【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

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従属の痕跡

アパートメントに着き、私は真っ直ぐパドメの部屋を目指した。

 

エレベーターを降りると、パドメが抱き締めてくる。突然の抱擁に動揺する心を落ち着かせ、私はパドメを引き剥がした。

 

 

「パドメ、離れて。」

「………無事で良かったわ。」

「ちゃんと生きてるから。契約もあるし。」

「アナキンは?」

「生きてるよ。議長と一緒に元老院ビルに向かってる。私は待ってるから、行ってきなよ。」

 

 

本音を言うと、1人になりたいだけだ。

 

オビ=ワンと言い合ったせいで、殺意が心で燻っている。パドメとの約束がなければ、自制できる自信がない。1人になれば、瞑想でもして冷静になれるかもしれない。

 

どうしたら殺意を抑えられるか分からない。

 

 

「ネル、大丈夫?顔色が悪いわ。」

「私は大丈夫。」

「ジェダイ評議会から連絡が来たわ。貴女の治療をすぐに始めるそうよ。身体のこと、マスター・ヨーダから聞いたわ。知らなくて………ごめんなさい。」

「私が自分で決めて来たんだから、謝らなくていい。ジェダイ聖堂に行くよ。パドメも元老院ビルへ行って。エピを付けるから。」

「ネル、ありがとう。」

 

 

パドメはそう言って、エレベーターへ乗り込む。ドアが閉まったのを確認して、私は隣のエレベーターに乗った。

 

ドアが開き、人の気配を感じた私は待っていた人物を壁に叩き付ける。

 

 

「コソコソと見てないで、真正面から来たら?」

「エレノア、話がしたいんだ。」

「元マスター、私を見縊らないで。」

 

 

元マスター、フィストーは胸倉を掴む私の手に触れ、優しく剥がす。

 

いつもの余裕さはなく、フィストーに焦りが見えた。なぜ焦っているのかは、見当が付く。フィストーはジェダイとしてではなく、ただのキット・フィストーとして来た。

 

元マスターの行動に、苛立ちが増す。

 

今になって私と向き合おうなんて、手遅れなのに。

 

 

「見縊ってはいない。」

「じゃあ何?今更謝罪?」

「違う。お前を助けたいんだ。」

 

 

その言葉に、怒りが沸く。

 

助けたいなんて、遅すぎる。もっと早く私を受け入れていたら、今の状況にはなっていなかった。何より、助けてほしいなんて思ってない。

 

 

「寝言は寝て言え。私を助けたい?私がいつ助けを求めた?」

「ネル」

「うるさい……」

「この呼び方で動揺するのは分かっている。私の話を聞け。」

「うるさい!!」

「ようやくお前の心が見えた。なぜ悲鳴を上げている?苦しむ理由はなんだ?」

 

 

救いなんて望んでない。どうせ誰も助けられない。いや、助けてくれない。

 

 

「お前に分かるもんか!」

「ああ、分からない。だから話してほしい。」

「簡単に教えてもらえると思ったら大間違いだ!」

 

 

フィストーに背を向けるが、肩を掴まれ、今度は私が壁に叩き付けられる。

 

 

「承知の上だ。スカイウォーカーがドロイドに聞いた話がある。それをお前の口から聞きたい。」

「断る。哀れみは迷惑だから。」

「そうか……では、強引に確かめるしかないな。」

「これ…は………クソ………」

 

 

催眠をかけられ、私は意識を奪われる。

 

ジェダイの傲慢さが憎い。憎しみが心を埋め尽くす。心がとてつもなく重い。

 

────────

 

強引に連れてこられたエレノアは、ジェダイ聖堂の医療センターへ運ばれる。フィストーは弟子を見送り、回復を祈った。

 

エレノアを診るのはドクターのリグ・ネマと、グランド・マスターのヨーダだ。

 

ドクター・ネマはエレノアの身体を診て、絶句する。

 

 

「信じられません……これは………」

「なんじゃ?」

「彼女は折檻を受けた痕があります。」

 

 

エレノアの背中には、無数の傷があった。

 

その傷痕は、シスの修行の一環として受けたものだった。折檻され、痛みを糧に憎しみを増幅させる。それがシスだ。

 

エレノアは10年間、ジェダイが知ることなく折檻を受け続けた。

 

ドクターは、思わず目を背けてしまう程だった。

 

 

「何度も焼印され、治癒する前に鞭を打たれています。彼女のシスの秘術でも、完全には治らない程に。」

「内臓はどうじゃ?」

「心臓が弱っています。いつ止まってもおかしくありません。」

「治せるか?」

「………今の状況では難しいです。」

 

 

その理由は、単純なものだ。

 

 

「フォース・ドレインで集めた生命エネルギーは、他人のものです。恐らくですが、彼女はフォース・ドレインを完全に扱えていません。そのせいで、心臓に負担がかかっているのです。」

 

 

それは、エレノア自身も自覚していることだった。目で捉える必要があるのも、その為だ。しかし、エレノアはフォース・ドレインを扱えるように、独自に開発をした。その代償が、心臓への負担だった。

 

 

「治すには、これ以上シスの秘術を使わないようにするしか………」

「そう簡単にはいかんじゃろう………」

 

 

エレノアは点滴に繋がれ、ドクターからは安静の指示が出される。エレノアは一晩眠り続けた。フィストーは時々訪れ、弟子の様子を見に来ていた。

 

その翌日、目を覚ましたエレノアは医療センターから脱走。

 

彼女は誰かに会うこともせず、パドメとの接触しか許さなかった。脱走したエレノアは、パドメのアパートメントの客間に引き篭もった。ジェダイ評議会は手を出せず、アナキンすら拒まれた。

 

彼女の心境は、彼女にしか分からなかった。

 

共和国の終わりが、すぐそこまで近付いていた。

 

 





確実に更新頻度が落ちてますよねorz

誰か、餌をください←
(訳:みんな更新してないなぁ…)
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