【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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カウンセリングはただのお喋りではありません

セレノーへ戻った後、医療ドロイドにまでドクターストップされてカウンセリングを受けることになった。

 

かと言って、素直に受ける気もない。

 

私は屋敷を抜け出し、エピを連れて町に遊びに来た。エピには簡易的なアーマーパーツを着せて、ブラスターを隠し持たせた。なぜこのドロイドなのかと言うと、“ミスマッチ”の中で射撃が一番まともだから。

 

 

「ルシル卿ー?後で伯爵に怒られますよー?」

「だから!私は何も問題ないの!なのにカウンセリングとか!面倒臭い!!」

「そんなこと言ってー。」

「エピ!いつからそんなこと言えるようになったの!!」

 

 

プログラム弄るんじゃなかった!!

 

クレジットを屋台の人に渡して、私はいくつかソーセージを買う。隣の店では、エピ用に油を購入した。その油をエピにあげて、私達は商店街を抜ける。

 

 

「あのー、いつ帰るんです?」

「しばらくは戻らない。」

「シディアス卿にも知らせないのですか?さすがにシディアス卿はお許しにならないかと……」

「………」

「あ!今自分を撒こうとしましたね!?」

 

 

バレてやがる。

 

仕方なくエピを撒くことを諦め、2人で町を歩く。商店街を抜けた先には、酒場や食事処などが立ち並ぶエリアがある。入る店を、エピの情報を参照しながら選ぶ。

 

決まらずに悩んでいると、何かが脚に当たった。

 

よくよく見ると何かではなく、小さな人間の男の子だった。

 

 

「あっ……」

 

 

私の服装を見て、男の子は顔を青ざめさせる。

 

今の私の格好は、ドゥークー伯爵が用意してくれたほぼ黒い服だ。黒いチュニックと黒いズボン、真っ黒なブーツを履いている。そんな服装で見下ろされたら、子供は怖いだろう。

 

男の子は今にも泣き出しそうだ。

 

そして、ついに大粒の涙を零す。

 

 

「ルシル卿、泣かしましたね。」

「私のせいじゃない!えっと、君、泣かないで?」

「ままぁっ……ぐすっ……」

「あーあ…」

「だから私じゃないってば!」

 

 

子供の相手は苦手なんだけどなぁ。

 

感情を見せるだけで、言いたいことは分からない。防衛本能ですぐに泣くし、泣き出したら周りの声はほぼシャットダウン。泣き止ませる方法に正解はない。寧ろ不正解が多い。

 

見た感じ、5歳くらいの子供だ。

 

5歳児ってどうすればいいの?

 

 

「ねぇ君、なぜ泣いているんだい?」

「エピ……?」

「泣くことには意味があるんでしょう?それなら聞けばいいんです!さぁ君、なんで泣いているのか教えてくれないか?」

「うん…ママとはなれちゃったの……」

「ほらぁ!私のせいじゃないじゃん!」

 

 

エピが優しく聞くと、男の子はレストランの匂いに連れられて母親と逸れてしまったらしい。迷子に加えて、空腹も困った要因だ。何しろ、子供だから手持ちのクレジットがない。つまり、食べ物は買えない。

 

もう泣くしかないだろう。

 

かと言って、話しかけた以上放置はしたくない。

 

 

「エピぃ、どうすればいいの?」

「とりあえずご飯でも食べさせたらどうでしょう?」

「私が………?」

「子供が怖がるのでその顔はやめてください。」

「どんな顔だよ。」

「ほら、この怖いお姉さんとご飯食べに行こうよ。」

「誰が怖いお姉さんだ。」

 

 

ライトニングでエピをボコボコにすれば、事実だとほざくから、あげたオイルを没収した。

 

私を怖いお姉さんとか言うドロイドにオイルはあげません!!

 

男の子を連れて、私達は近くのレストランへと入る。エピは外で待たせて、私は男の子を連れて席に着く。私はコーヒーだけ頼み、男の子にはバンサのステーキを注文した。

 

男の子は目を輝かせて、ステーキを美味しそうに頬張る。

 

 

「美味しい?」

「うん!ありがとう!」

「君、名前は?」

「ユグノ!」

「ファミリーネームは?」

「ソール!お姉ちゃんは?」

「私は……ネル。」

 

 

ユグノ・ソール……

 

ソールは、どこかで聞いたような名前だ。どこで聞いたんだっけ。思い出せない。

 

 

「ユグノ、ママってどんな人?」

「ママはねー、きょーわこくにはんたいしてるんだー。」

「どうして?」

 

 

あえて知らないふりをした。

 

思い出した。ユグノ・ソールは、ミーア・ソールの息子だ。ミーアはドゥークー伯爵に賛同した共和国の元議員で、今は分離主義同盟の議員となっている。彼女には何度か会っていたけど、息子には初めて会った。

 

この出会いは、フォースの働きによるものだろう。

 

 

「ぼーえきがなんとかっていってた!ボクわかんない。」

「そう。ママは共和国を悪者って言ってた?」

「うーん、いってない!でもね、けんかしなきゃいけないときもあるって、ママがいってた。」

 

 

そう、ミーアはガンレイ達とは違い、共和国を敵視しているわけじゃない。彼女は共和国のきつい条約をなくそうとしているだけ。その為に戦争が始まることを、ミーアは率先して賛成した。

 

彼女の言う通り、戦争は必要だ。

 

 

「ごちそうさま!」

「じゃあママを探しに行こうか。」

「ママがどこにいるかわかるの?」

「お姉ちゃんに任せて。」

 

 

ユグノの手を引き、私達はお店を出る。

 

エピは先に屋敷へ帰らせて、私がいるふりをさせた。

 

認識範囲を意図的に広げて、フォースを通じてミーアを探す。彼女はすぐに見つかり、私達はドッグエリアへ向かった。“ソール議員”のシャトルを発着リストから探し出し、26番ドッグへと足を運ぶ。

 

私の顔を見た26番ドッグのB1バトル・ドロイドは、すぐに通してくれた。

 

 

「クラウド将軍!?」

「ソール議員、息子さんが迷子になってたみたいです。」

「将軍を煩わせてしまい申し訳ありません!」

「あぁ、いいの。逃げたところで会っただけだったから。」

「逃げた……?」

 

 

首を傾げるミーアに、ユグノが爆弾を投下する。

 

 

「お姉ちゃん、ドクターとおしゃべりしなきゃいけないんだって。」

 

 

レストランで教えすぎた。

 

これだから子供は!!

 

 

「将軍、伯爵が探していましたが、そういうことでしたか。もしや、カウンセリングですか?」

「なんで分かったんですか!?」

「何となくです。とにかく、息子を連れてきてくれてありがとうございます。」

「いえいえ。」

「では、伯爵に知らせておきますね。」

「え、ちょっと、本当にやめません?」

 

 

議員がドゥークー伯爵に連絡して、26番ドッグに迎えのバトル・ドロイドが来る。渋々同行して帰ると、医療ドロイドとドクターが待ち受けていた。カウンセリングは半ば強制的に行われて、気が遠くなりそうだった。

 

ユグノはミーアと共に故郷の星に帰っていき、ミーアとは食事の約束をした。

 

カウンセリングの間、食事の約束のことしか考えられず、ドクターを困らせたのは言うまでもない。

 

だってカウンセリングよりお食事会の方が大事だもん!!

 

 

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