数日後。
自由ダック義勇工兵隊から、重クルーザーが出来上がったと報告を受けた。ドゥークー伯爵が作らせていたのは、イオン・パルス砲が武装された新型重クルーザー。艦船の名はマレヴォランス。
マレヴォランスの指揮官はグリーヴァス将軍に任命され、共和国軍を着実に潰していく予定だ。
私はドゥークー伯爵に、にミッド・リムの惑星を制圧するように指示された。
伯爵が指定した惑星には、ナダール・ヴェブが率いる大隊が防衛線を張っている。私が姉弟子だろうが彼が後輩だろうが、私には関係ない。戦うことになっても、彼には何も感じない。
「ルシル卿、ハイパースペースを離脱します。」
「了解。全艦、戦闘準備!」
『ラジャラジャ!』
ハイパースペースを抜けて、私が率いる艦隊がミッド・リムの惑星軌道に飛び出す。
連れてきた艦船は、プロヴィデンス級キャリアーの私の旗艦《ディスペアー》と、2隻のフリゲート艦。これだけあれば、惑星一つ制圧するのは簡単だ。ヴァルチャー級スターファイターも、制圧の為に8割を戦闘準備させた。
ルクレハルク級は目立って標的にされるから、使うのはやめた。
対するヴェブの艦隊はヴェネター級デストロイヤーと、リパブリック・フリゲート2隻。
「ヴァルチャー・ドロイド、ヴェブの旗艦を狙え。」
「ルシル卿、共和国クルーザーが動き始めました。」
動き出したのはヴェブの旗艦をサポートする、フリゲート艦だった。ディスペアーを挟むように向かってきて、攻撃を始める。だがシールドがあるから、お互い構うことなく射撃を続ける。
ヴェブの旗艦がディスペアーの“重レーザー砲”の射程内に入り、命令を下す。
「撃て。」
「ラジャラジャ!重レーザー砲発射!」
重レーザー砲はディスペアー敵の旗艦に命中して、シールドが剥がれる。
シールドが剥がれた途端、共和国のスターファイターが出撃がしてくる。こちらも残りのヴァルチャー・ドロイドを出撃させ、あっという間に優勢になった。共和国軍の艦船は煙を上げ始め、あちらのフリゲート艦の1隻が航行不能になる。
もう一隻のフリゲート艦も、これから制圧する手筈だ。
勝利も同然。
「ルシル卿!5番格納庫のコマンダーと通信が途絶えました!」
「えっ」
これは予期してなかった。
恐らくこの気配は……
「ハンル、第9ブロックを封鎖して。」
「シカシ、」
「早く!!」
チーム“ミスマッチ”を残して、他のドロイドには5番格納庫へ向かわせた。
あれだけ罵倒したのに、なんでまた来たのか分からない。私は変わる気も、情けをかけるつもりもない。向ける感情は、殺意しかない。
大嫌いな“マスター”、容赦はしない。
「ルシル卿、格納庫ニジェダイハイマセン。」
「は?」
「取リ逃ガシタヨウデス。」
その時、ドアが爆破で粉々に吹っ飛ばされる。
腕で顔を覆い、粉塵がなくなった後に顔を上げると、ノートランのジェダイが立っていた。隣には、モン・カラマリのジェダイがいる。彼がヴェブだ。
「レディーの私室に押し入るって、どういう神経してんの?」
「それは失礼をした。だが、顔馴染みだから問題はないだろう?」
「マスター!敵の冗談に付き合う必要はありません!」
「待てナダール!!」
ヴェブが真っ先に切りかかってきて、私はフォースを使って彼を薙ぎ払った。吹っ飛んだヴェブは、ブリッジのプロジェクターの上に倒れ込む。それを見て、フィストーは溜め息を吐いた。
「それで?私を殺す?」
「殺生はジェダイの道ではない。お前を逮捕する。」
「あはははっ!私を逮捕!?何それ笑える!!」
「笑い事じゃないぞ。お前は死刑確定の裁判所に送られる。“ルシル卿”、手を引け。」
「私がシスだと知ってるなら、殺した方がいいよ?」
立ち上がろうとするヴェブに手を向け、彼をフォース・チョークする。まともな呼吸ができなくなったヴェブは、首に手を伸ばして酸欠にもがく。苦しむ弟子に、フィストーは私にやめるように言ってくる。
「彼を解放してほしかったら、撤退して。」
「ネル!!」
「私はルシル、シスの暗黒卿だよ。」
私の強い嫌悪感を感じたのか、フィストーはコムリンクで旗艦に通信を繋げる。
「提督、撤退だ。」
『しかし、』
「引くんだ。状況は我々に不利だ。」
『………了解しました。』
クローンのスターファイター中隊が撤収していくのを感じて、私は腕を下ろした。ヴェブは解放され、咳き込んで酸素を吸い込む。
ミスマッチはそれを唖然と見て、逃がすことに驚いていた。ハンルを落ち着かせ、私は敵のいなくなった地上にドロイドを向かわせるように指示する。これで制圧完了だ。
「フレイとグレイ、2人を格納庫までご案内して。B1ドロイドを2小隊呼んだから。怪しい動きをしたら殺して。」
「ラジャラジャ!」
フレイに小突かれ、フィストーとヴェブはブリッジを追い出される。
そこで、フィストーは弱ったヴェブを先に行かせて立ち止まった。
「エレノア………いや、ルシル卿」
「何?」
「次に会う時、私は迷いを捨てているだろう。覚悟しておけ。」
「そんなもの、とっくにできてる。グレイ、早く連れていって。」
「ラジャラジャ!」
ジェダイを追い出し、ブリッジの窓からドロイド軍が輸送されていくのを眺める。
また一つ、勝利を収めた。
ヴェブにフォース・チョークをして分かった。まだ私は成長できる。暗黒面の力は底知れない。もっと力が欲しい。
そう、ヨーダさえ越える力が欲しい。
「ルシル卿、共和国軍が完全に撤退しました!」
「ありがとう、みんな。」
ミスマッチには感謝しなきゃ。彼らはよくやってくれてる。今回もミスマッチは全員無傷。たまにはメンテナンスしてあげよう。
「あんた達、オイル・バス入る?」
「良いんですか!?」
「いいよ。手配するから、第13ブロックの………この部屋に向かって。」
『イェーイ!!』
ミスマッチはルンルンでブリッジを出て行く。
ノリが良くて楽しい。ミスマッチは大好きだ。けど、やっぱり新メンバー欲しいなぁ。
「ルシル卿、アリガタク戴キマス。」
「どういたしまして。」
代わりのドロイドを操縦に就かせ、私もシャワーを浴びる為にブリッジを後にする。
事態が急変したのは、私がシャワーを浴びている最中のことだった。伯爵からの指示が、ハンルを通して送られてきた。
めちゃくちゃ忙しいけど、シディアス卿の為だ。
忙しいのは良いことだよね!