本日、快晴。ハイキング日和だ。
「エピー、送ったー?」
「完了です!」
「オッケー!」
エピにメッセージを送信させて、一人サンドイッチを頬張る。
あれから何をしているかと言うと、エピと2人で銀河を廻っている。ついでに、寄った星々を混乱させながら。分離派にも共和国にも、ヒントだけ落としてきている。
その後の戦況の変化が、とても面白いんだよね。
今回エピに送信させたのも、そういう趣旨だ。
「エレノア様、楽しそうですね!」
「楽しいよ!あー、もう、最っ高!」
しかも、今回は面白い話を聞いたんだよね。
分離派がパルパティーン議長の誘拐を企んでいるとか!もう茶番すぎて楽しすぎる!議長の裏の顔を知っているから本当に笑える!余計に楽しいんだよね!
「エレノア様!何をしてるんですか!」
「えー?荷支度だけどー?」
大した荷物ものはないけど、私は野営の片付けをする。
面白いから見物に行こうと思ってたら、エピに大反対された。嵐の中に突っ込むのか、と。もちろんだけど、エピも同行させる予定だ。エピもそれを分かってるから反対するんだけどね。
でも好奇心は抑えられないから仕方ない!
「つべこべ言ってないで行くよ!」
「ラジャラジャァ…」
やる気のない返事を聞き流し、エピにシャトルを操縦させる。
目的地はコルサント付近。あまり下手に近付くと、共和国と分離主義派両方に気付かれる。見物したいだけなのに、邪魔はされたくない。
ハイパースペースに入ってしばらくすると、地味な作業をしていた私にエピが報告に来る。
「あのー、エレノア様?」
「何?」
「ナブーのネイベリーって人から、通信が来ています。」
「誰!?」
いや、どこかで聞いたことがある。記憶の隅にはあるのに、どこで聞いたのか思い出せない。
「繋いで。」
「ラジャラジャ!」
通信を繋げてもらうと、よく知った顔がホログラムに現れた。等身大で投影された彼女は、私の姿を見て微笑む。そんな相手に、私は表情を消した。
『久しぶりね、ネル。』
「通信をブロックしてたのに、よく連絡できたね、パドメ。」
通信してきた相手、パドメは苦笑する。
コルサントから脱出した後、彼女はずっと連絡しようとしてきた。だけど私はそれを拒み、パドメだけでなく、アナキンなどが通信できないようにスクランブルをかけた。それで私の意思は伝わったと思ったのに、パドメだけは諦めていなかったようだ。
思い出した、ネイベリーはパドメの実家の名前だ。
『ネルの知らない周波数を使わせてもらったのよ。どうしても貴女と話したくて。』
「私は話したくない。申し訳ないけど、通信は切らせてもらう。」
『待って!私は貴女を助けたいの!』
「必要ない。」
『オビ=ワンから、シスの秘術のことは聞いたわ。お願い、私の話を聞いて。』
唇を噛み、思い切ってある話をする。
「………どうしてアナキンとのことを黙ってたの?」
突然の振りに、パドメは悲しそうな表情を見せる。
知っているのは恐らく、アナキンの副官とアソーカくらいだろう。
『気付いたのね…』
「未来の私やパドメが干渉してきたから、いろいろ分かったこともある。パドメ、フォース感応者は未来を予期するんだよ。私やアナキンが、この先どうなるのか分かる。」
『どうなるの……?』
「最悪の事態しか見えない。」
私が光明面に再転向してアナキンが最悪の未来を迎えるなら、私はこのまま暗黒面に身を置いた方が良い。摂理を変えれば、事態はもっと悪くなる。共倒れするより、私だけ堕ちた方がいい。
『だから敵対したままだと言うの?』
「私はジェダイじゃない。銀河の為、友達の為、正義の為。そんな綺麗事は言わない。私は自分の為に戦う。」
電源を落とそうとすると、パドメはまだ引き止めようとする。
『なら、私からお願いするわ。私と一緒にいて。』
「は?」
『誰にも手は出させない。ジェダイにも、最高議長にも。私も貴女を守るから、私を守って。』
何か様子がおかしい。
フォースを通してパドメを見ると、何かが違った。
「貴女を守る理由は何?」
『………妊娠したの。』
「アナキンの子供だね。」
『ええ。ネル、貴女を一番信頼しているのよ。私の親友だもの。ちゃんとした依頼として頼んでもいいわ。この子が産まれるまで、隣にいて……』
戦争は終わりに近い。誰が誰を狙っている。そんな話が当たり前になってくる。パドメが狙われることも、不思議ではなくなる。
妊娠のことも、他の者は知らないだろう。
「少し考えさせて。」
『どうやって返事をするつもり?』
「すぐに分かる。」
そう言って、通信を切る。
頭を抱えてベンチに座ると、エピが声をかけてくる。
「エレノア様……?」
思わずエピを睨むが、今回このドロイドに罪はない。
全く、どうしたものか。
「エピ」
「ハイ?」
「ミスマッチを連れてきて。」
「ミスマッチ………えええええええっ!?」
背に腹は変えられない。
────────
2日後。
準備を整えて、コルサントの行政区へと訪れた。後ろには、私の所有物である私兵とドロイドを従えて。私は堂々と元老院ビルへ足を運んだ。
当然、危険人物である私はクローン・トルーパーに包囲される。
「動くな!!」
「武器を置け!!」
歓迎されないのは分かっている。だから私兵共々、丸腰で来てやった。私兵はアーマーを着ているけど、武器はない。
「武器はないから。アミダラ議員の“依頼”で来た。黙って通して。」
「信じられるか!」
そりゃあ簡単に信じないよね。
「あのさ、私だって来たくて来たわけじゃないんだけど?」
「黙れ!戦犯のくせに、」
「本当よ。」
依頼した張本人、パドメが出てきてトルーパーに武器を下ろさせる。
そして私の前に立つと、クローン共に向かって高々と宣言する。
「私が呼んだのです。攻撃することは許しません。」
「しかし、貴女の身に何かあれば……!」
「彼女は私を殺す理由はないわ。心配しないで。ネル、こっちよ。」
私兵と一緒に元老院ビルへ入り、私は通りすがりにクローンへウインクする。睨んでくるトルーパーに構わず、パドメに続いてエレベーターに乗った。私兵は別のエレベーターに乗せ、私はパドメと2人きりになる。
「あまりトルーパーを煽らないで。」
「頭ごなしに敵意を向けた奴らが悪い。」
「それでもやめて。」
エレベーターが登る間、沈黙が続く。
ハンルの調べでは、アナキンとオビ=ワンはアナクセスにいるらしい。うるさいのがいなくて幸いだ。特にオビ=ワンは、私がコルサントに戻ることを良しとしないだろう。
沈黙を破るように、私は口を開いた。
「妊娠が口実なのは分かってる。」
「ネル……」
「私の知る“アミダラ議員”は強い。」
「………」
明らかに動揺しているのが分かる。パドメが妊娠で弱気になるはずはない。つまり、本当なら私の助けは必要ないんだ。
「シスの私にブラスターを撃つくらいだもんね。」
「ごめんなさい。」
「もういいよ。出産が終わったら出て行くから。これ以上私に関わらないで。」
「………分かったわ。」
パドメは肯くと、エレベーターのドアを開ける。私兵も隣のエレベーターから降りてきて、彼らを配置に就かせた。私はパドメに付き従い、オフィスの中へ続いて入る。
パドメが執務中、私はオフィスの隅で瞑想に耽る。瞑想していれば気は紛れるし、何かあればすぐに気付く。
コルサントは嫌いだけど、パドメがいれば不思議と心が穏やかになった。
さて、あとどれだけ身体が保つかな。