モール卿が去った後、私はマスターの下へ戻るわけでもなく、市場を彷徨いていた。
タトゥイーンはポッドレースで騒がしく、人々はレース場から出てきていた。その最中、強いフォースを感じた。今まで感じたことのない、マスター・ヨーダよりも強いフォースだ。
一体誰だろう?
「エレノア!何をしていた!?」
「ネル…?大丈夫?」
マスター達が私を見つけて、パドメが顔を覗き込んでくる。
「酷い顔色よ…!」
「私、そんなに酷い?」
「ええ。マスター・ジェダイ、私はネルと船に戻ります。」
「分かった。エレノア、すぐに船へ戻れ。」
「はい、マスター……」
パドメに腕を引かれ、私達は町を出る。
道中、寒気が私を襲っていた。
暗黒面のフォースだと分かっていたけど、自分でもどうにもできない。マスターはきっと気付いている。聖堂に戻るのが怖い。
マスター達は私をどんな目で見るんだろう…
こんなんじゃ、ダークサイドに立つことはできない。
「ネル、少し休んで?」
「ごめんなさい……」
「いいのよ。女王陛下には……私が言っておくわ。」
「ありがとうございます。」
船に戻った後、私は個室で休ませてもらった。疲れた身体には、休息が一番良い。疲れを取るように、私は目を瞑った。
段々と、深い眠りへ落ちていく。
目を覚ましたのは、フォースの強い少年が船に駆け込んできてからだった。
「この気配は……!」
ダース・モールだ。アミダラ女王を追ってきたんだ。見つかったのは、私のせいかもしれない。
窓の外を見ると、マスター・クワイ=ガンとモール卿が戦っていた。
私はジェダイをやめたい。
どっちに手を貸すべきなんだろう。
「ネル!何をしている!?」
「援護する。」
オビ=ワンの声に、私は武器を手に取る。
私が選んだのは、ブラスター・ライフルでの援護。
ハッチを降ろしてもらって、スコープでダース・モールの左肩を狙う。トリガーを引き、レーザー弾はモール卿の左腕に当たった。隙ができて、マスターはハッチへとフォース・ジャンプする。
閉まる直前、彼の目が私に向いた。
あの目は、憎悪。私が邪魔をしたから、敵意を向けられた。モール卿の感情が、背中に刺さるようだった。
恐ろしい程の寒気が、背中に走る。
「エレノア、見事だ。」
「………はい。」
褒められたけど、少しも嬉しくなかった。あの状況で、モール卿を殺すこともできた。結局、私は臆病者だ。
マスターの浮かない表情に、顔を背ける。
マスター・クワイ=ガンはたぶん、私があの襲撃者を殺せたかもしれないと気付いている。
浮かない表情をしているのが、何よりの証拠だ。
「アナキン、彼がオビ=ワン、彼女がエレノアだ。」
「貴方達もジェダイ?」
「そうだ。」
「よろしく。」
アナキン・スカイウォーカーと名乗る少年は、私とオビ=ワンに手を差し出す。握手をすると、アナキンは首を傾げる。自己紹介しただけなのに、なぜ疑問に持つのか分からない。
強いフォースの正体はアナキンだったみたいだ。
オビ=ワン曰く、ミディ=クロリアン値がとんでもない数値を叩き出しているらしい。なんでも、2万超えだとか。私はともかく、マスター・ヨーダよりも上だという。
共和国で産まれていたら、聖堂に連れていかれただろう。
「エレノアの愛称って、ネル?」
「ああ。それがどうした?」
オビ=ワンの問いに、アナキンが意外は答えを返す。
「パドメがそう呼んでた。それに、パドメが心配していたんだ。迷子になってたんでしょ?」
「まぁ、うん。」
本当は迷子じゃないけど、頷くしかない。暗黒面に踏み込んだなんて言えない。掟で禁じられているのに。
それに、パドメが心配していてくれたなんて気付かなかった。
「僕もネルって呼んでいい?」
「いいけど……まだ出会ったばかりだよ?」
「関係ないよ。これから友達になって仲良くなればいいだろ?」
「分かった、よろしくね。じゃあ、アナキンのことも愛称で呼んでいい?」
「いいよ!」
アナキンと友人になり、私に友達が2人できた。初めてできた、ジェダイじゃない友人だ。できれば、2人とは仲良くしたい。
この2人なら、暗黒面も光明面も関係ない。
私を私として見てくれるはずだ。
船はハイパースペースに入り、コルサントを目指した。
「………」
そういえば、コルサントに戻ったらマスターと会わなきゃだった。
マスターに怒られませんようにっ!!