【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

45 / 159
咎人の主演舞台

私はテンプル・ガードに監視されながら、裁判が始められた。裁きを下すのはパルパティーン議長と、ジェダイ評議会だ。評議会メンバーの中には、オビ=ワンもいる。元老院議員席では、パドメが心配そうに私を見ていた。

 

彼らの存在は気にも留めないが、居心地はかなり悪い。

 

 

「被告人エレノア・クラウド、お前は暗黒面に踏み込み、数多くのジェダイや、罪なき人々の命を奪った。よって、死刑が求められている。異論はあるか?」

 

 

ウィンドゥが評議会を代表して、私の罪を並べる。

 

 

「ない。」

 

 

死刑を求められているのに反論しない私に、裁きの間にいる者達は衝撃を受ける。

 

普通なら、罪人はここで異論を唱えるだろう。だけど、私は違う。私は望んでこの場に立った。

 

ウィンドゥに続いて、次にムンディが発言する。

 

 

「クラウド、何も弁解はないのか?」

 

 

ヨーダを見ると、目が合ってしまった。オビ=ワンにも目を向ければ、やはり私を怪訝な表情で見ている。あの2人に邪魔されるとまずい。

 

それに、ジェダイ評議会の様子がおかしい。

 

 

「みんなして私に罪を意識させたいわけ?」

 

 

その問いに答える者はいない。

 

本当に呆れる。私が悔い改めることなんてないのに。期待するだけ無駄だ。

 

 

「お前は死刑になるのだぞ?」

「だから構わないって言ってるでしょ?さっさと判決を下したらいい。」

「救いようがないな……」

 

 

パルパティーン議長が小さく呟いたが、私には聴こえた。

 

白々しい。私を消したいと一番思っているのは議長だ。仲が良かった私は、議長にとって障害でしかない。

 

その仮面を剥がしてやりたい。

 

 

「パルパティーン議長、貴方に一言よろしいでしょうか。」

「なんだ?」

「私は仇を返すことはありませんが、恩も返すこともありません。」

「何……?」

 

 

議長の表情が変わった。

 

彼に、私の魂胆が通じたはずだ。私は議長の知らない秘密を持っている。彼の性格なら、情報を得る前に死刑にはしないだろう。

 

もちろん渡すつもりはないけど。

 

 

「どういう意味だ?」

 

 

フィストーや、ジェダイ評議会が反応する。

 

私はシス卿だ。教えてあげる程、親切じゃない。

 

 

「さぁ?」

「クラウド!!」

「言ったよね?情報は死んでも渡さないって。あんた達は私に死刑を迫って情報を得ようとしたみたいだけど、生憎死ぬ覚悟はできてるから。脅しは通用しないよ。」

 

 

ウィンドゥの苛立ちを感じる。

 

本当なら、私はウィンドゥに殺されていた。だけど私は生き延びた。せっかく生き延びたんだから、また足掻いてやる。

 

 

「つまんない茶番やってないで、さっさと判決を出しなよ。」

「言葉を慎め!」

 

 

オビ=ワンが口調を強くさせて、私を咎める。

 

 

「言葉を選んだ方がいいのは共和国だよ。私はダース・ルシル。誰にも従わない。」

 

 

裁きの間は静まり返る。

 

他の者には見えないだろうけど、議長の表情は歪んでいた。

 

良い気味だ。

 

 

「一旦閉廷じゃ。エレノア・クラウドを連れて行け。」

 

 

私はテンプル・ガードに脇を掴まれ、裁きの間から連れ出される。

 

これで、死の運命を乗り越えた。今回私がジェダイ評議会を混乱させたのは、また生き延びる為だ。死刑を覆せば、チャンスはある。

 

それに加えて、ジェダイを掻き回すのはとても気分が良い。

 

さて、行動を起こそう。

 

 

「おい!何を、ああああああっ!!」

「やめろ!!!あああああああ…!」

 

 

フォース・ドレインを使い、私を掴んでいたテンプル・ガードを殺す。

 

2人は倒れ、自分でライトニングを浴びて手錠を壊す。多少の痛みはあるが、手錠を外すことができた。腕が自由になった後は、武器だ。

 

テンプル・ガードのライトセーバーを拾い、その場を後にする。

 

向かう先は、ジェダイ聖堂の格納庫。

 

 

「あー、だるい。」

 

 

他のジェダイに見つからないように忍び込み、武器が搭載されたシャトルに搭乗する。システムを立ち上げ、外縁部の適当な惑星の座標を入力する。エンジンが起動し、私は頭上のスイッチを順番に入れていった。

 

ところが、起動したはずのエンジンがシャットダウンしてしまった。

 

 

「そこまでだ。」

 

 

おかしいなぁ。

 

裁きの間には来なかったのに、今来るのか。

 

 

「スカイウォーカー、てっきり裁判で顔を見せると思ってたのに。」

 

 

アナキンがエンジンドライブを壊したらしい。

 

 

「ネル、またジェダイを殺したな。」

「逃げる為だもの。障害は排除するでしょ?シャトルから降りて。」

「どうして分からないんだ!もう次はないんだぞ!?共和国側に戻れば、」

「あんたこそ、なんで分からないの?私は昔の私じゃない。今は他人なんてどうだっていい。あんたやパドメもね。」

「だったら、なんでパドメを助けた?」

「私の問題に巻き込んじゃったから。助けたわけじゃない。間違いを正しただけ。」

 

 

操縦席から立ち上がり、テンプル・ガードのライトセーバーを起動させる。

 

アナキンの前まで歩いて、私は静かに口を開く。

 

 

「一度しか言わない。シャトルを降りて。」

「お断りだ。僕にも、君を止める覚悟はある。」

「あら、そう。殺すつもりで来ないと、私は止められないよ。」

「承知の上だ。」

 

 

全力でフォース・ライトニングを放ち、アナキンを吹っ飛ばす。アナキンはシャトルの外で倒れ、私はすぐにハッチを閉じる。何か怒鳴っているけど、構うことはない。

 

エンジンは何とか立ち上がったが、武器システムは間に合わない。

 

でも武器がなくても、攻撃はできる。

 

 

「さよなら、アニー。」

 

 

伝わらないけどそう呟いて、船体の向きを変えて舵を勢いよく押す。シャトルは一気に加速し、目の前のアナキン目掛けて突っ込む。当然避けられるが、これで私の敵意は分かってくれたはずだ。

 

シャトルは聖堂から離れ、コルサントの軌道へ出る。

 

クルーザーの警告を無視して、私はハイパードライブを起動させた。座標を再確認し、レバーを押すと、シャトルはハイパースペースへと入る。武器システムは後で直せばいい。

 

今は休みたい。

 

頼れる人はいない。誰かに頼る気はないけど、少し寂しい。アナキンの言う通りだ。私は孤独を怖れている。

 

でも、1人で生きることを選んだのは私自身だ。

 

 

「っ!?」

 

 

何か物音がした。

 

ライトセーバーを起動させ、音がした場所にゆっくり近付く。

 

刹那、何かが飛び出してきた。

 

 

「申し訳ありません!お許しください!二度と裏切りませんから!」

「エピ!?」

 

 

よくよく見たら、ミスマッチのエピだった。

 

 

「私の前に現れるなって言ったよね?スクラップにするよ。」

「申し訳ないと思っています……ですが、自分はルシル卿の為に………」

 

 

震えるB1バトル・ドロイドに、溜め息を吐く。

 

エピは未来の私に従っただけ。プログラムに従ったんだ。緊急プログラムを設定した私の落ち度だ。

 

だからと言って、簡単に許すことはできない。

 

 

「分かった。とりあえず保留にする。なんでここにいるの?誰の差し金か言えば、今は置いていてあげる。」

「その……スカイウォーカーです………」

「ふぅん?」

「あ、待って!違うんです!実はオレ、分解されそうで、スカイウォーカーとR2-D2に助けてもらったんですよ。」

 

 

アナキンがただ助けたとは思えない。

 

 

「無償で助けたんじゃないんでしょう?」

「………」

「図星か。」

「ハイ……」

「何を話したの?」

 

 

エピを問い詰めると、状況は最悪だった。

 

一番知られたくないことを、アナキンに知られてしまった。本っ当に最悪。やっぱりエピはスクラップにしたい。

 

 

「エエエエエエエピイイイイイイイイイっ!!」

「ヒイイイイイイイイイっ!?」

 

 

ハイパースペースを出るまで、エピの四肢を外したのは言うまでもない。お仕置きだ。許さん。

 

だけど、エピのお陰で寂しさは紛れた。

 

あぁ、これからどうしよう。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。