オーガナの安全の為と言って、私に単独行動は許されなかった。仕方ないといえば仕方ない。アナキンが議長を狙ったと嘘を吐いたから。
今となっては私の危険性さえ、不確かなものだけど。
その嘘に乗せられて、暴れた私も悪い。
通路でオーガナとヨーダ達が何か話しているが、私の頭には全く入ってこなかった。
「エレノア」
突然呼ばれて、私は顔を上げる。
「コルサントに戻ることになった。」
「コルサントに…?バカなの?」
「ネル!口に、」
「はいはいすみませんね。でも私は行かないから。」
死ぬかもと分かってるのに、コルサントには戻りたくない。
聖堂は恐らくトルーパーだらけだ。“あれ”を相手にするのは嫌だ。私と主が計画したものに殺されるなんて、虫唾が走る。
「ここに残していけるわけがないだろ!」
「私が議員を殺すとでも?正当な理由がなきゃ、私は行かないから。」
そこで、オビ=ワンがあり得ないことを言い出した。
「ネル、まだ夢を諦めていないな?」
「それが何?」
「お前がフォース・ドレインを使うには、恰好の場だろう?」
「まさか忘れたわけじゃないよね?私は自分の為にしか使わない。あんた達の為じゃない。」
身体への悪影響を無くす方法は、自力で見つけた。だからと言って、ジェダイや共和国の為に使う気はない。私はジェダイでもシスでもない。
「つまり、お前の為なら良いんだな?」
「それ、悪用って分かってる?」
「もちろんだ。」
緊急の特別議会があるらしく、ヨーダとオビ=ワンはそれに乗じて聖堂に潜入するという。私も強引に引き摺られていき、クローンが待ち受ける聖堂へ向かった。
「アナキンは?」
「………分からない。だが、良い予感はしない。」
「そうだろうね。」
「アナキンに何を吹き込んだ?」
「私は何も言ってない。言ったのは……」
唆してきたのは、議長だ。
コルベットは行政区に停まり、私とジェダイは密かに船を降りる。
「もう最悪。ジェダイをやめて良かった。」
「時と場を考えろ!」
「うるさいよ。ほら、どいて。」
ジェダイ聖堂に辿り着き、トルーパー共は一斉に私を狙いブラスターを向けてくる。標的となったクローン共は、私の餌になると分かっていない。
私はフォース・ドレインを使い、聖堂の入口にいたクローンの生命エネルギーを奪い取る。いつもなら制御しているけど、今回は制御する気もない。認識範囲を広げ続けてクローンを殺し、あっという間に聖堂の正面入口を制した。
2人はフォース・ドレインを知っているとは言え、表情を曇らせる。
「何?」
「いや……」
「そんな目をするなら、引き返すよ。」
ヨーダとオビ=ワンは、黙って聖堂の中へと進む。私もその後を追い、中へ入る。聖堂の中へ踏み込むと、ジェダイ2人はその光景にショックを受けていた。
「誰がこんなことを……」
ナイトだけではなく、イニシエイトやパダワンも殺されていた。
「この傷は……」
「ライトセーバーの傷じゃ。」
「………」
ジェダイ2人は目を臥せながら、通信センターに忍び込む。
虐殺をしたのはアナキンだ。アニーが暗黒面に堕ちたのも感じた。敵になったのか、私を閉じ込めた時のように演技なのか、定かじゃない。
確かに分かっていることは、アナキンが虐殺を行ったのが間違いだということ。
「帰還を指示するシグナルは止め、代わりに生き残ったジェダイ達に警告をしました。」
通信センターを去ろうとすると、オビ=ワンは警備ホログラムにアクセスする。
「見ない方がいい。」
ヨーダも同じことを思ったようで、オビ=ワンに忠告する。
しかし、オビ=ワンは意を決して警備ホログラムを開く。
様々な記録が流れた後、ある映像を映し出す。アナキンが議長、シディアス卿に跪いていた。そして、信じられない言葉を発する。
『ヴェイダー卿、よくやった。これでネルの自由を約束しよう。』
『感謝します、マスター。』
アナキンは“ヴェイダー”というシスの名を与えられ、私の自由と引き換えにシディアス卿への服従を誓った。虐殺が不本意だと分かっていても、アナキンが間違った道を選んだことが悲しかった。彼は、私の身代わりになったんだ。
これでは、パドメが嘆く。
「どういうことだ!?」
「エレノア、お前が議長を狙ったというのは、スカイウォーカーの嘘じゃな?」
「嘘なら良かったよ。でも、今は本当にあいつを殺したい。」
憎しみが心を満たし、暗黒面のフォースが私を闇へと誘う。
シディアス卿はアナキンが手に入れば、私のことはどうだっていい。だから私の自由を許した。アナキンはそれを分かってない。
「スカイウォーカーを止め、シスを倒さねばならん。」
「シスは私が、」
「オビ=ワン、お前では彼奴に勝てん。スカイウォーカーの下へ行くのじゃ。」
「しかし、アナキンがどこにいるのか……」
「耳を澄ませるのじゃ。さすれば、求めるものは見つかる。」
オビ=ワンは通信センターを出て行き、私はそれを追ってヨーダに背を向ける。
「エレノア」
「何?」
「許してくれとは言わん。だが、お前を暗黒面から守りたかったのは本当じゃ。それだけは忘れるな。」
「あんたの心配なんかいらない。」
結局、最後まで謝罪はされなかった。だけど、もういい。私は自分の生き方を見つける。
オビ=ワンの後を追い、私達はスピーダーに乗り込む。
向かう先は、パドメのアパートメントだ。
「なぜアミダラ議員のアパートメントなんだ?」
「アナキンが最も心を許すのは、パドメしかいないから。」
その瞬間、ガンレイやタンバー達、分離派の幹部連中の死と恐怖を感じた。あいつらを殺したのは、アナキンだ。シスの計画で、分離派は脅威の1つ。ジェダイの次に排除される。
アナキンは分離派が私とパドメの脅威になると認知して、あえて命令に従っている。
「ネル!!」
「パドメ……」
「貴女も死んでしまったのかと思ったわ…!」
アパートメントに着き、私とオビ=ワンはパドメにアナキンの居所を問う。
「議員、アナキンと最後に会ったのはいつです?」
「昨日です。」
「アミダラ議員、聞いてください。アナキンは貴女とネルの為に、間違ったことをした。彼を止めないと、状況は更に悪くなります。」
「もっと悪く?これ以上良くはならないわ。」
パドメは、現状を悲観していた。
アナキンはパドメに全て話したらしい。私を自由にすることや、シディアス卿のことも。当然反対はしただろうけど、アナキンの決意は固い。パドメを守り、私を救う為なら、どんな惨いこともする。
パドメと私の為にしているから、話を聞いてくれるとは思えない。
「パドメ、お願い。お腹の子供の為にも……」
「父親はアナキンですね?」
「………」
「ネル、知っていたな?」
「私がコルサントに来たのは、パドメと子供の為だよ。言ったでしょ。共和国の為じゃないって。」
もう一度懇願すると、パドメは条件を出してきた。
「分かりました。ネルだけ同行を許します。」
「議員!?」
「これは私とアナキン、そしてネル、3人だけの問題です。」
「いいえ!それ以上です!ネル!なぜ止めない!?」
「オビ=ワンは待ってて。私が行く。」
「ダメだ!」
オビ=ワンの怒声に、私はミスマッチを呼び出す。
完全武装のバトル・ドロイドは、オビ=ワンを囲んだ。
「ハンル、オビ=ワンを見張ってて。」
「ラジャラジャ!」
「ネル!!」
パドメのアパートメントを出て行き、私は彼女に付き従ってスキッフに乗り込む。
オビ=ワンには、もう迷惑はかけられない。
これからは、“私1人”で戦う。
自分が撒いた種は、自分で刈り取る。