どうしたものか。
アナキン達だけでなく、私も侵入したことはバレているはずだ。問題はどう動くか。この船にはグリーヴァスだけでなく、ティラナス卿もいる。
まずはエレベーターに乗ろう。
「降伏シロ!」
「手ヲ上ゲロ!」
ハンガーの隅にあるエレベーターに乗り込むと、B1ドロイドが2分隊が乗っていた。
無言でフォース・ライトニングをぶちかまし、残ったドロイドはライトセーバーで切り伏せる。しかしドロイドを壊した際、ボタンを傷付けて反応しなくなってしまった。
仕方なくボタンのカバーを外し、配線を剥き出しにする。
「私だってやる時はやるんだよ〜」
イライラを抑え、まず遠隔操作されるのを防ぐ為に手動仕様の配線にする。それからアナキンの気配を元に、目的の階にエレベーターを動かす。辿り着いた後はエレベーターは不要になるから、動かせないように配線をあちこち引き抜いておいた。
降りる階を間違えたかな?
嫌な光景を目の当たりにしてしまった。
「我が友よ、よくぞ来てくれた。」
「議長………私に友達はいないから。」
どうやら間違えてはいないみたいだ。
だって、アナキンがドゥークー伯爵の首に、クロスさせたライトセーバーを添えてるなんて思わないでしょ。おまけにドゥークー伯爵の両手は切り落とされ、喉を絞められている。絞めているのはアナキンじゃない。
オビ=ワンは倒れていて、気絶している。
議長を一瞥した後、アナキンに声を賭ける。
「スカイウォーカー、伯爵を殺せば後悔するよ。」
「だけど、」
「何か目的があってドゥークー伯爵を殺すならいいけど、そうじゃないならやめな。」
「ネル、ドゥークー伯爵を生かしておくのは危険だ。」
「議長、それを決めるのは元老院議員やジェダイ評議会のはず。あんた1人に“処刑”の権限はない。スカイウォーカー、ライトセーバーを収めて。」
アナキンは、一向に動こうとしない。
「スカイウォーカー」
「ネル、わざわざ生かすのか?」
アナキンの心が、議長に傾いている。議長に言われて、ドゥークー伯爵を殺すべきだと信じ始めている。ここで踏み留まらなければ、アナキンは取り返しのつかないことになる。
「あんたは人を殺すべきじゃない。」
「………」
「アナキン」
久しぶりに名前を呼んだ。
それに動揺したのか、アナキンはライトセーバーを収めた。隙だと思ったのか、ドゥークー伯爵は抵抗しようとする。だけど、ここで抵抗されては困る。
私はすかさずドゥークー伯爵を組み伏せ、降伏を迫る。
「余計な真似はしないで。ここで死ぬか、私に従うか、選んで。私に従う?」
ドゥークー伯爵は、首を絞められた状態のまま、目で肯く。
「分かった。」
「ネル!共和国に逆らうのか!?」
「パルパティーン最高議長、私はどちらにも与していない。」
さすがの議長も、ここでボロを出す気はないらしい。ドゥークー伯爵を解放して、私と彼を睨み付ける。手首を切り落とされているから手錠は使わず、ドゥークー伯爵を引っ張ってデッキから連れ出した。
オビ=ワンと議長はアナキンに任せ、私はドゥークー伯爵を盾に船の通信室へと向かう。
私が黙って脱出するはずないよね。
「何をするつもりだ?」
「えー?情報をもらうだけだよ?」
通信室に入り、パネルを操作していたドロイドを破壊してドアをロックする。
ロックを確認した後、パネルを開いて機密情報にアクセスする。
仕事をしていた頃は興味がなく、あまり触らなかった。その上、全部ハンルにやらせていた。ドロイド軍の分布や重鎮共の座標も、どうでも良かった。
だけど、今は全て頭に入れておく必要がある。
来るべき終わりに備えて、残りものを使うつもりだ。
「ドロイドなんぞ役に立たんだろう。」
「そんなことないし!私のドロイドチームは優秀だよし!」
「勝手にプログラムを書き換えた物達か。」
「ちょっと!物扱いしないでよ!」
動けなくなってきた御老体を引き摺り、ドロイドを倒し、格納庫にある連合軍のシャトルに放り込む。
一緒には行動したくないし。
「何をする!?」
「さすがに怪我人を利用する気はないから。あんたは一人で脱出して。エピが拾ってくれる手筈になってる。」
「馬鹿になったかと思えば、気に食わん奴だ。」
「お礼はいいよ?」
「誰が感謝するか。」
満面の笑みでハッチを閉じ、シャトルを見送る。
さっき通信室に行ったのは、暗号通信でエピに指示を送る為だった。ドゥークー伯爵を連れ出したものの、拾ってくれる人がいなきゃ困る。暗黒面の力も、まだまだ学び足りない。
さて、後はグリーヴァスの気を逸らさなきゃ。
倒れたドロイドからブラスターを取り、格納庫からブリッジを目指して走る。
そこで船が激しく揺れて、段々と傾いていく。
「治療だけじゃ釣り合わないって………」
垂直になり、私はフォースを使って手摺りにしがみつく。船はすぐに水平に戻り、床を滑っていったブラスターを拾った。
ところが、ブラスターを拾った瞬間、光線シールドに捕まった。
ジェダイを捕まえるのは分かる。連合軍の敵だから。どうぞ捕まえてくれ。
だけど、私はダメだろ。
「武器ヲ捨テロ!」
バトル・ドロイドが現れ、銃口を突き付けられた。
「グリーヴァスはまだ健在なんだ?」
「サッサト歩ケ!!」
ブラスターを没収され、背中を小突かれる。
小娘だと思って、手錠をしなかったのが運の尽きだ。馬鹿なドロイド共め。私のドロイドチームの方が優秀だ。
抵抗できなくもないけど、面倒臭いな。
ブリッジに着くと、グリーヴァスが待ちかねていた。
「クラウド!随分弱ったな!」
「それはお互い様でしょ、グリーヴァス。」
グリーヴァスは咳き込みながら、私を嘲笑う。私も弱ったけど、弱ったのはグリーヴァスも同じだ。咳き込んでいるのがその証拠である。
ドゥークー伯爵は、エピに回収された頃だろう。なんかもう怠くなってきた。全部ジェダイのせいだ。
早く帰ってデザートが食べたい。
ドゥークー伯爵が不憫すぎてこうなりました笑