【完結】理想主義者(笑)の自由奔放記   作:夭嘉

85 / 159
踏み越えてはならない境界線

スカリフへ向かいながら、私は船にステルス加工を施す。一時的なものだけど、僅かな時間を稼げればいい。私の目的は、ほんの一瞬の隙なのだから。

 

 

「ハイパースペースを出るぞ。」

「サーベ、あんたは操縦をお願い。」

「了解しました。」

 

 

ステルス機能を起動させ、船はハイパースペースなら飛び出す。

 

スカリフの地上から、フォースの乱れを感じる。

 

 

「エンジンシステムは全部切って。感知される。合図で係留クランプのスイッチを入れて。」

「分かりました。」

「ネル、どうする気だ?」

「艦隊が来る前にシールドを潰す。」

 

 

口端を上げて言えば、アナキンも笑みを見せる。

 

アナキンといると、ジェダイ時代を思い出す。

 

 

「係留クランプを!」

 

 

私の合図で、船はシールド・ゲートのステーションの側面に張り付く。

 

エアロックを開け、私はステーションに踏み込む。アナキンが付いてこようとするけど、船に留まるようにお願いした。ここから先は、私一人の方が良い。

 

それに、見られたくないこともある。

 

 

「アナキン、10分で戻る。不時着の用意をしておいて。」

「着陸の間違いだろ?」

「違う、不時着。あ、これも違うか。墜落の用意ね。」

「正気か!?」

「至って正気だよ。大丈夫。ちゃんと考えてあるから。」

 

 

エアロックを閉め、私は静かに通路のパネルを開く。エリアマップから武器庫を見つけて、密かに武器庫へと侵入する。武器庫から遠隔操作できるグレネードを探し出し、バッグパックいっぱいに詰め込む。

 

 

「よし。」

 

 

武器庫を出て、私はトルーパーに見つからないようにステーション中を走り回った。途中途中では、グレネードを天井に投げ付けていく。

 

人間は慣れた場所ほど、天井を見なくなる。況してや、侵入者にしか警戒しないトルーパー達が気付くはずがない。気付いたとしても、その時には既に手遅れだ。

 

 

「おい!動くな!」

 

 

トルーパーが私を見つけ、ブラスターを向けてくる。私はわざとらしくトルーパーから逃げ、追い付けるようで追い付けない距離で走る。トルーパーは天井の爆弾を素通りして、私を捕らえようと追ってきた。

 

ほら、私に気を取られてグレネードに気付かない。

 

 

「クソ!見失った!」

 

 

トルーパーは私を見つけられず、警報を出す。

 

だけど残念、もう遅い。

 

 

「フォース・ドレインを使いたかったな。勿体ないことした。」

 

 

スイッチを入れて、仕掛けたグレネードを起動させた。

 

私は船に駆け込み、エアロックを閉じて声を張り上げる。

 

 

「行って!!」

 

 

船はゲートを離れ、ステーションが爆撃されたことでシールドは消失した。

 

私の作戦通り、船は爆破の勢いで地上へ落ちていく。

 

船はギリギリのところでエンジンを点火させ、デス・トルーパーが展開しているスカリフの沿岸に不時着した。船が撃たれるけど、私とアナキンがハッチから飛び出て反撃する。

 

船を攻撃していたデス・トルーパーは倒し、私達はジンとアンドーを探す。

 

 

「ジンは?」

「タワーへ向かいました!」

 

 

ジンとアンドー、ドロイドがタワーへ向かったと、ローグ・ワンの1人が教えてくれた。

 

 

「エレノア!!」

 

 

その声に振り向くと、フェラスに抱き締められた。剥がそうとするけど、アナキンの目が抵抗を許してくれなかった。アニーの視線が逃げるなと言っていて、少し怖い。

 

しばらくしてフェラスが離れると、ホッとしたような顔をされた。

 

 

「考えを改めてくれたのか?」

「それもあるけど………理由は奴ら。」

 

 

アナキンとフェラスの後ろに、鋭い視線を送る。

 

そこには3人の尋問官がいた。

 

 

「エレノア・クラウド、アナキン・スカイウォーカー、フェラス・オリン………お前達を捕らえる。」

「餌がのこのこと現れたか。」

「間抜けな奴らだ。」

 

 

散々な言われ様に、アナキンとフェラスは眉間に皺を寄せる。

 

奴らの相手は、私達だ。

 

 

「ローグ・ワン、奴らは私達が止める。先へ進んで。」

「しかし、」

「早く行かないと、ここでフォース・ドレインを使うよ。」

『行きます!!』

 

 

ローグ・ワンが先へ行き、私達は睨み合う。

 

 

「エレノア、餌とはどういうことだ?」

「あんたベーシック分からないわけ?餌は餌だよ。私達を手伝う為に、“子供達”が来る。奴らはそれを狙ってるの。」

 

 

奴らの狙い、獲物は私とアナキンが守り続けてきた子供達だ。アナキンはヴェイダーを演じていた間、ハーヴェスター計画をコントロールした。ハーヴェスター計画の標的になった者が、尋問官になるんだ。だからこそ、アナキンの手に負えていた。

 

だけど、奴らは違う。

 

 

「奴ら、何かおかしい。」

「ああ。」

 

 

フェラスが気付いたように、アナキンも異変に気付く。

 

 

「彼らはシスの操り人形だよ。」

「どういうことだ?」

「文字通りの意味だよ。3人共、死んだも同然。助からない。」

「助からないだと……?」

「忠誠心の強い人間を、無理矢理フォース感応者に作り変えてる。許容できない肉体に強引にミディ=クロリアンを増やせば、生き続けることは難しくなる。」

 

 

だから、使い捨ての人形だ。

 

私達を殺す為の人形だ。殺せるなら、瞬間的でも使えればいい。私も使い捨てられた僕だから、皇帝の考えは分かる。

 

私達が大人しく捕まるわけがないから、殺すしかない。

 

 

「皇帝は一線を越えたのか……!」

「フェラス、今に始まったことじゃない。」

「エレノア……」

「絶対に油断しないで。」

「ああ。」

「分かっている。」

 

 

アナキンがガタイの良い尋問官を相手に、フェラスはラサットの尋問官を相手にする。私はトワイレックの尋問官を相手に、赤いライトセーバーを起動させる。アナキン達や尋問官達もライトセーバーを構え、重い空気が流れた。

 

 

「お前は俺に勝てない。」

「私はあんた達のデメリットを知ってる。」

「何だと……?」

 

 

アナキンとフェラスは、隣で尋問官と戦いを始めた。

 

私は、トワイレックの尋問官と話をする。

 

 

「強引にフォース感応者を作れば、何かを失う。フォースの意志じゃないからね。つまり、フォースは私達と共にある。」

「っ!!!」

 

 

私は一気に踏み込むと、ライトセーバーの持ち手を下げる。尋問官は回転式のライトセーバーを振り上げ、私の首を狙う。実力も場数も私の方が上だ。尋問官の動きは予期できる。

 

 

「ぐっ……!クソ……!」

 

 

身体を捻って尋問官のライトセーバーを躱した後、下から相手の心臓を一突きした。一瞬の出来事だった。トワイレックの尋問官は膝をつき、私の足元に倒れる。

 

 

「フェラス!」

 

 

アナキンの声に振り向くと、ラサットの尋問官がフェラスをフォース・チョークしていた。私はシスの言葉を吐き、フォース・ドレインを使った。尋問官はフェラスを投げ離し、足掻き出す。

 

 

「息が……!」

「エレノア!よせ!!」

 

 

フェラスの制止に、私は躊躇った。

 

その瞬間、アナキンを相手にしていた尋問官が、ラサットの尋問官の首を切り落とした。

 

 

「弱者は不要だ。」

「仲間を……!?」

「そいつは仲間じゃない。我々は皇帝陛下の道具だ。」

「待て!!」

「アニー!深追いはダメ!!」

「分かった……」

 

 

尋問官はそう言って、逃げていく。

 

奴は逃げたんじゃない。“獲物”が来たんだ。子供達の1人が、艦隊と一緒にいる。

 

“あの子”を守らなきゃ。

 

 

「ネル、脱出だ。」

 

 

頷くと、私達は迎えに来た亡霊の船に駆け込む。ミスマッチが追ってくるトルーパーを撃ち倒し、亡霊の船はスカリフの地上から離れた。

 

戦いは終わっていない。

 

ジン達が設計図を艦隊に送信すれば、反乱同盟軍にチャンスが生まれる。

 

スカリフの地平線に目を向けると、死の月が浮かんでいた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。