アナキンはオビ=ワンの制止を無視して、ドーターを追いかけていく。私も仕方なく後を追う。手錠されたまま放置されるなんて御免だ。
「ネル」
「何?」
「分離派にいて、何か良いことあったか?」
「ジェダイ聖堂にいた時と比べたら、山程あるね。」
まず、暗黒面を学べたこと。
シディアス卿やティラナス卿が、暗黒面の技や秘術を教えてくれる。その見返りとして、私は2人の為に手を汚す。私は、2人の為に存在することを選んだ。
「暗黒面なんて……」
「あんたは馬鹿にしてるけど、私は暗黒面の力に救われた。」
「暗黒面に救いなんかないだろ!」
「物事は見方によって変わる。光明面で苦しんでいた私は、暗黒面で救われたの。主に救われて、私も暗黒面に身を置くことを選んだだけ。」
「また“主”か。」
アナキンが主という言葉に反応する。少し喋りすぎてしまった。でも、彼が主の正体を知ることはできない。
なぜなら主の正体を知るのは、ジェダイが滅びる時だからだ。
「ドゥークー伯爵の下僕に成り下がったか?」
「ドゥークー伯爵の?あはははっ!!」
「何がおかしいんだ!」
「マスター・ドゥークーはただの同志だよ。」
「誰に与したんだ!」
「言うわけないじゃん。」
嘲笑いながら吐き捨てると、アナキンは悲しそうな表情をする。
舞踏会でも感じたけど、アナキンとパドメはまだ私を諦めていない。ジェダイに戻るくらいなら、多くを道連れにして死んでやるつもりだ。夢が叶わないなら、生き延びる必要もない。
アナキンの同情なんて、迷惑でしかない。
「ネル、これだけは言えるぞ。君は怖れている。」
「私が怖れる?何を?」
「孤独が怖ろしいはずだ。だからバトル・ドロイドを侍らせているんだろ?」
自分が孤独だとは思っていない。私には主がいるし、師でもあるティラナス卿が味方にいる。独りだなんて思わない。
「ミスマッチはただのお気に入りだから。友達だとは思ってない。主さえいればいい。」
「随分心酔しているんだな。」
「私は主の下僕なの。主があんたを殺せと言えば、躊躇いなく殺す。私に死ねと言うなら、黙ってライトセーバーを差し出す。それが私と主の関係だよ。」
山を越えると、大きな塔が姿を見せた。あの塔がドーターの言う、ファーザーがいるところだろう。ファーザーとやらは、アナキンに会いたがっているみたいだ。
「どうした?」
立ち止まった私を、アナキンが訝しげに見てくる。
「私は待ってる。」
「何だって!?置いていくわけがないだろ!」
「ねぇ、私はシスなんだよ?どうして一緒にいたいの?手錠されてなければ、私はあんたを殺してるかもしれないのに。」
「苦しんでる友を助けるのは当然だ。」
「だから苦しんでなんか、え、ちょっと!何やってんの!?」
アナキンはライトセーバーで手錠を壊して、私を解放する。
唖然となって彼を見ると、なぜか微笑まれる。
「僕を殺すんじゃないのか?」
「………い…」
「何?」
「大嫌い!!あんたもパドメも!大人しく騙されてくれない!なんで殺意を向けるのか、少しは考えてよ!!」
言ってしまったと後悔したけど、時既に遅し。
アナキンは私の本音を知ってしまった。今後、私を敵と認識してくれなくなる。忘れていた感情が、沸々と甦る。
「人を操れると思ったら大間違いだ。僕は自分の意思で進む。君と戦うのも、僕の意思だ。」
そう言って、アナキンは塔へ入っていく。
私は、1人取り残される。
自分で拒んだんだ。何を戸惑うことがある?私には主だけ、暗黒面だけでいいはずだ。
「気に入らない……」
「それは残念だ。」
ハッとして顔を上げると、見たことのない男が私を見下ろしていた。
感じるのは、暗黒面のフォース。
「あんたがブラザー?」
「そうだ。俺はサン。エレノア・クラウド、単刀直入に言おう。俺の為に力を寄越せ。」
力と言われて、何のことかすぐに分かった。
サンが欲しているのは、私が集めた生命エネルギーだ。だけど、苦労して集めたものを渡す気はない。これは、私の為にあるのだから。
「やだね。これは私のものだから。」
「愚か者め。助けてやろうと思ったのに。いいだろう、存分に苦しめ。」
「はぁ?」
サンは不気味に笑い、ガーゴイルの姿になって飛び去っていく。
ダイアシムとは正反対で、まるで悪魔だ。
「追いかけるしかない、か。」
アナキンが向かった塔を見上げ、来た道を振り返る。オビ=ワンとアソーカは自力で何とかするだろう。
問題は、私自身だ。
サンに隠し持つ生命エネルギーのことを知られている。奪いに来ても不思議じゃない。だけど、奪われるわけにもいかない。
集めた生命エネルギーは、私のものだ。
「休もう……」
近くの洞窟に入り、シスの秘術で結界を施す。これで誰かが侵入して来たら、すぐに分かる。私は洞窟の奥で壁を背に、座り込んで力を抜く。
目を閉じて、少し身体を休ませた。
気付けば、私は眠っていた。
でもその安息も、早々に破られる。
「っ!!」
咄嗟にライトセーバーを取り出し、侵入者に突き付ける。
突き付けられた相手、ドーターは敵ではないと私を諭す。
「落ち着いて。私は貴女の為に来たのです。」
「私の為なら、今すぐ出て行って。何の為に結界を張ったと思ってんの?」
「私達にとっては障害ではありません。」
「障害、ねぇ……もういい。あんたを切り殺せば、私の敵はいなくなる。黙って死んで。」
ドーターを殺そうと、ライトセーバーを振り下ろす。
フォースの権化だろうと関係ない。邪魔者は排除するのみ。ドーターは私の敵だ。
「え…」
ところが、プラズマの刃はドーターが素手で掴んでいた。
“ツタミニス”
この世界でそんなことができるのは、ヨーダだけだと思っていた。遥か昔、ジェダイ聖堂で教わったけど、実際に使えるジェダイはヨーダ以外いなかった。
それを、ドーターが使った。
いや、ドーターやファーザーなる人は、それ以上の存在なのかもしれない。
プラズマの刃は強引に収められて、私は一歩退がる。
「ダース・ルシル、父が貴女を呼んでいます。」
「お断り。私は主以外の指図を受けない。こんな星からも逃げてやる。」
「それは無理です。父は貴女を逃がさないでしょう。特に兄は、貴女の力を欲しがっている。逃げられないわ。私も貴女を止める。」
その瞬間、ドーターから強烈なフォース・プッシュを受け、壁に叩き付けられた。
踞る私に、ドーターが近付いてきて見下ろす。
「船さえあればこんな星、」
「分かっていないようですね。この星自体が、貴女の牢獄でもある。シスの暗黒卿を逃がして、未来を危険に曝すことはできません。大人しく付いてきてください。」
見下ろしてくるドーターをフォース・プッシュして、私は洞窟から逃げ出す。
洞窟から飛び出した瞬間、黒いモンスターに身体を鷲掴みにされそうになる。それを避け、私はモンスターにライトセーバーで一太刀浴びせた。モンスターは人型になり、サンが呻きながら転がり倒れる。
ドーターはサンに駆けつけ、私はその間に2人を置いてひたすら逃げた。
誰が捕まってやるか。
皆さん、お久しぶりです。
酒とタバコと酒と酒の力で一気に書き上げました⭐︎
お酒の力すごい(語彙力皆無)
酒とタバコは成人してからキメましょう!(夭嘉※27歳より)