通信妨害をして、ハイパードライブのシステムを無効化した。これで、共和国クルーザーは逃げられない。奴らは私の獲物だ。
さて、私の仕返しをしよう。
「ドロイド分隊、ついてきて。」
「ラジャラジャ!」
戦闘用に着てきた黒い服の上に、黒いマントを着る。更に黒いグローブを装着する。見る人が見れば、喪服だ。
ジェダイだった自分を葬る為に、私は真っ黒な服を選んだ。
ジェダイをやめるだけでは、フィストーやオビ=ワン達ジェダイは希望を捨てない。諦めさせるには、態度と行動、意志表現も必要だ。
本気で来てくれないとつまらないからね。
「ようやく現れたな、ネル。」
クルーザーのブリッジを出てすぐ、フィストーに遭遇して立ち止まる。
クローン・トルーパーは連れていない。ジオノーシスで使ったフォース・ドレインを危惧したみたいだった。フィストーらしい、賢明な判断だ。
フィストーの予期通り、クローン・トルーパーがいたら間違いなくフォース・ドレインを使っていた。
「その呼び方やめてくれる?私はエレノア・クラウド。仲間に信頼されていた、良い子のネルじゃない。」
「では、ジオノーシスで使ったあの術はどう説明する?クローン・トルーパーは生きていたぞ。」
フィストーはうざいくらいの笑みを浮かべる。
「あれ?あぁ、あれは失敗しただけ。私が未熟で、暗黒面の力を扱えてなかっただけ。」
失敗という言葉に、今度は笑みを消す。
「エレノア……」
最初から、あのクローン3人は生かすつもりはなかった。使い始めだから失敗しただけで、私の夢への贄としてカウントする予定だったんだ。
「まだ私に良心があると思ってるの?どれだけ期待しても無駄だから。あんた達が私に失望する前に、私はもっと前からジェダイ・オーダーに失望してる。」
「………」
「これっきりだよ、“マスター”。」
新しいライトセーバーを起動して、フォームⅠで構える。
フィストーは赤い刃を見て、表情を険しくさせた。
赤いライトセーバーは、暗黒面に身を置く証だ。クリスタルをブリーディングしたと分かるだろう。自分のものではないクリスタルを、無理矢理従わせているんだ。
ブリーディングは、クリスタルだけでなく私にも苦痛が伴う。その苦痛の先に、私が望んだ力があった。暗黒面の力は、苦痛を受け入れた私に力を与えてくれた。
暗黒面の力を手にするのは、容易かった。
「そこまで堕ちたか。」
「まさか、怒ってる?」
「違う。私の心にあるのは悲しみだ。」
悲しみ?
元弟子が暗黒面に堕ちたことで、悲しんでいるってこと?
意味が分からない。今まで私を理解しようとしなかったのに。今更悲しまれても遅い。迷惑なだけだ。
「呆れた。今頃になって私を知ろうとするの?飛んだ掌返しだね。」
「まだ考えを変える気はないのか。」
「あるわけないでしょ。ドロイド、奴を撃て。」
「ラジャラジャ!」
ドロイド8体の一斉射撃の後、私はフィストーに真上から切りかかる。その一閃は防がれ、次に右下から振り上げると、それも防がれる。蹴り上げると、フィストーは受け身を取って間合いを取った。
そして、迫るドロイド達をEMPグレネードでフィストーに倒される。
駒がいなくなった私を、フィストーが着実に圧してくる。
「っ…!」
丁寧なフォームⅠで、尽く防御された。
次第に苛立ちが募り始め、今度は私が防御一択になる。
「形勢が変わったぞ、ネル?」
「っ、うるさい!!」
ライトセーバーにライトニングを纏わせ、フィストーの刃を叩き返す。
「そんな小技で、私を殺すつもりか?」
「馬鹿にするのも大概にしろ!!」
フォームⅡに変えて、再び私が攻勢に回る。
「新しい型を覚えたな。」
「良い先生が教えてくれて、ね!」
力強く薙ぎ払い、ライトセーバーの振り方を突くようにして向かっていく。
その一太刀すら防がれ、私は長い息を吐く。
「教えたのは誰だ?」
「さぁ?」
「ドゥークー伯爵だな。」
「あんたは私を止めに来たんだろうけど、私は違うからね。私はあんたを殺すつもりで来てる。」
腕にあるリスト・コムを操作して、ドロイディカを呼び出す。
ドロイディカはすぐに転がってきて、B1ドロイドの中隊も後ろから追い付いてくる。ドロイド達はフィストーを撃ち、奴は後退していく。同じタイミングでクーンと、クーンが率いるクローン小隊が現れ、戦闘が激しくなった。
私はドロイドを尻目に、自分の艦船に戻った。
「ルシル卿、共和国クルーザーガ撤退シテイキマス!」
「オーケー。追撃はしなくて良いよ。目的は果たしたから。」
フィストーは殺せなかった。
でも、もう一つの目的は果たした。
もう一つの目的は、フォース・ドレインで生命エネルギーを集めること。私の夢の為だ。今日は、一先ずこれで良しとしよう。
「よしよし、順調。コマンダー、ドゥークー伯爵に報告を。」
「ラジャラジャ!」
「あ!報告終わったらゲームやろー!」
「ゲェ…マジカヨ……」
何がそんなに嫌なんだろう。
ドロイドと戯れるのは楽しい。人間を相手するより楽だ。人間もこれくらい楽なら良いのに。
今回はどんなご褒美がもらえるんだろう!?