【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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予期せぬ破局

ホンドーの連絡を受けて、私は彼のいる船へ向かう。

 

チーム“ミスマッチ”は船で待機させ、一人接続部へと歩く。向かった。ホンドーも一人で待っていて、私の姿が見えると抱き締めてくる。私も抱き返し、恋人の温もりに安堵感を得る。

 

 

「ホンドー……会いたかった。」

「………」

 

 

私の言葉に、ホンドーは無言だった。

 

いつもと違うホンドーに、私は彼から離れる。ホンドーの表情は悲しげで、嫌なものを感じさせた。思わずどうしたのかと、聞いてしまった。

 

 

「ホンドー……?」

「ネル、別れよう。」

「は!?」

「俺はお前さんの期待には応えられねぇ。」

「そんなっ………なんで!!」

 

 

突然の宣言に、私は動揺しかない。

 

 

「シスの暗黒卿だろうが、ジェダイだろうが、俺は気にしなかった。俺もどっち付かずの海賊だからな。だが、お前の目に俺は映ってねぇんだ。」

「何を言ってるの……?ねぇ、私が恋人を蔑ろにしてると思ってる?私は、」

「エレノア、お前は愛されたいだけだ。確かに、その愛は本物だった。なのに、お前は自分のことしか考えてねぇ。」

 

 

愕然とした。

 

私は本当にホンドーを愛している。恋人である彼を蔑ろにしたつもりはない。フォース・ドレインで集めた生命エネルギーも、彼と私の為に使う気だった。

 

夢が叶っていたかもしれないのに……

 

ショックで言葉が出なかった。

 

 

「自分のことしか考えてないなんて………そんなわけない。私は仕事の傍ら、夢の為に、」

「スカイウォーカーから、分離派にいたネルのことは聞いたぞ。」

 

 

アナキンの名前に、私は口を噤む。

 

 

「俺の為に、クローン・トルーパーを手に掛けていたのは知っていた。問題は、お前の行動だ。クローンを殺したのは、お前自身が満足する為でしかねぇ。」

「やめて……」

「恋人の為とはいえ、殺しを愉しむ女を受け入れられると思うか?」

「やめてよ!!」

 

 

ホンドーに怒鳴ってしまった。

 

あり得ない。私が振られるなんて、絶対に認めない。今までずっと、私と彼の為に頑張ってきたのに。

 

頑張ってきたのは、全部無駄……?

 

 

「愛してるのに……!」

「今のネルは愛せねぇ。許してくれ、エレノア。」

「嫌だよ……」

「もう終わりだ。」

 

 

別れたくない。やっと理想の恋人に会えたのに。どうして別れなければならないのか、一つも理解できない。

 

フォース・ドレインを使ってきたのが悪いの?

 

全て必要な殺生だ。

 

 

「ホンドー!」

「考えを改める気はねぇ。悪いな、ネル。」

 

 

ホンドーは自分に嘘は吐かない。私はその姿に惚れたんだ。別れるという決意も、変えてくれないだろう。

 

彼に惚れたのは私なのに、今はホンドーのその性格が恨めしい。

 

私は何も言えず、自分のシャトルへと足早に戻る。

 

ハンルにドッキングを解除させ、ミスマッチに操縦など、全て丸投げする。振られたことが辛く悲しくて、エピを抱き締めてひたすら泣いた。恋人に拒絶されたのは初めてだった。

 

悲しみを乗り越える方法なんて知らない。

 

心が空っぽになりそうだ。

 

セレノーへ帰った後、私は部屋に引き篭もった。ドゥークー伯爵や主の通信も遮断。ミスマッチすら部屋に入れなかった。

 

今は何も考えたくない。

 

 

『後悔すると言ったでしょう?』

「黙れ!!」

 

 

背後にペダムの幻影が現れ、寝台の上で頭を抱える。

 

 

『なぜホンドーが離れたのか、よく考えなさい。』

「お前に何が分かる!?私の理解者はっ……」

 

 

理解者は、主しかいない。

 

ホンドーですら、私を受け入れてくれなかった。私を受け入れてくれたのは、シディアス卿だけだ。シディアス卿は、唯一の理解者だ。

 

最も私を理解していないのは、目の前のペダムだ。

 

 

「シディアス卿……!」

『貴女はシディアスに甘えているだけ。逃げていては、夢は叶わないわよ。』

「うるさい……」

『エレノア。このままいけば、貴女は死ぬわ。』

「え……」

 

 

衝撃的なことを告げられて、背筋が凍る。

 

私が死ぬ?生命エネルギーを集める私が?シスの私に、何が襲うの?

 

フォース・ドレインを操るのに、なぜ死ぬのか分からない。

 

 

「私が死ぬ……?」

『ええ。』

「なんで……」

『自業自得だからよ。周りを見ず、私の言葉を本気にしようとしない。挙げ句の果てに、助けの手を拒んでいる。』

 

 

私は助けなんか求めていない。

 

救済の手は、最初から無いも同然だ。

 

ペダムを拒むように、サイドテーブルのティーポットを投げ付けた。ティーポットは砕け、床にガラスが散乱する。私は拾いもせず、ペダムを睨み上げる。

 

 

「助けは必要ない。」

『貴女が欲を捨てれば、物事は簡単に終わるわ。』

「欲に従うのが、そんなにいけないこと?ジェダイに戻れって言いたいの?」

『そうよ。』

 

 

ジェダイには戻りたくない。ジェダイに戻れば、また振り出しだ。今までの我慢が無駄になってしまう。

 

 

「嫌だね。」

『そう……もう救いようがないわ。』

 

 

あのペダムが泣きそうな声を残して、姿を消した。

 

最後に残したペダムの感情に、なぜか私まで辛くなった。身に覚えのある感覚だけど、何なのか思い出せない。靄がかかったように、何かが邪魔をしている。

 

私はペダムを知っているような気がする。

 

それが失った記憶のせいなのか、何なのか分からない。

 

私には、何も残っていない。

 

 

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