばかりだよ?」

「そうだな。ティラナス卿、少し席を外せ。」

「畏まりました。」

 

 

伯爵は席を立ち、退室する。

 

シディアス卿と2人きりになり、跪くように命じられた。

 

 

「ネル、満足したか?」

「………いいえ。」

 

 

共和国、ジェダイ、友達、全てを裏切っても満足できなかった。

 

フィストーやオビ=ワンはショックを受けるだけで、何も分かってくれなかった。心の底から失望した。私が暗黒面に手を伸ばした理由も、裏切った理由も、考えようともしない。

 

本来の私を受け入れたのは、シディアス卿とティラナス卿だけ。

 

 

「案ずるな。其方が変わる必要はない。」

「はい…もう良いんです。共和国やジェダイが滅んでも、悔いはありません。」

「嘘ではないようだな。」

「"主"に嘘は吐きません。貴方に従って10年、恩を忘れたことなんてないんですよ?」

 

 

今度は、私が恩を返す。

 

主の為に、仲間だったジェダイを殺す選択も厭わない。私に後悔なんてない。ジェダイをやめたから、叶ったものもある。

 

良心なんか、何も役に立たない。

 

 

「ネル、余の為に手を汚す覚悟はあるか?」

「答えは1つしかありません。何なりと。」

「よろしい。期待しているぞ、ルシル卿。」

「はい、マスター・シディアス。」

 

 

私の新しい人生だ。

 

生きたいように生きる。好きなことができるのは素晴らしい。ジェダイのままでは、何もできない。

 

やはり、私はジェダイに向いてない。

 

 

「ところで、ネル」

「はい?」

「甘いものは好きか?」

「大好きです!こ、これは…!?」

 

 

シディアス卿がメイドに用意させたのは、希少なフルーツを使ったタルトだった。10年我慢した褒美だと言われ、喜んで戴いた。熟した果実が美味しくて、上品な甘さが口の中に広がる。

 

これを至福の時と言うんだなぁ。

 

タルト最高幸せ!!!

 

 

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