その後、オビ=ワンはパドメを連れてポリス・マサに戻った。
パドメの分娩は滞りなく行われ、彼女は双子を出産した。双子は男の子と女の子で、ルークとレイアと名付けられた。アナキンが危惧したことは起こらず、パドメは死ななかった。
ここで、問題が発生した。
パドメの生存はアナキンが知っている為、皇帝にも知られることになる。安全を講じて、子供はそれぞれ別のところに預けられた。ルークはアナキンの義家族の下へ、レイアはオーガナ夫妻の下へ託された。子供は死産で亡くなったとされ、“アミダラ議員”は療養の半年後、元老院に留まることを選んだ。心に傷を負った元老院議員は、誰にも追及されることはなく、事は丸く収まった。
そして、オビ=ワンとヨーダは帝国から逃れ、隠遁することとなった。オビ=ワンはタトゥイーンの砂漠へ、ヨーダはダゴバへ身を隠した。
それから1年後……
「貴方は……!?」
ネイベリー家の別荘に、1人の男が現れる。
男はマントを着て、フードを深く被っていた。彼の両腕は義手で、男を出迎えた女性は驚く。女性は敵意を露にして、男に出て行くように警告する。
「久しぶりだな、“アミダラ”。」
「なぜここに来たのです?ドゥークー伯爵。」
女性、パドメはブラスターを取り出して、訪問者であるドゥークー伯爵に向ける。
フードを下ろしたドゥークーは、重々しく口を開く。
「聞きたいことがある。」
「奇遇ですね。私も聞きたいことがあります。ネルはどこにいるの?」
パドメは、エレノアとの唯一の繋がりであるドゥークー伯爵に、彼女の居場所を問う。
「スカイウォーカーに聞けば良かろう。」
「無理に決まっているでしょう。貴方もよく知ってるはずです。」
ムスタファーを去ったアナキンは行方知れずで、マスクを着けた男がヴェイダー卿と名乗って皇帝に服従している。皇帝の協力な右腕として、帝国に仕えている。帝国を拒んだ者はヴェイダーに消され、ほとんどの民に自由はなかった。
パドメはヴェイダー卿の正体を知らず、アナキンとネルの帰りを祈っている。
「ドゥークー伯爵、ネルはどこにいるの?」
「私にも分からない。」
「え……?」
「先日、帝国上層部の通信を傍受した。そこで聞いたのは、クラウドが消えたということだ。」
アナキンに連れて行かれたエレノアは、帝国で治療された後、ムスタファーの衛星ナーで軟禁されていた。その情報を入手したドゥークー伯爵がミスマッチと共に連れ出そうとしたところ、エレノアは入れ違いで姿を消したのだった。
「確かなの?」
「軟禁されていたクラウドは、ルシル卿と呼ばれていた。傍受した通信ではルシル卿が事故で死亡した、と。だが、私はそうは思っていない。」
敵意はないと分かったパドメは、静かにブラスターを下ろす。
パドメはドゥークー伯爵を中に招き入れ、客間のソファーに座らせた。
「根拠はあるのですか?」
敵ではないと判断したパドメは、自然と丁寧な口調になっていた。
「クラウドは侮れない。皇帝でさえ危険視した女だ。その危険性故に殺されかけたが、奴は生き延びた。今回も脱走したはずだ。」
「ジェダイやシスは、人を探せると聞いています。ネルを探せないのですか?」
「当然探したが、どういうわけかクラウドのフォースが見えないのだ。」
「見えない?」
「何かに隠されていて、見つけられん。」
フォースを通して探そうとしても、エレノアを見つけられなかった。まるで霧が掛かったかのようだと、ドゥークーは思った。ドゥークーは意図的なものを感じていた。
「それで、聞きたいこととは?」
「アミダラ、本当にコルサントの元老院ビルに行っているのか?」
「ええ。なぜです?」
「特に理由はない。些細な思い過ごしだ。」
ドゥークーは立ち上がり、パドメも追って立ち上がった。
「もしクラウドが来たら伝えろ。恩は返す、とな。」
「必ず伝えます。」
ドゥークー伯爵は去り、パドメはすぐに寝室へ向かう。
とある人物に連絡して、プロジェクターを立ち上げた。ホログラムに映ったのは、ドゥークーと同じようにマントを着てフードを深く被った者だった。通信の相手は、パドメに何事かと問う。
『どうしたの?』
相手は女性で、声はとても冷たかった。
「ドゥークー伯爵が来ました。」
『来ると思ったよ。』
「何か手を打ちますか?」
『いや、必要ない。引き続き、役を演じて。まだ行動すべき時じゃない。“彼女”にも伝えて。』
「分かりました。」
通信を切り、パドメは“彼女”にメッセージを送る。
送信を終えたパドメは、悲しげな表情で寝室を出ていく。他にできることはなく、パドメは無気力にソファーに座る。ただ、エレノアの無事を祈るしかなかった。
パドメは傍らの引き出しを開け、トカゲのようなクリーチャーを手に取る。クリーチャーは栄養剤のパネルを装着されていて、彼女は優しく撫でる。撫でられた小動物は、気持ち良さそうにウトウトしていた。
彼女はクリーチャーを抱えて、テラスへと赴く。
外は陽が落ちて、夜になっていた。
寝室と客間には、トカゲが落としたバブルが所々にキラキラと光っていた。
────────
一方、アウター・リムのとある惑星の、小さな町の片隅で、マントに包まった女性が通信機を切った後だった。
「変わったね………」
女性は小さく呟き、肩に乗っているトカゲのクリーチャーを撫でる。幼体のクリーチャーはバブルを発生させ、月の光でチカチカと輝く。
彼女はスピーダー・バイクに跨り、ゴーグルを着ける。
ゴーグルから覗く彼女の虹彩は金色に染まっていて、数百メートル先の帝国軍基地を鋭い視線で見つめる。その目を見たクリーチャーは怯え、彼女の肩で身を震わせる。彼女が撫でると、クリーチャーの恐怖は和らぎ落ち着いた。
「怖がらなくていいよ。大丈夫。」
彼女はスピーダー・バイクを発進させ、帝国軍基地の通信タワーへと走る。
物語は、誰も知らないところで続いている。
闇に立つ者は、密かに動き始めていた。
次回より、反乱者たち編です。
複雑化させすぎたぁw