フェラスを連れて、私は〈リベレーター〉と合流した。
ティラナスは別件で仕事をさせている。
〈リベレーター〉のブリッジに入ると、サトーとアソーカ、クローンのCT-7567がいた。当然と言えば当然だけど、フェラスに対する反応はよろしくない。フェラスに対する反応もだけど、CT-7567の私に対する反応も良くなかった。
「ただいまー」
「エレノア、どうしてフェラスが一緒なの?」
「取引したの。あぁ、クローンのあんた久しぶり。」
「全く……嬉しくないね。」
「レックス、今はエレノアは味方よ。」
「へぇ、通称レックスなんだ。」
サトーはプロジェクターを切り、フェラスを連れている理由を問う。
「不躾で悪いが、なぜ帝国から離反した?」
「俺は帝国に従ってたわけじゃない。スカイウォーカーの指示で皇帝に従ってただけだ。」
「つまり、演技ってこと?」
「そういうこと。まぁ、私のことは嫌いみたいだけど。」
私の言葉に、アソーカ以外の面々は肯定する。
嫌いなのは分かるけど、目の前で肯く必要ある?
「じゃあフェラスがいるわけだし、私は要らないよね!」
「待て、」
「話は、」
「終わってないわ。」
「おお!息ピッタリ!」
「エレノア?」
「痛い痛い痛い!!抓らないでアソーカ!すみませんでした!」
笑顔のアソーカが怖い。
フェラスに肩を叩かれ、レックスとアソーカに両脇を確保されてしまった。
逃げ道はないらしい。
「皇帝と結んだ取り決めのこと、話してもらうわよ。」
「わお…」
「クラウド、そこに座りたまえ。」
サトーに促され、私はブリッジのベンチに座る。
パドメとアソーカは、レックスとサトーにアナキンのことを話したそうだ。サトーはフェニックス艦隊のコマンダーだし、レックスにも知る権利がある、と。
こうなったら、もう話すしかない。私が反乱軍と行動しているから、どの道取り決めは無効だ。帝国は本気で反乱軍を叩こうとするだろう。
「逃げないから離れてくれない?」
そう言うと、アソーカとレックスは訝しげな目をしながらも、仕方なく離れる。
「貴女が自ら軟禁されたのは分かるけど、何を約束したの?」
「アソーカ、尋問官の通信を傍受したんじゃないの?」
「ええ、したわ。けど、貴女の口から聞きたいのよ。」
「分かった。話すよ。」
さて、どこから話そうかな。
「………皇帝とヴェイダーに、直接反乱組織に干渉しないように約束させたの。」
「ヴェイダーに処分されるというのは何だ?」
私はその問いに口篭る。
だけど、代わりにフェラスが答えた。
「皇帝の知らないルールがあるんだ。ヴェイダー卿の許可なしに、ダース・ルシルに手を出せない。もし許可なしに追えば、ヴェイダー卿に処分される。」
「皇帝が知らないとは……」
「どういうこと?」
「アナキンも私の為に手を尽くしたってこと。皇帝はアナキンにご執心だから、命令を聞いてくれるなら何だっていいんだよ。」
これはフェラスから聞いた話だ。
皇帝は私に手を出さなければアナキンが従うから、アナキンの望みの1つや2つ、簡単に聞く。それすら皇帝の手の平の上かもしれないけど、私とアナキンには都合が良い。
私の復讐も、想定の内だろう。
フェラスはアナキンの指示で、彼の手足となっていた。私を憎む気持ちは本物だから、皇帝も疑わない。そして、アナキンと一番近かったフェラスが、代わりに行動をした。
ネヴァロの作戦も、その1つだったらしい。
「これからはヴェイダーが介入してくる。私が取り決めを破ったから……」
「だから拒んでいたのね……」
サトーやレックスも深刻な表情をする。
ヴェイダーが介入してくれば、反乱軍は簡単に潰れる。ヴェイダーは元々、最高のジェダイだったアナキン・スカイウォーカーだ。太刀打ちできるジェダイは少ない。
アソーカでさえ、相手になるか分からない。
正直、私も太刀打ちできる気がしない。
「フェラスを拘束してる間にヴェイダーと話したけど、折れてくれなかった。戦いは避けられない。あんた達は他の尋問官と、帝国軍を相手して。」
「嫌よ。」
「コマンダー、今回ばかりは彼女が正論です。貴女はスカイウォーカー将軍と面と向かって戦えますか?」
「そうね……エレノアの言う通りね。」
ケイナンによれば、ロザルを脱出する時にヴェイダーと遭遇して、アソーカが気絶したという。アナキンが暗黒面に堕ちたことに、ショックを受けたのは明らかだ。いくらアソーカが強いとは言っても、自分の意思で暗黒卿になったアナキンには刃が立たない。
「なら俺が相手する。」
「ダメに決まってるでしょ。」
「なぜだ?」
「邪魔だからだよ。」
「邪魔だと!?他の尋問官よりは腕が立つんだぞ!」
「じゃあシスの秘術を使えるわけ?」
フェラスは答えられず、口を閉じる。
現時点でシスの秘術を使えるのは、私とシディアス卿だけだ。つまり、フェラスは使えない。隣にいても邪魔なだけだ。
「ヴェイダーはシスの秘術を使わないけど、私と戦う為に対処法を知ってる。」
「それなら、君も不利なのでは?」
サトーの指摘に、私は肯定する。
対処法を知っていると言っても、全部じゃない。シスの秘術は多少攻略されても問題ない。私の問題は、剣の腕だ。ティラナスに鍛えられたとはいえ、ジェダイの型は未熟だ。
それに対して、アナキンは強くなる為にフォームⅤを開発している。
私が勝てる見込みはほぼゼロだ。
だけど、ここで引き下がれない。
「アナキンとは長い付き合いになるから、これも腐れ縁だよ。」
「おい、」
「そういえば、記憶にないけど同期もいたわ。」
「エレノア、フェラスが不憫よ。」
「知ったこっちゃないし。」
鼻で笑ってやれば、フェラスが挑発に乗ってくる。
「言わせておけば……!おい!お前とスカイウォーカーの為に情報をくれてやっただろ!」
「キス1つの価値なかったけどねぇ。」
「「キス!?」」
サトーとレックスの声が裏返る。アソーカに至っては呆れた顔をしていた。みんなキスくらいで動揺しすぎだと思う。
「私のキスは値が張るんだよ?」
「何だと!?」
「愛がないんだもん。安いわけないでしょ。下手くそなキスに付き合ってやったんだから、感謝してほしいくらいだよ。」
「エレノア、もうやめて。」
アソーカの冷めた目に、一言謝った。
おかしいなぁ、私が悪いわけじゃないのに。
今日はとりあえずお開きになり、対ヴェイダー戦については後日話し合うことになった。フェラスはアソーカの監視付きで個室へ、私はブリッジに近い個室へと入った。
やっと落ち着いて、私は〈リベレーター〉の食堂を漁った。少しの食べ物と、いくつかの“酒”を手に取って個室に向かう。
ところが、食堂を出てすぐに肩を掴まれる。
私を捕まえたのは、レックスだった。
「その手にあるのは何です?」
「お酒♡」
「ほぅ?理由を聞いても?」
「久しぶりだから!」
「今すぐ戻せ。」
「やだ、アナキンみたいなこと言ってる。あー!1つくらい残してよー!」
無言で酒を没収され、めちゃくちゃ睨まれた。レックスは部屋に戻っていき、私1人残される。食堂のワインセラーにロックが掛かっているなんて悪夢だ。
しかも敬った話し方じゃなくなった。上官が上官なら、副官は上官に似るのか。ということは、アソーカが指示したのか。
嫌なことに気付いちゃった……!
レックスはアナキンとアソーカを足して割った性格だ最悪!!
次回はちょっと飛んで、あの人とあの人が出ますw