連行された後、私は磁気フィールドで拘束された。目隠しは外されたが、手足のカフは外されなかった。私は身動きできず、尋問に来たジェダイ達を無視する。
もう何もかもが遅い。
アナキンは自ら暗黒面に踏み込もうとしてる。
「クラウド、何か話してもらわねば困る。」
「………」
「マスター・ウィンドゥ、少し良いでしょうか?」
ウィンドゥが他のジェダイに呼ばれて、檻から出て行く。
オビ=ワンがグリーヴァスを見つけたんだろう。グリーヴァスが死ねば統率が取れなくなり、分離派は力を失う。ドゥークー伯爵もいない今、いつ戦争が終わってもおかしくはない。
つまり、ジェダイの滅亡は目前だ。
入れ替わりにフィストーが入ってきて、奴は拘束された私の前に立つ。人払いされ、檻の中は2人だけになった。監視システムも切られ、フィストーは私に声をかける。
「エレノア」
無視をする私に、フィストーは溜め息を吐く。
「何を考えている?」
尚も無視する私に、奴は私を愛称で呼ぶ。
「ネル」
「………うるさい。」
「やっと喋ったな。スカイウォーカーはお前が議長を狙っていると言ったが、あれは嘘だろう?」
「さぁね。」
「このままでは、お前は裁判を待たずに死刑になってしまう。アミダラ議員も案じていた。」
「私に復讐したい奴なんて数え切れない程いる。今更どうにかしようなんて思ってない。」
結局、フィストーは私のことを何も見抜けていない。10年も騙され続け、今も尚議長席に座る、シーヴ・パルパティーンの正体も知らない。
そんな奴に、何かを変えられるとは思わない。
「エレノア……」
「その目、本当に苛立つ。一度も私を私として認めなかった。あんた達ジェダイが求めたのは、ルールを守る、模範的なジェダイの私。偽った私しか見てないジェダイが、本当の意味で受け入れてくれるとは思えない。」
「それは間違いだ。」
「“ポング・クレル”」
その名前を出すと、フィストーは口を噤む。
「“バリス・オフィー”。彼らがなぜ暗黒面に堕ちたか分かる?」
「お前もその1人だ。」
「そうだね。それは認める。まず私が暗黒面に手を伸ばした。でも、共通点がある。」
「………」
「今のジェダイは本来の姿を見失っている。彼らは戦争でそれに気付いた。私はその前に気付いた。たったそれだけ。」
ジェダイ・オーダーというものが、朽ちている証拠だ。
まぁ私の場合は、自分の望みを叶える為にオーダーを抜けたんだけどね。
「出て行って。」
「ネル」
「しつこい。もう誰も信じない。」
今のこの状況だって、誰も信じてくれなかった結果だ。だから、私の方から裏切ってやった。ジェダイ・オーダーを信じたところで、私の夢は叶わない。
良心なんて、吐き気がする。
フィストーは檻から出て行き、私はやっと1人になる。
やっぱり1人の方が楽だ。何も考えなくて済む。だけど、どこか虚しい。心が空っぽになったみたい。
これが孤独感か。
────────
その頃アナキンは、パルパティーン議長の告白を聞いた。エレノアに聞かされていた通り、議長がシスの暗黒卿だと再度認識する。
アナキンは、あえて暗黒面の誘いに乗る気でいた。
しかし、彼の心には迷いがあった。
本当にこれで良いのか?パドメやエレノアの為になるのか?
そう考えて、まだ揺れている。ここで議長を殺せば、自分が悪役になる。だが、閉じ込めたエレノアは自由にはならない。
議長と別れた後、アナキンはウィンドゥに声をかける。
「マスター・ウィンドゥ!」
ウィンドゥは、軍事作戦センターを発とうとしていた。つい先程、オビ=ワンがグリーヴァスを倒したと連絡が来た為だ。評議会の誰もが、戦争は終わると思っていた。
だからウィンドゥも、議長が非常時大権を手放すだろうと考えていた。
だが、アナキンの一言で事態は良くないものだと思い知らされる。
「まさか、そんな………」
「ネルも知っていました。それも、かなり前から。」
「クラウドが……?何ということだ……最も恐れていた事態だ。」
ウィンドゥはショックを受けるが、やるべきことをやる為に何人かのジェダイを引き連れて、ガンシップに乗り込もうとする。
アナキンは同行を願い出るが、ウィンドゥはそれを断った。
「お前は議長と親しかった。迷いがあるのなら、来るべきではない。評議会の間で待て。」
「………はい、マスター。」
ウィンドゥ達はガンシップに乗り込み、議長の執務室へと向かった。残されたアナキンは黙っていることはできず、ジェダイ聖堂の格納庫へと向かう。
終わりへのカウントダウンが始まったと知る者は、誰一人いなかった。