ティラナスは安らかに、眠るように逝った。
遺体を火葬する時は、パドメと私だけの小さな見送りになった。ティラナスは群れるような人じゃない。私はともかく、パドメの見送りは許してくれるだろう。
それから数週間後、ガレルに停泊していると、違和感を感じた。
「ネル?」
「何かおかしい。」
パドメとシャトルへ戻る途中、何か胸騒ぎがした。
「早く戻ろう。」
「待って、エピからよ。」
亡霊と私には、独自の連絡手段がある。ドロイド達が周波数の隙間を見つけ、その隙間を使って通信機を繋いでいる。つまり通信妨害されていても、私と亡霊は連絡が取れる。
そのエピから連絡が来たということは、緊急だろう。
『大変です!帝国軍が来ます!』
「すぐに戻るわ。」
その時、トルーパーが現れ、パドメを引き寄せ抱え込み、ライトセーバーでレーザー弾を偏向させる。赤いライトセーバーを投げ付け、2、3人のトルーパーを倒して、パドメを連れて裏道に逃げ込んだ。
「ちょっとごめん。」
「えっ!?ネル!!!」
パドメを抱き上げ、フォース・ジャンプで建物の上に跳び上がる。そのまま屋根を駆けて、避難する人々に紛れ込んだ。帝国軍は何もしない民間人を撃てない。
人混みを抜けて、浮上する〈リベレーター〉を見つけて、コルベットの上に跳び乗った。パドメをハッチに放り込み、次いで私もハッチの隙間に滑り込む。
隊員達は驚くが、それをアソーカが宥めてパドメと私を助け起こす。
「何があったの?」
「分からないわ。どういうわけか、帝国が私達を見つけたみたい。」
「ブリッジへ行きましょう。」
ブリッジに入るとレックスとサトーがいて、脱出作戦が始められていた。
「ケイナン達は?」
「ロザルに行くそうよ。エズラが何かヴィジョンを見たみたい。」
「そう。」
その時、船体が大きく揺れてアラートが鳴り響く。
トラクター・ビームに捕まったらしい。
「エレノア!」
「ちょっと小細工。」
フォースを通してスター・デストロイヤーのブリッジを覗き、オペレーターの1人を操る。目を閉じて、砲台の手を止めさせる。こうすれば、隙ができる。その隙で、ゴーストが牽引装置を壊してくれた。
「エレノア!そんなことしなくても、」
「言ったでしょ。私はジェダイじゃない。」
「けど、ティラナスは、」
「ティラナスの意思は尊重するけど、受け継ぐ気はないよ。」
フェニックス艦隊は無事脱出して、他の船とランデブーポイントで合流した。とが
1人一人食堂で酒を漁っていると、レックスが私パドメが私を呼びに来る。
「ネル、ブリッジに戻ってくれる?」
「なんで?」
「貴女と話したい人がいるの。」
心当たりがなく、私はパドメの後に続く。ブリッジに入ると、プロジェクターで映された人物に思わず立ち止まってしまった。
ベイル・オーガナが、私を見て嫌そうな顔をする。
『生きている貴女と会うことになるとはな。』
「まだ議員なんかやってたんだね。」
「ネル、失礼よ。」
「ごめん。それで、話って何?」
パドメに咎められ、仕方なく本題に入る。
『クラウド、君が敵にならないという保証はあるのか?』
「あぁ、要するに安心したいんだ?」
『質問に答えろ。』
「この際だし、はっきりさせよう。私はパドメの味方。元老院なんてどうでもいい。」
『その言葉、忘れるな。私はこれで失礼する。』
オーガナはそう言うと、通信を切った。サトーとアソーカは、私に呆れた視線を向ける。何か失言をしたらしい。
「エレノア、元老院が嫌いなの?」
「嫌いだよ。“パルパティーン議長”が帝国への再編を宣言した時、ほとんどの元老院議員はあいつに賛同したんだよ?」
「それは、」
「パドメやモスマは違うけど、私はそんな元老院が嫌い。認めてもらおうなんて、思わないから。」
酒のボトルをパネルターの上に叩き置き、ブリッジから出て行く。
元老院はただの飾りだ。皇帝に逆らえず、従うしかない。逆らえば惑星ごと消される。元老院議員は私欲の塊だ。分離派で、散々見てきた。
そんな奴らに、偉そうに言われる筋合いはない。
個室に入って、洗面器の蛇口を捻る。
「気に食わない……」
顔を洗い、タオルで水分を拭き取ったまま蹲る。
しばらくしてタオルを顔から離し、寝台に放り投げて横になる。った。心身共に疲れ切っていたのか、私はすぐに眠りに落ちる。ティラナスの喪失が、思った以上に大きいみたいだ。
フォースと共にあらんことを、ティラナス。
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一方その頃、ジャクーではフードを被った男がヴェイダーと対峙していた。
砂漠のど真ん中で、2人は敵意を向け合う。
「感じたか?」
「ああ。」
「ドゥークー伯爵が死んだ。流れが変わるぞ。」
ヴェイダーは、男に頷く。
「気を付けろ。」
男は深刻な声で、ヴェイダーに警告した。
ヴェイダーは慎重な男に、同じように警告する。
「皇帝はまだ気付いていない。エレノアの行動を予期するんだ。あの女が下手に動けば、皇帝は力を手に入れることになる。」
「ならお前が隣に立て。フェラス・オリン1人では、ダース・ルシルは止められない。あらゆる可能性に備えろ。」
「俺に頼むからには、後悔するんじゃないぞ。」
「当然だ。」
ヴェイダーはシャトルに乗り、砂漠を発つ。1人残された男は、口元に笑みを浮かべてシャトルを見送った。そこへ時を待っていたかのように、砂嵐が男を襲う。
男は砂嵐など気にすることなく、砂漠を歩き続ける。
フードの中から覗く金色の瞳は、怒りと憎しみが満ちていた。