ヴェイダーとライトセーバーをぶつけ合い、私は更に暗黒面に身を委ねる。
クローン戦争の時のような、心地良い闇が私を包む。
そこへエズラが割って入ってきて、私をフォース・プッシュする。私は受け身を取り、思わずエズラを睨む。だけど、目に映ったのは血の気が引くようなものだった。
「エズラ!下がって!」
「嫌だ!!」
エズラがヴェイダーに立ち向かい、ライトセーバーを振るう。
ところが、エズラがヴェイダーに敵うわけがなく、ライトセーバーを壊されていた。私は2人の間に入り、ライトセーバーを振り下ろそうとするヴェイダーの刃を受け止める。
昔はこれが重かったのに、今は何とも思わなかった。
「ネル、暗黒面に呑まれるな。」
「呑まれる?どこが?私はいつも通りだよ!」
ヴェイダーをフォース・プッシュして、私はオベリスクに手を伸ばす。
シスを倒す為に、力が必要だ。
「エレノア!危ない!」
「っ!!」
咄嗟にヴェイダーのライトセーバーでを防ぎ、私は息を深く呼吸する。
私だけではなく、ヴェイダーも事実を捻じ曲げている。確かに私は暗黒面に魅せられているかもしれない。でも、呑まれているのは私だけじゃない。
“アナキン・スカイウォーカー”も、暗黒面から抜け出せなくなっている。
フォース・ライトニングでヴェイダーを吹っ飛ばし、牽制する。
「ヴェイダー、私は暗黒面に長くいたから分かる。あんたも自分を見失いかけてる。パドメが見たら何て言うだろうね。」
「その言葉、そっくりそのまま返してやる。」
「2人共、お互い様という言葉を知らないのかしら?」
声の主を探すと、アソーカとフェラスがいた。
2人は悲しげな表情をしている。だけど、ここで引くわけにはいかない。私が力を手にしなければ、皇帝に力を与えることになる。
「それ以上近付いたら、命の保証はないよ。」
そう警告するも、フェラスが近付いてくる。
「構わねぇさ。だが、お前も覚悟しろ。俺はそれ相応の覚悟を決めている。」
「下僕が偉そうに……」
更に近付くフェラスに、私はライトセーバーを突き付ける。あと一歩進めば、フェラスの心臓はプラズマの刃に貫かれる。それでも、彼は真っ直ぐ私を見る。
「ネル、ライトセーバーを下ろせ。」
“アナキン”はライトセーバーを収めて、私にも引くように促す。
ホロクロンは未だオベリスクにあり、力を望む者を欲している。このまま放置すれば、寺院は崩壊する。それも力を残したまま、崩壊することになる。
「………嫌だね。」
「ネル!やめろ!!」
アナキンの制止を無視して、私はオベリスクの力に手を伸ばした。
この際、誰が敵か味方かなんてどうでもいい。邪魔なものは消してしまおう。そうすれば、何も考えずに済む。
オベリスクは赤い稲妻と閃光を放ち、生命を滅ぼす力が甦った。
エズラはケイナンが離れさせ、アソーカはアナキンが後退させていた。
フェラスだけが、私から離れなかった。
「………私から離れないと死ぬよ。」
「俺を殺すのか?」
「殺す。」
「なら殺してみろ。」
寺院の力を使い、私はフェラスを殺そうとする。
このまま私の近くにいれば、寺院のあちこちにある死体のようになる。肉体は石化し、風化を待つだけの石となる。死体と呼べるかすら分からない。
「エレノア」
超兵器を使おうとした時、フェラスが初めて私の名前を呼んだ。下僕になってから、私の名前は一度も呼んだことがないのに。しかもファーストネームで私を呼ぶなんて、あり得ないことだ。
動揺した瞬間、フェラスは私の口を塞いだ。
キスされたと分かって、反射的に突き飛ばしてしまう。
「なんで……?」
「今のが俺の覚悟だ。」
「私が憎いんじゃなかったの……?」
「お前を理解しようとしたら、こうなっただけだ。」
「ふざけないでよ!私を理解する?何も知らないくせに!!」
フェラスなんかに理解されてたまるか。
私を理解するだなんて、無理に決まっている。私はいつだって自分の為にしか行動しなかった。そんな私が、誰かに愛されるわけがないんだ。
「エレノア、力を手放せ。まだ間に合う。」
「もう遅いよ……」
「諦めるな。」
「無理だってば!」
シス・ホロクロンを外したところで、シスの超兵器は止められない。強引に外せば、寺院は崩れる。それなら私が使うしかない。
「エレノア!!」
振り向くと、アナキンがライトセーバーを振り被っていた。アソーカの悲鳴に、私は咄嗟にライトセーバーを起動する。振り下ろされた刃を防ぎ、私はシスの秘術を使う。
「アナキン、許してとは言わない。だけど、意地でもあんたに戻ってもらうよ。」
「何をする気だ?」
「寝てもらう。パドメに謝ってくれる?私は戻れないから、あんたが戻って。」
シスの言葉を吐き、アナキンの意識を強引に奪った。
「エレノア……」
「アソーカ、アナキンをお願い。」
「ダメよ。エレノア、」
「オベリスクを開いたのは私。終わらせるのも、私の責任だよ。シス・ホロクロンも、持っていって。」
アナキンをシスに変えたのは私だ。だから、彼の命だけでも助けたい。私がアナキンを拒んだせいで、彼は暗黒面に呑まれたんだ。
フェラスが変わったのも、私のせいだ。
私、何をやってるんだろう……
「おい!何を、」
「ごめんね、フェラス。」
フェラスに謝ったのは初めてだった。今度は私からフェラスにキスをして、アナキンを引き摺ってファントムに放り込む。
エズラは血相を変えて、背を向ける私を引き止めた。
「みんなで帰らないと、」
「やめて。早く行って。」
「アソーカ!エレノアを止めてよ!」
「エズラ、誰にもダース・ルシルは止められないわ。」
「そんな……ダメだ!エレノア!」
「待て!エレノア!!」
アソーカに目で行くように促し、私はファントムから降りる。エズラの呼び止めに唇を噛んで、心の奥に残っていた良心に蓋をした。
オベリスクに残ったシスの権化が、私を嘲笑う。
「《愚か者め、一度起動すれば止められはしない。》」
「分かってる。だから、私が受け止める。」
「《その身で超兵器の力を受けるつもりか?お前は死ぬことになるのだぞ。》」
「シスは死を怖れない。あんた、本当にシスの権化?」
「《化け物め。》」
「化け物で結構。」
寺院の力に集中して、私はオベリスクに近付く。
その時、肩を叩かれる。
「アソーカ!?」
まさかアソーカが残るなんて思わず、私は彼女に怒鳴る。
「なんで逃げないの!?」
「今度は置いて行かないわ。」
「どうして!?これは私が、」
「いいえ、貴女1人で寺院は止められない。私も手を貸すわ。」
アソーカは、意志を変える気はないらしい。
私はオベリスクのオールド・タングを読み、力を封印した。
本当はアソーカに逃げてほしかったのに、どうしてなのか涙が出る。泣いている私をアソーカが抱き締めてきて、私も彼女を抱き返した。
そして、寺院の崩壊が始まった。
「私はただ守りたかっただけなの……」
「ええ、知っているわ。」
アソーカは、寂しそうな表情でそう返した。
封印の反動でオベリスクが崩れて、柱にもヒビが入る。ヒビは大きな亀裂になり、その亀裂は建物の重さに耐えられず、自重で崩れていく。最後は、オベリスクが衝撃波を放つだろう。
もうすぐ、その衝撃波が来る。
私も無事じゃ済まない。
あれだけ集めた生命エネルギーも役に立たない。シスの秘術も、無意味。必要なのは、正気を保つことだけ。
それから、死を目前にしてやっと分かったことがある。
私はフェラスを────────
えっと、うん、叩かないでください()
想像したらこうなりましたw