オビ=ワンと私は距離を保ちつつ、隙を探す。
私にはたくさんあるかもしれないけど、オビ=ワンにはない。オビ=ワンはジェダイ・マスターだ。ジェダイ・オーダーが廃れたと言っても、侮れない。
でも、私もシスの暗黒卿を冠していた。
簡単には負けられない。
「ネル、手を引くんだ。お前を殺しかねない。」
「気を遣わなくていいよ。私も殺すつもりで戦うから。あんたには申し訳なさもあったけど、謝罪は不要みたいだね。」
「………」
檻の中で、オビ=ワンに謝ろうと一瞬でも思った。でも、その必要はなくなった。もう知らないふりをするのはやめよう。
過去は完全に忘れるべきだ。
「行くよっ!!」
フォース・ジャンプして、オビ=ワンに切りかかる。オビ=ワンは私の太刀を防ぎ、フォース・プッシュする。宙返りした私は片手を地に着け、受け身を取る。
ライトセーバーを持ったまま、辺りにある備品をフォースで投げ付け、そのまま向かっていく。
備品に気を取られたオビ=ワンは、間一髪で一閃を避け、身を翻して下から刃を振り上げる。
私は反応が遅れて、左肩を切られた。
「っ……」
背中が少し見えて、折檻の痕が覗く。
「お前の夢の為に、多くを壊してきた。」
「後悔はしてないよ。」
「それが問題だ。お前の望みは、当初とは違うものになっている。」
「それは違うね。私の夢は最初から何も変わってない。あんたの理解は求めてない。」
切られた痛みを無視して、フォース・ライトニングを放つ。オビ=ワンはライトセーバーで電撃を防ぎ、ジリジリと後退していく。ライトニングで距離を詰め、ある言葉を吐き出した。
持っている生命エネルギーを使い、緑の炎でオビ=ワンを捕らえようとする。
「シスの秘術か…!」
「そう。あんまり動かない方がいいよ。」
「っ……!!」
この術は、暴れた分だけ捕らえた者を傷付ける。大人しくなれば炎は相手の身体に馴染み、拘束するという仕組みだ。だけど、抵抗すれば炎は相手を焼き殺す。
つまり、従う者は救われる術だ。
「本気で来ないからだよ。」
「ネル、己を過信しすぎだ。」
「過信はしてない。私の方が有利なだけ。」
「私の感情を読んでそう思っているなら、それこそ過信だ。かつての友として、お前を殺す覚悟はできている。」
「私だって覚悟はしてる。とっくの昔にね。」
そう言って、ナイフを取り出す。
これでオビ=ワンの心臓を刺し、殺す。身動きできないから、私の勝ちだ。この男を殺せば、私は本当の意味で解放されるかもしれない。
「最初から諦めてくれていたら、こんな展開はなかったのにね。」
「私は諦めたんじゃない。受け入れたんだ、事実をな。」
「はぁ?」
「お前とは違う。目の前の現実が受け入れられないなら、お前の負けだ。」
「負け惜しみ?」
「いいや、違う。」
ナイフを振り上げ、オビ=ワンの心臓を狙う。
その瞬間、オビ=ワンの手元に何かが見えた。
「それは、」
何か、爆弾が爆発して、私は吹っ飛ばされる。飛ばされたのはオビ=ワンも同じだったけど、私の方がダメージが大きかった。
いつの間に仕込まれていたのか、背中に取り付けられた爆弾が連鎖反応で爆発した。
折檻の生傷が相まって、私は爆発のダメージで起き上がれなかった。
「っ…」
腕に力が入らず、床の冷たさを感じることしかできなかった。
「私は忠告したぞ。」
「うるさい……っ…痛っ……!」
背中が痛くて、少し動くと更に激痛が走った。
私から少し離れたところにあるライトセーバーを、オビ=ワンが拾い上げる。
「返して…!」
オビ=ワンは、そのライトセーバーをマグマに投げ捨てる。
暗黒面仕様のライトセーバーを奪われ、私は床に倒れたまま恨言を吐く。
「あんたなんか大っ嫌い!」
「………そうか。」
「いつもムカつく目をしやがって!」
吐き気がする。
遠退きそうになる意識の中、誰かが私の前に立つ。オビ=ワンじゃない。その誰かは、オビ=ワンに対して明確な敵意を持っていた。
「ここまでする必要があったか?」
「自業自得だ。アナキン、お前も馬鹿な真似はよせ。」
立っていたのは、目を覚ましたアナキンだった。
アナキンは重傷の私を見て、更に怒りを強くさせる。
「見損ないましたよ、“マスター”。」
その言葉を聞いて、私の意識は途絶えた。気絶には逆らえない。アナキンとオビ=ワン、どっちでもいいから、トドメを刺してほしかった。
このまま生きるのは、私にとって生き地獄だ。
この地獄から解放されたい。
────────
エレノアが意識を失い、アナキンは無言で彼女を抱え上げる。
そのままオビ=ワンに背を向け、アナキンはシャトルへと向かおうとする。
「待て。このまま逃がすと思うか?」
「貴方は逃がす。でなければ、ネルは死にますよ。」
「アナキン、まさか……」
「ネルにしか頼めないことがある。」
「ネルは許さないぞ。」
「構うものか。」
アナキンは振り向かず、言葉を続ける。
「………向こうでパドメが眠っています。パドメと子供を………」
それだけ言うと、アナキンはシャトルに乗り込む。
オビ=ワンは去っていく弟子を、ただ見つめるしかなかった。
目が覚めたパドメは、アナキンとエレノアの失踪にひどく悲しんだ。夫と親友、両方を失い、パドメを深い悲しみが襲った。
しかし、2人が守ってくれた子供達の為に、彼女は生きる意思を強く持ち続けた。
オビ=ワンはエレノアとアナキンを信じることを決め、後を追うことをやめた。
最後に笑ったのは、皇帝であるダース・シディアスだった。