私はテンプル・ガードに監視されながら、裁判が始められた。裁きを下すのはパルパティーン議長と、ジェダイ評議会だ。評議会メンバーの中には、オビ=ワンもいる。元老院議員席では、パドメが心配そうに私を見ていた。
彼らの存在は気にも留めないが、居心地はかなり悪い。
「被告人エレノア・クラウド、お前は暗黒面に踏み込み、数多くのジェダイや、罪なき人々の命を奪った。よって、死刑が求められている。異論はあるか?」
ウィンドゥが評議会を代表して、私の罪を並べる。
「ない。」
死刑を求められているのに反論しない私に、裁きの間にいる者達は衝撃を受ける。
普通なら、罪人はここで異論を唱えるだろう。だけど、私は違う。私は望んでこの場に立った。
ウィンドゥに続いて、次にムンディが発言する。
「クラウド、何も弁解はないのか?」
ヨーダを見ると、目が合ってしまった。オビ=ワンにも目を向ければ、やはり私を怪訝な表情で見ている。あの2人に邪魔されるとまずい。
それに、ジェダイ評議会の様子がおかしい。
「みんなして私に罪を意識させたいわけ?」
その問いに答える者はいない。
本当に呆れる。私が悔い改めることなんてないのに。期待するだけ無駄だ。
「お前は死刑になるのだぞ?」
「だから構わないって言ってるでしょ?さっさと判決を下したらいい。」
「救いようがないな……」
パルパティーン議長が小さく呟いたが、私には聴こえた。
白々しい。私を消したいと一番思っているのは議長だ。仲が良かった私は、議長にとって障害でしかない。
その仮面を剥がしてやりたい。
「パルパティーン議長、貴方に一言よろしいでしょうか。」
「なんだ?」
「私は仇を返すことはありませんが、恩も返すこともありません。」
「何……?」
議長の表情が変わった。
彼に、私の魂胆が通じたはずだ。私は議長の知らない秘密を持っている。彼の性格なら、情報を得る前に死刑にはしないだろう。
もちろん渡すつもりはないけど。
「どういう意味だ?」
フィストーや、ジェダイ評議会が反応する。
私はシス卿だ。教えてあげる程、親切じゃない。
「さぁ?」
「クラウド!!」
「言ったよね?情報は死んでも渡さないって。あんた達は私に死刑を迫って情報を得ようとしたみたいだけど、生憎死ぬ覚悟はできてるから。脅しは通用しないよ。」
ウィンドゥの苛立ちを感じる。
本当なら、私はウィンドゥに殺されていた。だけど私は生き延びた。せっかく生き延びたんだから、また足掻いてやる。
「つまんない茶番やってないで、さっさと判決を出しなよ。」
「言葉を慎め!」
オビ=ワンが口調を強くさせて、私を咎める。
「言葉を選んだ方がいいのは共和国だよ。私はダース・ルシル。誰にも従わない。」
裁きの間は静まり返る。
他の者には見えないだろうけど、議長の表情は歪んでいた。
良い気味だ。
「一旦閉廷じゃ。エレノア・クラウドを連れて行け。」
私はテンプル・ガードに脇を掴まれ、裁きの間から連れ出される。
これで、死の運命を乗り越えた。今回私がジェダイ評議会を混乱させたのは、また生き延びる為だ。死刑を覆せば、チャンスはある。
それに加えて、ジェダイを掻き回すのはとても気分が良い。
さて、行動を起こそう。
「おい!何を、ああああああっ!!」
「やめろ!!!あああああああ…!」
フォース・ドレインを使い、私を掴んでいたテンプル・ガードを殺す。
2人は倒れ、自分でライトニングを浴びて手錠を壊す。多少の痛みはあるが、手錠を外すことができた。腕が自由になった後は、武器だ。
テンプル・ガードのライトセーバーを拾い、その場を後にする。
向かう先は、ジェダイ聖堂の格納庫。
「あー、だるい。」
他のジェダイに見つからないように忍び込み、武器が搭載されたシャトルに搭乗する。システムを立ち上げ、外縁部の適当な惑星の座標を入力する。エンジンが起動し、私は頭上のスイッチを順番に入れていった。
ところが、起動したはずのエンジンがシャットダウンしてしまった。
「そこまでだ。」
おかしいなぁ。
裁きの間には来なかったのに、今来るのか。
「スカイウォーカー、てっきり裁判で顔を見せると思ってたのに。」
アナキンがエンジンドライブを壊したらしい。
「ネル、またジェダイを殺したな。」
「逃げる為だもの。障害は排除するでしょ?シャトルから降りて。」
「どうして分からないんだ!もう次はないんだぞ!?共和国側に戻れば、」
「あんたこそ、なんで分からないの?私は昔の私じゃない。今は他人なんてどうだっていい。あんたやパドメもね。」
「だったら、なんでパドメを助けた?」
「私の問題に巻き込んじゃったから。助けたわけじゃない。間違いを正しただけ。」
操縦席から立ち上がり、テンプル・ガードのライトセーバーを起動させる。
アナキンの前まで歩いて、私は静かに口を開く。
「一度しか言わない。シャトルを降りて。」
「お断りだ。僕にも、君を止める覚悟はある。」
「あら、そう。殺すつもりで来ないと、私は止められないよ。」
「承知の上だ。」
全力でフォース・ライトニングを放ち、アナキンを吹っ飛ばす。アナキンはシャトルの外で倒れ、私はすぐにハッチを閉じる。何か怒鳴っているけど、構うことはない。
エンジンは何とか立ち上がったが、武器システムは間に合わない。
でも武器がなくても、攻撃はできる。
「さよなら、アニー。」
伝わらないけどそう呟いて、船体の向きを変えて舵を勢いよく押す。シャトルは一気に加速し、目の前のアナキン目掛けて突っ込む。当然避けられるが、これで私の敵意は分かってくれたはずだ。
シャトルは聖堂から離れ、コルサントの軌道へ出る。
クルーザーの警告を無視して、私はハイパードライブを起動させた。座標を再確認し、レバーを押すと、シャトルはハイパースペースへと入る。武器システムは後で直せばいい。
今は休みたい。
頼れる人はいない。誰かに頼る気はないけど、少し寂しい。アナキンの言う通りだ。私は孤独を怖れている。
でも、1人で生きることを選んだのは私自身だ。
「っ!?」
何か物音がした。
ライトセーバーを起動させ、音がした場所にゆっくり近付く。
刹那、何かが飛び出してきた。
「申し訳ありません!お許しください!二度と裏切りませんから!」
「エピ!?」
よくよく見たら、ミスマッチのエピだった。
「私の前に現れるなって言ったよね?スクラップにするよ。」
「申し訳ないと思っています……ですが、自分はルシル卿の為に………」
震えるB1バトル・ドロイドに、溜め息を吐く。
エピは未来の私に従っただけ。プログラムに従ったんだ。緊急プログラムを設定した私の落ち度だ。
だからと言って、簡単に許すことはできない。
「分かった。とりあえず保留にする。なんでここにいるの?誰の差し金か言えば、今は置いていてあげる。」
「その……スカイウォーカーです………」
「ふぅん?」
「あ、待って!違うんです!実はオレ、分解されそうで、スカイウォーカーとR2-D2に助けてもらったんですよ。」
アナキンがただ助けたとは思えない。
「無償で助けたんじゃないんでしょう?」
「………」
「図星か。」
「ハイ……」
「何を話したの?」
エピを問い詰めると、状況は最悪だった。
一番知られたくないことを、アナキンに知られてしまった。本っ当に最悪。やっぱりエピはスクラップにしたい。
「エエエエエエエピイイイイイイイイイっ!!」
「ヒイイイイイイイイイっ!?」
ハイパースペースを出るまで、エピの四肢を外したのは言うまでもない。お仕置きだ。許さん。
だけど、エピのお陰で寂しさは紛れた。
あぁ、これからどうしよう。