パドメは隊長の説得を断り、私と2人でスキッフに搭乗した。オマケにC-3POを連れて、コルサントから発った。目的地は、ムスタファーだ。
航行中、私達に会話はなかった。
ムスタファーに着くと、パドメは頭を抱える。
「パドメ……」
声をかけると、パドメは泣くのを堪えて席を立つ。
「っ!」
アナキンの姿が見え、パドメは一目散に彼の下へ走る。私もパドメに続き、ハッチを降りる。アナキンは私が来たことに、嫌な顔をした。
「アナキン!良かった…!」
アナキンとパドメは、互いを抱き締め合う。
「ネル、なぜ来た?」
その言葉は、酷く刺々しかった。突き放すように、彼の口から吐き出される。締め付けられるような感情を堪え、私は言葉を絞り出す。
「あんたこそ、なんでシスになったの?暗黒面は私の領分だよ。」
「君を助けると言ったはずだ。」
「頼んでない。アナキンの最優先はパドメのはずでしょ?」
「そうだ。だが、君はパドメの親友だ。僕の友人でもある。」
こうして話している間も、アナキンから暗黒面の力を感じる。
怒りの対象が分からない。
「私を遠ざける為にシスになったなら、逆効果だよ。」
「これで良いんだ。僕が君達に手を出させない。」
「本気でシディアス卿を止められると思ってるの!?あの人を甘く見ないで!アナキン!何に憤っているの!?」
アナキンの考えていることが分からない。それでも、アナキンを止めなければならない。彼が闇に堕ちる必要はないのに。
「アニー、ネルの言う通りよ。考え直して。」
「パドメも願っていたことだろう?君はネルを助ける為に、呼び戻したんだ。どうして分かってくれない?」
「こんなことは望んでないわ!オビ=ワンだって、」
「オビ=ワンの話はやめろ。」
「アナキン……?」
アナキンがオビ=ワンの名前に反応した。
「どうしてオビ=ワンを……?」
「オビ=ワンが何を言ったと思う?」
「………何を言われたの?」
嫌な予感がする。
オビ=ワンが放った一言が、優しいアナキンを怒らせた。ジェダイ惨殺の原因は、私じゃない。トリガーを引かせたのは、オビ=ワンだ。
「君が連行された後、オビ=ワンに頼んだんだ。ネルを救いたい、と。けど、オビ=ワンは諦めろと言った。分かるか?ジェダイが救うことを諦めたんだ。僕が子供の頃から憧れていたジェダイは、ジェダイじゃなくなっていたんだ。」
以前、アナキンはオビ=ワンを父のようだと言っていた。オビ=ワンは、アナキンの理想だったはずだ。それが、裏切られたんだ。
でも、アナキンがしたことは間違いだ。
その役目は、彼ではなく私のはずだった。
「それでも、あんたに惨いことをさせたくなかった。」
「ネル……」
「僕が決めたことだ。これ以上、ジェダイのせいでパドメやネルに傷付いてほしくない。」
「なら、やめる気はないってこと……?」
「ああ。」
「そんな……アニー………」
パドメは涙を流す。
パドメと私の為に、アナキンは苦しんでいる。私もパドメもそんなことは望まない。彼が願っているように、私もアナキンの為に変わろうと思った。
それなのに、こんな結末は認めたくない。
「どうしてもやめてくれないなら、私があんたを止める。」
「僕と戦うのか?」
「戦う。」
「やめて!」
「パドメ、離れて。」
パドメを押し退けて、赤いライトセーバーを起動させる。
「私はあんたよりも暗黒面に長くいた。簡単には降参しないから。」
「僕を見縊るな。」
「見縊ってるのはアナキンだよ。」
アナキンを止めるには、殺すつもりでないと不可能だ。暗黒面のフォースと繋がり、ヒルトを握り締めた。反対側の腕をパドメが掴んで、強く止めてくる。
「ネル!ダメよ!」
「アナキンがシスに降ったところで、私は救われない。止めるには戦うしかない。」
パドメを離し、ライトセーバーを振り上げてアナキン目掛けて走る。
勝てるとは思ってない。この一瞬で勝負は決まる。もっと言えば、ここで負ければ私は死ぬ。
「よせ!!!」
一番聴きたくない声で、戦いを止められた。ライトセーバーを収めて、声の主と距離を取る。止めた張本人は、私に向き直った。
オビ=ワンが、ムスタファーにいる。
訳が分からず、思わず睨み付けた。その目に怒りと憎しみを込めて、真っ直ぐ睨んでやった。そんな私に、オビ=ワンは悲しそうな表情をする。
「どうやって包囲を……」
「人格プログラムには、欠点がある。お前が危険だと分かれば、ドロイドは自分で決断できる。」
「エピか……」
「ドロイドを恨むな。私が説き伏せたんだ。」
どうやら、話を聞いていたらしい。オビ=ワンはアナキンを見ると、彼にも悲しみを募らせた。私とアナキン、2人が暗黒面に身を置いていて、居た堪れないのだろう。
「お前達が戦えば、皇帝の思う壺だぞ!」
「シディアス卿は関係ない。これは私達の問題。あんたは黙ってて。」
「黙っていられると思うか?」
オビ=ワンは何かを隠している。知りたくもないけど、知らなければ何も変えれない。何かを変えるには、苦渋の決断も必要だ。
「アナキン、ごめん。」
「は?」
懐のブラスターを取り出して、スタン・ビームを撃つ。パワーは最大にした。アナキンは簡単に気絶してくれて、私はブラスター・ピストルをマグマに投げ捨てる。
倒れたアナキンには、パドメが駆け寄った。
「アニー!ネル、何てことをしたの!?」
「今一番厄介なのは、オビ=ワンだから。」
「相変わらず失礼だな。」
「本当のことでしょ。アナキンが起きる前に終わらせよう。」
再び赤いライトセーバーを起動させ、オビ=ワンと対峙する。
私はずっと本気だったけど、オビ=ワンは今まで本気で相手してくれなかった。やっと全力で戦ってくれる。唯一、それだけが嬉しかった。
今度こそ、楽になれるかもしれない。
あれ、オビ=ワンが悪い奴に……?w