ハウリングを起こしそうなくらい、怒声が響き渡る。
『笑い事じゃないだろっ!!』
アナキンの声が、ジェダイ聖堂の作戦会議室に響く。
なぜ私がジェダイ聖堂にいるかと言えば、人手が足りないからとクインラン・ヴォスに引き摺られていったからだ。当のヴォスはすぐ戦場に戻るし、殺意しかない。
同席するヨーダは、苦笑している。
「他人事だし?」
『議長は君にとって恩人だろ!』
「む!か!し!の話だよ!」
『今もだろ!君が自由の身でいられるのは、議長とアミダラ議員のお陰だ!』
「余計なお世話だよ!」
どちらも折れない私達に、ついにヨーダが口を挟む。
「エレノア」
「何!!」
「今回手を貸すと言うのなら、ジェダイ・オーダーは罪を追及せんと約束しよう。」
「必要ない!今までの行動に悔いはないし、懺悔する気もないから!これ以上私を下に見るなら、お望み通り出て行ってやるから!!」
ここまで言って、私は息を切らせる。
パドメの為とはいえ、嘗められるくらいなら出て行ってやる。私には意志があり、感情もある。他のジェダイのように、黙って従う気はない。
『ネル、いい加減に、』
「うるさ……クッソ…!」
胸部に激痛が走り、私は胸元を押さえてプロジェクターの前で蹲る。心臓が、シスの秘術で弱っている。最近は痛みも頻度も上がってきて、焦っている。まさかジェダイの前で、こんな醜態を晒すことになるとは思わなかったけど。
激痛に堪える私に、ヨーダがリグ・ネマを呼ぼうとする。
「騒がないでよ……!」
『騒ぐなだと!?原因も分からないのに、放っておけって言うのか!?』
「そう言ってるでしょ!何が悪いかなんて分かってるよ!今は関係ないでしょ!………もういい。二度と話しかけてこないで。」
『ネル!!』
通信を強制終了して、私を見るヨーダに睨み返す。
「お前の良くないところは、誰にも相談しないことじゃ。」
「相談?聞く気もない奴らに、何を話せと?」
「それじゃよ。先入観は、時に道を塞いでしまう。よく分かっておるはず。」
「何が言いたいの?」
「身体のことも、誰かに相談したか?」
「………」
「解決できんと思っているのか?」
解決できるわけがない。
この不調は、シスの秘術のせいだ。普通の治療では良くならない。何もしてこなかったから、不調は悪化の一途を辿っている。頻度が増したのも、死が近い証拠だ。
解決できないと思っているから、足掻いたりしない。
「では、一つ提案しよう。今回力になると言うのなら、我々ジェダイもお前の力になる。治療の手助けをしよう。どうじゃ?」
「取引……?」
「そう捉えても構わん。」
ジェダイと手を組むなんて、本当は嫌だ。
シディアス卿に切られたとはいえ、私はシスだ。私はダース・ルシル。ジェダイと仲良くするなんてあり得ない。
「臭い………」
「求めるだけでは何も変わらんぞ。」
不本意だ。本当に不本意だ。
「分かった。」
「こ取引成立じゃな。オビ=ワン達もそろそろ戻る頃じゃ。インターセプターに搭乗し、ドロイド軍を叩け。」
「………全部終わったら出て行ってやる。」
ヨーダを尻目に、ハンガーへと向かう。
ハンガーへ向かうと、入ると、作業員はビクビクしながらインターセプターへ私を案内する。
作業員によれば、私が乗るインターセプターはイータ級で、最新モデルらしい。ジェダイ専用に作られた戦闘機だそうだ。私はジェダイじゃないけど、問題はないだろう。
彼は説明をしようとしたけど、必要ないから断った。
私だって操縦くらいできるわ!!
『クラウド、軌道上に出たらオビ=ワンの、』
「喧しい!!!」
ウィンドゥの通信を切断して、操縦舵を目一杯押す。翼がシャッターに当たった気がするけど、知ったことじゃない。久しぶりのインターセプターだから仕方ない。
『ネル!!』
「ケノービ“将軍”、私はあくまで援護するだけだから。あんたとスカイウォーカーがインヴィジブル・ハンドに乗り込んで。」
『お前はどうするんだ?』
「私は囮。手は貸すけど、戦う気はないから。」
『屁理屈を言うな。』
「文句があるなら離脱する。御託並べてないで戦って。」
通信を切り、軌道にいる艦隊のヴァルチャー・ドロイドを引き寄せる。機体を旋回させ、半分を撃ち落とした。ジェダイ専用機というのも、名ばかりではないらしい。
すれ違うケノービの機体がバズ・ドロイドに襲われていたけど、見なかったことにしよう。
「あっ」
オビ=ワンとアナキンのインターセプターが、インヴィジブル・ハンドのハンガーへ突っ込んだ。クローン・パイロット達はインヴィジブル・ハンドを墜さないようにしつつ、無力化しようと撃ち続けている。
ジェダイ2人が議長を救出したとして、どうやって出てくるつもりなんだろう。
あわよくば、議長も船と一緒にサヨナラしてくれればいいのに。そんな都合良くいかないけど。
「おっと……」
ケノービを馬鹿にできないわ。
集中的に狙われたようで、私の機体にバズ・ドロイドが貼り付いてきた。
冗談抜きで前が見えない。
「あああぁぁぁ……っ…!」
衝撃に耐えるようにその辺に掴まった直後、機体が大きく揺れる。上下に揺れてしばらくした後、何かにぶつかり機体は止まった。
勘で不時着したけど、何とかなるものだね。
「さーて、お掃除しなきゃ。」
右脇のスイッチを一つ触り、制御盤のボタンを押す。電圧シールドのスイッチが入り、機体に貼り付くバズ・ドロイドはショートして剥がれていく。コックピットの窓を開け、フォース・ライトニングで集まってきたバトル・ドロイドを薙ぎ払った。
インターセプターから飛び降り、私は赤いライトセーバーを起動する。
これが取引の対価?
全っ然割りに合わないんだけど!!!