寺院の中に足を踏み入れると、嫌なものを感じた。
歓迎されていないと、瞬時に分かった。でも、ここで戻るわけにはいかない。ペダムを葬る為、寺院の力が必要だ。
暗い通路を歩き、広い空間へと出る。
負の感情を強くして、暗黒面の力を最大限まで引き上げる。私が寺院の力を操るには、強引に傾向を変えるしかない。私はもうジェダイじゃないのだから。
何となく選んだ小部屋に進むと、寺院の番人が待ち構えていた。
番人は面を着け、真っ白な装束をして、黄色のダブルブレード=ライトセーバーを持っている。
その番人は、静かに口を開く。
「またジェダイに手をかけたな、エレノア・クラウド。」
「何?説教?これが初めてじゃないよ。」
「その通り。ここへ何を求めに来た?」
「寺院の力を渡して。ペダムと名乗った女の正体が知りたい。」
番人は、深い溜め息を吐く。
「お前が彼女を殺すことはできない。」
「なぜ?」
「彼女がお前の一部だからだ。」
「どういうこと?その詳細が知りたいの。寺院の力を使わせろ。」
「無理だ。お前はジェダイではない。暗黒面に身を置く限り、お前に未来はない。」
簡単に諦めてなるものか。私はダース・ルシルだ。主であるシディアス卿の為に、諦められない。
「私はダース・ルシル。聞き入れる気はない。」
「良かろう。だが、容易いことではない。答えは自分で見つけろ。」
「答え……?」
「この先へ進め。答えの1つを知る者達がいる。」
「答えの1つ?」
「1つ、お前は何者か?2つ、なぜ愛を求めるのか?3つ、なぜジェダイとなったのか?さぁ、奥へ進め。」
番人の言う意味が分からず、思わず睨む。
だけど、ここで止まっても無意味だ。進むしかない。ペダムの正体が分かるなら、進むべきだろう。
意を決して、光り輝く奥の部屋へと足を踏み入れた。
声が聴こえてきて、私は耳を澄ませる。
『何者じゃ?』
嗄れた声、今と変わらないヨーダの声が響く。
段々と光が弱まり、よく目を凝らすとヨーダは誰かと話していた。マントを着て、フードを深く被る人物がいて、その者は何かを抱えている。大事そうに抱き抱えて、ヨーダに頭を下げていた。
その時、私の頬に冷たいものが付く。
上から落ちてきて、手で触れると水滴だった。段々とそれが増えて、次第に数え切れないほど落ちてくる。
「雨……?」
はっきり呟いたのに、ヨーダとマントを着た者は私に気付かない。気付いていないということは、2人は幻影か何かだ。私は寺院に幻を見せられているらしい。
それから、フードを被った人物が口を開く。
『お願いです、マスター・ヨーダ。この子をジェダイにしてください。』
マントの人物は女性で、抱き抱えていたものは赤ん坊だった。赤ん坊の真っ黒なおくるみには、シスの古代文字が刻まれている。ヨーダはその文字に眉を寄せていた。
『名を言え。この赤子はなんじゃ?』
『明かせる名はありません。本来なら存在しない者です。この子は、もう一つの希望なのです。それに、この子自身の願いなのです。』
『赤子が願いを……?』
『ええ。貴方はいつか知ることができると、この子が言っていました。』
女性は、この赤子がジェダイにならなければ銀河は闇に覆われると言う。
「赤子が予言?世も末だね。」
「あれがお前だ。」
「えっ!?」
突然現れた番人の言葉に、私は混乱した。
あれが私?どういうこと?私は孤児院で素質を見出されたはずだ。ヨーダは嘘を吐いていたの?
ジェダイの信用度が、ゼロからマイナスへと降下していく。
番人と私を他所に、ヨーダ達の会話は続けられる。
『この子の名はエレノア・クラウド。』
『なぜジェダイが育てる必要がある?』
『エレノアは……暗黒面に呑まれたのです。私が助けようとした時には、既に手遅れでした。私の夫は、彼女を助けようとして……』
彼女は寂しそうな声で答える。
つまり私は、一度暗黒面に呑まれていて、何かがあって助かったらしい。彼女の夫は、私を助けられたんだろうか。女性の言い方だと、彼も助からなかったということになる。
というか、私は産まれて数分で何があったんだ。
彼女は誰?
「彼女と彼女の夫は、私の肉親?」
「考えた結果がそれか。だが、不正解だ。1つ目の問いが分からないようなら、お前はずっとペダムに届かない。」
幻影が消え、私達は寺院に戻っていた。
「では、ヒントを与えよう。彼女は未来の者だ。言っている意味が分かるな?」
「未来……まさか………」
彼女が私をヨーダに預けたということは、私はこの時代で産まれたんじゃない。赤子の私が、彼女と友人のはずがない。
私は何者か?
その答えが、明らかになった。
「私は未来の人間………?」
「正解だ。お前は過去に送られた。赤子に戻ったのは、その代償だ。」
私は過去に送られた。何の為に?
答えは単純だ。未来を変える為。もっと言えば、ジェダイの滅亡を防ぐ為だ。
では、ペダムは何者?
謎が、さらに謎を深める。一つ答えを見つけたと思ったら、また疑問が増える。まるでいたちごっこだ。
謎は増えるばかりだ。